息を 
わたしたちは潜めて 
東の空の彼方から 
春がやって来るのを 
待ち侘びていた 

夜明けに 
うすい紫の風が
わたしたちの 
頭の上を撫でながら 
通り抜けてゆくとき ....
凍えるだけ渇いて
鈴の音も響かせず
降り積もる雪の夕暮れ

雲母の肌が 幾重にもはがれていくのです
許されてしまう小さな嘘 をつくたびに
セロファンの音を立てたりはしないのです

涙の ....
ももの花
軽い衣に春染めて
緑の枝葉も知らぬうち
蕾のままに頬はほころぶ

絢爛のぼんぼりもなく
錦糸の衣も纏わずに
春の節句の雛つがい
ももいろの
笑みに吹かれて
ひな祭り

 ....
緑のたぬきとして暮らしている
暮らすことに対しては苦痛ではないけれど
もう随分と古狸であるものだから
化かされているんじゃないのかと
ボンズで飲み食いした後
カードを使用すれば
店員は裏表 ....
{ルビ濁=にご}った泡水が浅く流れるどぶ川に
汚れたぼろぞうきんが一枚 
くしゃっと丸まったまま{ルビ棄=す}てられていた 

ある時は
春の日が射す暖かい路上を 
恋人に会いにゆく青年の ....
イタズラッコの春っぽの風っこが

ぴゅうと口笛を吹くように渡ると

空のほっぺたをっぽっと染めずに

かた物の茶色の樹々のさきっぽを

ほんのりももいろぴんくに大変身


 ....
わぁーといって駆けだした
川柳みたいなあめんぼう
鯨の巻き尺、眼鏡の噂
耳が無いから聞き逃す
踏んだり蹴ったり
ぼろぼろの
影絵を映して畏まる
いろはにほへとと
畏まる
三月三日のひ ....
戒律

日曜の教会の君の白い指若い和尚の無駄なき仕草



口移しそうっとくれたマシュマロは口に出してはいけない祈り



まっすぐな背中や胸を這い回る無意味な戒律汝犯せよ

 ....
青い朝が鈴を鳴らして合図する。
霧のむこうは、へらさぎが、雨音に耳を澄まして、
零を数え終えると、夥しい空の種が芽を出して、
幾万のひかりが降る。季節が連れて来る慈悲を、
寝台に凭れて、味 ....
ずっと前は黒電話

人指し指をひっかけて
ダイアルがもどる間に
会いたい人の
番号を呟いていた


プッシュフォン

短縮登録ができてから
電話番号を覚えなくなって
今は

 ....
まだ声が上手くいけない
扉の前で迷っていると
ここまでの、空の履歴が落ちてくる
からっぽになれる瓶の底には
薄い眠気で、まだ僕がいる


軽くなった手のひらには
まだ水分が、残っていて ....
シャムラン
とっても魅力的な
姿で

風をまとって現れた

シャムラン
本屋でばったり
かわいい唇
シャムラン

色々あって
僕の妻

どこからきたのか
何してたのか
 ....
満月と星たちが次々と、深い海底に落下して、
水鏡には黒褐色だけが見える。
孤独になった空は雲を身篭って、
粉雪を定まらない海底に落としてゆく。
きのう、海辺の空を眺めて笑っていた僕は、
今日 ....
  

ハンバーグに夢を
ぎゅっ と詰める君の手は
ほんの少しだけ小さすぎて
はみ出したその部分が
なんだか美味しそうだなあ
なんて
思った日から十二年
未だに夢は減らないらしく
 ....
こうやって部屋のなかから窓の外を見ていると、雨の中でしか生きられないけものになってしまったような気がする。穴ぐらのなかで、ひたすら雨を待つ。エサはあるのだが、自分のツメで獲物を引き .... こけこっこーで、
お目覚めっぽ。
お天気晴れたら、
お散歩っぽ。

窓の向こうを、
ちょっこり覗けば、
お外はとっても、
ご機嫌っぽ。

おべんとおむ ....
【桜】

元来色の白かった私が
薄ら桃色に色づくのは
きっと貴方の仕業です
今年も
また
染まってしまいました


【金木犀】

はらはらと散らすのは
涙では無く
貴方の残 ....
その日を過ぎると
君の背中から栓が抜け落ちて
とろとろと水、のようなものが零れていった
舐めてみると、海の味がする
帰っていくんだな、なんて思う
薄いお酒を飲みながら
時計の針を見ていた
 ....
       1
純白の太陽が沈まない世界で、峻険な断崖が水平な時間の裂け目に現われて、素肌が剥き出しになったやまびとたちが戸惑っている。首のない禿鷹の幽霊に急き立てられて、断崖を昇りきると、空 ....
大人になりたくない と
純粋に逃げ続けた頃は通り過ぎ
大人になれない と
不透明な迷路で行き詰まった頃に
私はあなたの詩にえぐられました


