僕は淋しかった
または、淋しくなかった

だから 僕は森を歩いた
だから 僕は空を仰いだ
しんしんと
珍しくも降ってくる雪に合わせて
その降ってくる音に合わせて
僕は息を吐いた

 ....
雪が溶けたら
やわらかい地球の黒土花壇に
「火星たんぽぽ」の小さな名札をたてよう

ひとが植えたわけでもないタンポポが
好き勝手に咲いてるような
そんな花壇がいいだろう

そこから芽吹 ....
  古い町並み
  もう、思い出は薄れて
  それでもまだ
  オルゴールの音はかすかに響いた

  緩やかな下り坂の終わり
  あの曲がり角を越えて
  少女時代が
  降り積もった ....
おッ母さん
久しぶりに夜更けに実家に帰って
ダイニングテーブルでうたた寝してる
アンタの背中を見ていたら
おッ母さん
なんだかもうアンタは
死んじまってるんじゃないかって
そんな気がして ....
プリンが食べたいの
入院している妻がそう言うので
会社の帰りにコンビニに寄って
プッチンプリンを買って面会に行った

病室の硬いベッドに二人並んで腰掛けて
プッチンプリンを食べながら
や ....
いつか君からもらった
手編みのマフラー

今頃になって
箪笥の奥から湧き出てきた

ボロボロにほつれてしまっていて
それはもう

今の僕らみたいだった

流れ 流れゆく時の中で
 ....
荒野の中に人柱が建つ
立ったまま
石と化して
柱のように天に伸びる人の残骸
人生に遅刻した者
あるいは 人生から早退した者の
群れが
向日葵のように咲き揃っている
そんな人柱の
列石 ....
ムーアは泣かない子供でした。

ムーアは声のない子のように無口でした
ムーアは顔のない子のように無表情でした
ムーアは目のない子のように見つめていました
ムーアは手足のない子のように歩きまし ....
  


  できるだけ遠くへ
  島はなげるべきだ

  小笠原くらい
  塊
  として

  こぼれおちた
  土
  が

  いくつもの
  しみのような
  ....
さざんかが
ひっそりと咲いている

まるで
恋人を待つように

かんじかんだ指をのばすけど
触れられなかった
向かい風の吹いている
地図の上です
収縮と膨張を繰り返す波打ち際の
緩やかなカーブをなぞること
波音は届かずに
待ち焦がれるばかりの



海岸線が近い
そうで
少しずつ僕らに迫 ....
机の上の図鑑はいつも

同じページで広がっている



そのひとことが

また


言えなかった
日が落ちてから
こんにちは を思い出して
これで正しいのだろうかと
図鑑を開いて調べてみる


さっき思い出した
こんにちは は


ありがとう だった模様


明日は忘 ....
「今日は型をとります」
左下の奥歯
仮であった詰め物を削り取る

ロマンスグレーの先生は覗き込む
患者の口の中を
少しずつ優しいタッチで(でも音はキライ)
痛くないように(でも音はキライ ....
あなたは
何も言わないけれど
手のひらから
聞こえてきた

あたたかい指の
ぬくもりが
わたしのからだ
いっぱいに
ひろがって

かなしみが
消えた
かたまって いる
つめたい ひかり

ひとつ だきしめたら
しずかに とけていく

おおきな てに ふれ
おちていく ちいさな

きょう の しずく

ゆるやかに ゆびさ ....
海の底に潜む深海魚が
巨大な目で
わずかな光をとらえるように
目をこらしていましょう

そうすれば
この暗闇に
光を見いだせるはず

貴方の隣にいると
いつも泡のように
綺麗な言 ....
ねえ おねがい

あなたが持っている
わけのわからないネタ帳の
一番大切な詩は
どこにも公表しないでほしいの

誰かが大きな声で
その詩が良いと言ってしまったら
きっとみんな同じ事を ....
かつて
きみの氷河を渡ったことがある、
十二月の、
空のない果てなき空。

北の地では、いまでも、
無いものは、つたわり、
有るものは、つたわらないであろう。

水辺のポストに、投函 ....
※ある少年

紙飛行機作りに熱中し
記録はとうとう高度1万メートルの大台です


※ある犬

犬は棒に当たると聞き
小便がてらに予め電信柱を折りました


※あるテレヴィジョン ....
時間を煙草で埋め尽くすのが先か
交差点がスクランブルされた詩で埋まるのが先か
何も無いこの夜に
全てが終わる筈も無く笑いが込み上げる

