そして小さなワルツ
キメラ
あるきつかれた鄙びたモーテル
きみは背のたかいテーブルと椅子に
ぼくはその向かいから
きみをぼんやり眺めていた
ふるい鉄マドから差し込む
外界のひかり
照らされ
スパゲティーを丁寧に口にはこぶ
しせいのきれいなきみないた
どうしたの
えいえんの絵画よ
長年月が瞬間にあふれだし
その可憐
回帰しきった面持ちに
この数年の壮大なイマジンが
無意味にかわった
浄化する涙
涙
嘘すらたよりにはならず
天使以外ではなく言葉は虚しかったから
ひかりに呑まれてしまい
だきしめるたび死にたくなる
この
音のない部屋で
生かされた真実が
やがてふりかえり宝石を抓むまえに
いまここでころしてくれないか
そんなものはないよ
ずっとかわらないものだなんて
ただ
あたたかな窓辺にえがお
もう
やきついて
とき折り見えなくなったり
焦点が凄烈に凍ったり
一秒の原理をのばしながら
媒介されたのは
かんぺきな韻律エクスターゼ
ひとつのはじまりが
交差した音
風がうたったさよなら
そして
小さなワルツ