 初々しさが大切なの
 人に対しても世の中 ....
(くもはしろいだお
と、ノンちゃん色鉛筆の箱をひっくり返す
あいにく白い色鉛筆は
どこかに失くしてしまって
ノンちゃん覗き込むけど
箱はからっぽ
みつからない

ノンちゃん白い画用紙広 ....
すぎる光が
雪を揺らす
返らぬ応え
進みゆく火


安らぎに失われる言葉があり
ひとりの歩みに降りてくる
青く尾をひく虹彩の
重なる軌跡に降りてくる


赤い布 ....
夕暮れにはまだ早い

君は窓辺にもたれながら
溶けてゆく陽射しに
目を細めている

僕はこたつに入ったまま
足元でまるくなる
猫とつま先で会話をする

「オリンピックも終わった ....
逢いたやあなたと浜千鳥
緋と思しき爪折れは
叶わぬ侭の夢吹雪
いつかなりたや恋女房


待てど暮らせど来ぬ文を
遠い都と香り立ち
揺れる簪 手の鳴る方へ
棗に忍ぶ 恋は霞と


 ....
予鈴のずるさを聞く前に
抜け出してしまいたかった
靴に滑り込みながら
私は少しずつずれていく
それでも、毎日に所属している自分の姿に
ほっと、息が漏れてしまうのは
私のずるさ、だろうか
 ....
 ?
あなたは白い直線を引いてある水面です。
わたしは、赤い曲線を水面に描き込みました。
其 ....
生きてきた
ということと
生きる
ということを
つなぐ接着剤を探してみた
奇妙なことよと
笑われた

愛だの恋だの
言葉を環にして
誰かの指に通してきたけど
水に濡れた紙のように ....
                    
あなたがいて
華のようなあなたがいて
あなたが動くと、わずかにか ....
春は
思いがけない記憶を呼び覚ます

 フリージアの花びらが揺れていた
 恋に幼い心も揺れていた
 サヨナラの理由を
 頬伝った涙をさらう風のせいにして
 強がる笑顔で背中を見送った
 ....
ぜーんぶ わたし


よるのうたを うたうときも

ひかりのあめを およぐときも

ゆうやけのこだまを きくときも

なないろのかぜを ねがうときも

ほしといっしょに お ....
千波 一也さんのおすすめリスト(7731)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春はあけぼの- 落合朱美自由詩4006-3-3
送り火、揺らしながら- たりぽん ...自由詩1206-3-3
笑み桃色- 銀猫自由詩14*06-3-3
緑のたぬき- tonpekep自由詩11*06-3-3
ぼろぞうきんの春- 服部 剛自由詩18*06-3-3
*っぽ*- かおる自由詩13*06-3-3
ひな祭り- あおば自由詩5*06-3-3
【短歌祭参加作品】キッチンではだめ・・・- ふるる短歌16+*06-3-3
- 前田ふむ ...自由詩6*06-3-3
会いたい人に電話する- ベンジャ ...自由詩6*06-3-3
履歴書- 霜天自由詩306-3-3
シャムラン- ふるる自由詩5*06-3-2
いのちの感性- 前田ふむ ...自由詩13*06-3-2
記憶ちがい_2- AB(な ...自由詩206-3-2
雨(1986.8・4)- 木立 悟自由詩1206-3-2
「_っぽ。_」- PULL.自由詩19*06-3-2
三花繚乱_其ノ弐- 蒸発王自由詩5*06-3-2
栓抜き- 霜天自由詩1006-3-2
やまびとの詩—散文詩- 前田ふむ ...自由詩3*06-3-2
汲む—茨木のり子さんに—- まほし未詩・独白9*06-3-1
白い色鉛筆- 佐野権太自由詩11*06-3-1
夜と響き- 木立 悟自由詩106-3-1
まどろみ- ベンジャ ...自由詩3*06-3-1
新宿区「神楽坂」- 恋月 ぴ ...自由詩21*06-3-1
半日の休憩- 霜天自由詩506-3-1
鳥籠- 前田ふむ ...未詩・独白10*06-3-1
間隙を縫うには- アマル・ ...自由詩1206-2-28
美しい残像________________________- 前田ふむ ...未詩・独白10*06-2-28
青い春- LEO自由詩9*06-2-28
ひとつのわたし- 松本 涼自由詩4*06-2-28

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