失う事にも傷つく事にも
嫌われる事にも裏切られる事に ....
でっぷりと
脂の巻いた腹を
波打たせて
浮かんでいる

隣では
これまた太鼓腹が
頭にタオルを被せ
キリストよろしく
両手を手すりに預け
うたせ湯している


あちらの薬草風 ....
一匹の獣と、一匹の蟻がいる。

獣は死んでいた。

蟻が、乾いた瞳の上をあるく。

雨が降りだして

蟻は、獣の闇に融け

獣は、はじめて涙をながした。
長く伸びた草野原が
風に揺れているので 波

転げ落ちた赤い実
踊るよ 上へ上へ

昨日 満開の花びらが
今日 空へ旅立つ色彩の吹雪
舞い上がる柔らかい湿度
甘い香りを連れて 一斉に ....
機械に変わり果てた
冷たく硬い手足
なくした血の臭いを
求めて這い続ける
わたしはヒトでしょうか
あなたはヒトでしょうか
紅茶を淹れてみます
ヘドロを吐いてみます
すっきりしないままに ....
 「今夜も夜空が見えない」と
  老いた猫が嘆きます
  だれも教えてくれませんでした
  嘆く猫の目が閉じられたままであることを
  だれも老いた猫には教えてくれませんでした

 ....
さかむけの内に秘めたるファンタジー

五線譜に線を書き足すファンタジー

玄関が二重扉でファンタジー

教会に入れなくてもファンタジー

ブラジルで猫を拾ったファンタジー

 ....
8つのおとうとは
私が夕飯時になっても
食卓に来ないので怒っている

8つのおとうとは
私を呼んでも返事もしないと
私の部屋のドアを蹴り
「何か悲しい物でも、隠しているのか」
と問 ....
障子を そりで 滑る
目で 滑る

黒い瞳は 夜で
誰かが つぶやいた

名前が 揺れて

ずっと そばにいるんだ
閉めた囲いの


すべっていくんだ
疑問符をつけてはいけません

押し付けてはいけません

まずい状況では
さらに状況が悪化することがあります

何かをねだるときに使うと
見透かされたときに危険です

正直、あまり使 ....
千波 一也さんのおすすめリスト(7731)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
歌_1- 岡部淳太 ...自由詩5*05-1-14
火星たんぽぽ___- 小池房枝自由詩8*05-1-14
オルゴール- 嘉野千尋自由詩9*05-1-14
母に- 大覚アキ ...自由詩605-1-14
プッチンプリン- 大覚アキ ...自由詩1105-1-14
マフラー- みもる自由詩305-1-13
人柱- 岡部淳太 ...自由詩4*05-1-13
大きな木になったムーア- つきのい ...散文(批評 ...805-1-13
東京都から- 天野茂典未詩・独白405-1-13
さざんか- 春日野佐 ...自由詩205-1-13
白い音の手紙- 霜天自由詩2605-1-13
こんにちは図鑑(二)- あとら自由詩3*05-1-12
こんにちは図鑑(一)- あとら自由詩4*05-1-12
歯医者〜妄想の時間〜- さち未詩・独白405-1-12
三本指の魔法- フォマル ...自由詩10*05-1-12
そえ_いく- 砂木自由詩9*05-1-12
希望について- 佐々宝砂自由詩8*05-1-11
一番大切な詩- みもる自由詩1005-1-11
便箋- 青色銀河 ...自由詩405-1-11
とある- たいにぃ ...未詩・独白3*05-1-10
明日(いつ)になったら_この胸は張り裂けるのか- 虹村 凌自由詩3*05-1-10
トド未満- 草野大悟自由詩405-1-10
夜叉- ベンジャ ...自由詩3*05-1-10
回遊図書/表紙- 千月 話 ...自由詩8*05-1-10
四六の唄- 佐々宝砂未詩・独白3*05-1-10
黒猫の話- 嘉野千尋自由詩5*05-1-9
ファンタジーズ- ピッピ川柳1005-1-9
おとうと、怒る- 月山一天自由詩1505-1-9
滑走- 砂木自由詩8*05-1-9
「愛してる」の使い方- ベンジャ ...自由詩11*05-1-9

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258