星と礼
こしごえ

「最初で最後の、黙礼を交す」



いまはむかし
(この宇宙そらもなかったころ)
それは無としかいいようのない、事象でした
そんな折に私は、
星占いをゆめゆめ零さぬようにと、口を閉ざしておりました。
それから・・・・・・


鳥の羽根は、
水に濡れても、
かわけばしなやかに戻ります。
私の手は、
水に濡れれば、
時をつかむこともできずに
自由に溺れてしまいます。

ちぎれ雲に
乗せられた
吐息の熱を
果てしなく読みとって
転回する風速となった翼は、
(風を手にいれて)
今日を上昇していき
成層圏の曲面にそって
流れていく
絶対音感で、受精しました。

二度とは
失えないことを
くりかえしてきた死の所作。

くりかえすことのできない
一日を
生きてきた。
道をふりかえる時計の浸透性の、うすい唇を
安らかに歌った花は、つみとった指を断絶の
降臨と呼んだのか密やかで鮮やかな絶叫を聞
いた風紋の裸体が濡れて歪む刹那

蒼く血のさわぐ、星を生んだ礼








自由詩 星と礼 Copyright こしごえ 2006-11-02 09:23:19
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