夜、下町の小さなアパートで
卓上電灯の明かりを頼りに母と子は
おもちゃのロボットにシールを貼る
内職をする

一つ貼り終わるたび、子は
十銭、二十銭と数えながら
一円になるたびに正の字を ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの


くるくると
回る
地球儀の おと


重ねた手のひらの微熱 ....
あなたへの想いを
ひとつづつ言葉に
置き換えていく

この透明な時間だけが
かろうじてわたしの
毎日を支えている
メンズポッキーって何だ!
メンズポッキーって何なんだ!
じゃあ普通のポッキーはレディースだってことか!
普通のポッキーを男は買っちゃいけないのか!
メンズポッキーを女は買っちゃいけないのか!
 ....
春の夜は楽園の匂い
夏の夜も楽園の匂い
楽園の匂いは花とココナッツと夜の匂い
大好きな人の体の匂い
体がふるえちゃうくらいイイ男の匂い
ふらふらとしていつのまにかしていたいの
考えるのはキ ....
降り立つ場所を求めるように
あなたは漂っている

薄い羽は
強く吹かれれば千切れそうなほどで
少しの風でも
自分の思うようには進めないふうで
でも
そんな目には見えないような空気から
 ....
午後
眠っていた蛾が
黄昏
翅を開き

きいろい燐粉がぱらぱらと
落ちるに任せる
音もなく

街灯が眠そうに
点きそうで点かなかったり

チ、チカ、カチッチッ、チッ

春だ ....
最後まで
涙は見せたくなかったのです

幼い頃から
ずっと我慢してきました
どんなに痛くても
どんなに哀しくても
誰かの前で泣いたことはありません

それは
わたしがわたしであるた ....
らんらんらん と いうほどではなく
ふんふんふん と いうくらいの
ちいさな
ちいさな
おうえんかが
こころのなかで なってます
たぶん
かあさんの こもりうたのこえで
私の意識の
極北に立つひとがいる

彼はいつも黒い服を纏い
時にその服を髪を風にたなびかせ
時に無風のなかに
その立ち姿の輪郭をくっきりと映し出し

時に彼は流れる水のような
ゆらめ ....
ああ、この手だ。
この手が、この胸に大きな波を呼ぶ。
私をふるわせる。
綺麗な手。
大きくて、がっしりしていて。

齧るように
親指だけを握ると、少し笑った。

ああ、この手だ。
別れのときは
置いていく人よりも
置いていかれる人の方が寂しい

そして恋愛は
先に好きになった方よりも
たくさん好きになった方が苦しい

どう考えても
あなたよりわたしの方が損して ....
一年前
あなたへの気持ちに気付いたとき
それを必死で打ち消そうと頑張った

でも 想いはどんどん膨らむばかり

一か月前
あなたから別れの日を知らされたとき
一日も早く忘れてしまおうと ....
そして穏やかに日は暮れる

夕方の公園には
足跡だけが残されている

子供たちや
その親の
杖をついた跡もあるから
お年寄りもいたのだろう

桜の枝が手をのばすベンチの下で
そん ....
業務員用入り口


とおりぬける

警備員さんの
笑顔はおだやか
かくされたとげがわたしをさすこともない

せいかつのいちぶを
そっとかすめて
ゆるやかにながれるのがきまり ....
つきよにおぼれた

さくらをつつむ

よぞらににじんだ

はかないつぶは

あわにやかれて

うかんだこころの

さけめをなぞって

やんわりふくらみ

おおきくなって ....
ばばちゃんが死んだ日のことは
よくおぼえていない


朝、いつものように食卓についたわたしに
ばばちゃんは何か話しかけた
たあいもないことだった
と思う
しかし あきらかにその言葉は
 ....
君と桜の下を歩く

これが最初で最後だと

俺は知っている


それでも

とても嬉しい


君との1分が

俺にとって永遠だから

君の笑顔が

俺にとっての永遠 ....
はっと、
目を覚ますと
ベッドの足元に
等身大のアンパンマンがいた
といっても
実物を見るのは初めてだったから
それが等身大なのかどうか
本当のところはわからない
つやつやのほっぺ
 ....
目が覚めて
ほんとうにもう
あなたは行ってしまったのだと
動かしようのない事実を
確認したとき
悲しかった昨日の夜より
もっと 悲しくなった
雑踏の片隅で
貴方の声が聴こえたような気がしたので
その声のする方へ歩いてゆきました。

