そして小さなワルツ
キメラ



あるきつかれた鄙びたモーテル
きみは背のたかいテーブルと椅子に
ぼくはその向かいから
きみをぼんやり眺めていた
ふるい鉄マドから差し込む
外界のひかり
照らされ
スパゲティーを丁寧に口にはこぶ
しせいのきれいなきみないた

どうしたの
えいえんの絵画よ
長年月が瞬間にあふれだし
その可憐
回帰しきった面持ちに
この数年の壮大なイマジンが
無意味にかわった

浄化する涙

嘘すらたよりにはならず
天使以外ではなく言葉は虚しかったから
ひかりに呑まれてしまい
だきしめるたび死にたくなる
この
音のない部屋で
生かされた真実が
やがてふりかえり宝石を抓むまえに
いまここでころしてくれないか

そんなものはないよ
ずっとかわらないものだなんて
ただ
あたたかな窓辺にえがお
もう
やきついて
とき折り見えなくなったり
焦点が凄烈に凍ったり
一秒の原理をのばしながら
媒介されたのは
かんぺきな韻律エクスターゼ


ひとつのはじまりが
交差した音
風がうたったさよなら

そして
小さなワルツ








自由詩 そして小さなワルツ Copyright キメラ 2006-10-31 21:36:08
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