そうしたら
其処には貴方の笑顔が在って
とても安心したので

私は其処に留まることにしまし ....
風景が通り過ぎて
自転車や
木の葉を揺らす風
水しぶき
金魚の尾
空に浮かぶ無数の帯
風は川底とおんなじに
空を冷たくして
夕焼けはかがり火とおんなじに
そちらを向く顔を照らし

 ....
拍手の音に似ている

何を
祝福しているんだろう


スタンディングオーベーション
観客総立ち
割れんばかりの拍手


自分を憎みきれなくて
誰かが号泣しているような
その映 ....
見晴らしのいい場所で
みているのは 髪の先

段々と 手につかなくなる
魔法ではない 肩に
誰も いない 不思議

時期に 寒くなって
いまに 暗くなって
ねえ みつからなく ....
それがあなたではないという
ただ一点の理由から
わたしはもう誰も愛せない
たった一滴のしずくが
水面に大きな輪をつくりだすように

たった一本のマッチが
森を焼き尽くす炎をつくりだすように

たったひとつのことばが
世界を変えてしまうかもしれない

わたし ....
心が寂しいから
穴を掘ってみた

心が寂しいから
岩を穿ってみた

しかし何も 埋まらなかった
春の鼻先で鶯どもが歌う
淋しい発声練習
その声に誘われて わが幼年の町へ向かう
死を虐殺する季節
音も 物も
すべてに色がつき始めるが
この骨のような町はいつまでも
錆付いた単色のまま
 ....
頼りない指先で
ちょうちょ結びをしてみせる

羽の大きさをそろえようとすると
紐の長さがあわなくなって
悔しそうに
また結び直している

手をつないで歩くとき
からめた指がほどけない ....
雨が降っているので
マグカップを左手に持って
泳ぐように家を出た

なにしろ左手は
マグカップを持っているのだから
なかなか上手く泳げない
気を抜くと溺れそうだ

駅に着いても安心し ....
千波 一也さんのおすすめリスト(7731)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
生きている工場- ベンジャ ...自由詩9*05-4-18
白黒のフィラメント- 嶋中すず自由詩4305-4-18
栄養剤- フォマル ...未詩・独白4*05-4-18
ただいま不適切な発言がありましたことをお詫びいたします- マスイジ ...自由詩14*05-4-18
楽園の匂い- チアーヌ自由詩405-4-18
波間の蝶- ベンジャ ...自由詩5*05-4-18
街灯- ふるる自由詩4*05-4-18
- フォマル ...未詩・独白2*05-4-17
うたごえ- さち自由詩505-4-17
極北に立つひと- 塔野夏子自由詩7*05-4-17
齧るように- かのこ未詩・独白505-4-17
ふと気付いたこと- フォマル ...未詩・独白5*05-4-17
諦め- フォマル ...未詩・独白1*05-4-16
花びらは美しく舞い落ちる- ベンジャ ...自由詩6*05-4-16
はるまち- 自由詩105-4-15
雨粒落下音- かぜきり自由詩4*05-4-15
ばばちゃん- 望月 ゆ ...未詩・独白7*05-4-15
☆191_サクラノシタデ- 貴水 水 ...自由詩4*05-4-15
拒絶された切れ端- 初代ドリ ...自由詩13*05-4-14
- フォマル ...未詩・独白5*05-4-14
陽の当たる場所にて- 阿部自由詩6*05-4-14
通り過ぎて- ふるる自由詩11*05-4-14
雨音- dew自由詩205-4-14
さえずる_雪解けに- 砂木自由詩4*05-4-14
理由- フォマル ...未詩・独白3*05-4-13
イマジン- 大覚アキ ...自由詩205-4-13
心が寂しいから- 感人自由詩3*05-4-13
骨の町- 岡部淳太 ...自由詩4*05-4-13
約束- ベンジャ ...未詩・独白5*05-4-12
会社まで泳ぐ日- 大覚アキ ...自由詩405-4-12

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