怪我をした。

硝子の破片を拾っていて、
怪我をしてしまった。
切れた指先から、
ぷくりと、
体液が盛り上がり、
やがて床に流れ落ちた。
染みになった。

 ....
おしまいの日がくるから
もういかなくちゃ
たくさん あそんだ

散らかったカード
クレヨン
すべてが
中途半端に微笑んで

楽しい時は
だけど
いつかは終わること
いったい
 ....
不思議だった
いつものオリオン座が
いつもよりも綺麗だった
寒い夜だというのに
しばらくの間
その輝きを見つめていた

不思議だった
いつもの霜柱が
いつもよりも美しかった
冷たい ....
流星群は行ってしまった
銀の光の尾は思ったほどの残像を残さず
地に這うものと宙空の距離を
夜という名で引き離す

星が流れる
わたしは物語として知っている、
祈りのかたちで
手を胸 ....
それでも

女の人が
涙ごとに流す{ルビ睫毛=まつげ}は
蝶々になるのですよ




『睫毛蝶々』


祖母の形見の化粧箱は
真っ赤な朱友禅に金糸の菊
中には小さい鏡もはめ ....
中学のクラスメートに
森君という友達がいて
かっこいいので憧れていた
なにが恰好良いのかというと
森という姓とはにかんだ笑顔

彼の顔を眺めていると
人生はひとことでは表せない
うっそ ....
北の大地では六花を呼び込む灰色の空が
重く色づいた樹々を
このまんま押し花みたいに
空に繋ぎ止めてしまえば綺麗なのに
芸術家気取りの冷たい風が
ハラハラと色を零していく
どうせなら ....
唇噛んできみは
嘘つきだね
本当は泣きたいくせに

街灯りに雨は白く煙って
アスファルトに伸びた
影を揺らしてる

黙ったまんまで
何を見てる
何を探してる
言葉に出来ない
夜 ....
壁を自在に移動する窓
持ち歩き可能な窓

心臓に取り付けるための窓

蜃気楼だけが見える窓

窓硝子に詩を書くための窓
叩き壊しても何度でも再生する窓

脱け出すためだけの窓
忍 ....
とどける。せかいのどこかでいきをころしている君の
ために、ひとつのうたをとどける。君がなにものなの
か、だれにもしられていなくて、しられていないこと
は、みたことのないけむりのようなかいかんでも ....
見上げると 
ひらひらと北風に舞う 
たましいのかたちをした 
まあるい葉が一枚
落ちてきた 

{ルビ煉瓦=れんが}の{ルビ椅子=いす}に座ったぼくは 
腰をかがめてそれを拾うと 
 ....
そこに空がある
今にも吸い取られてしまいそうな
大きくて濃く
そして深いこの空の中から
風の音が聴こえる

そこに花がある
今にも崩れ壊れてしまいそうな
小さくて淡く
そして可憐なこ ....
自分の名前を
忘れてしまいそうになる
遠いとおい旅路なのです
だけれども
決して忘れない
名前もあるのです

あの月と星をいただく塔の上で
そらに吸い込まれる
ただひとつの呼び名のよ ....
風が公園で遊んでいる
ブランコに乗っている
砂場で小さな山を作っている
広場でおにごっこをしている

風が公園で笑っている
ジャングルジムを伝わっている
ベンチの後ろに隠れている
ボー ....
君の口から吐かれる息は
さぞ幸せだろう

美しき
粘った
結晶の
綿がしのような
甘い、甘い
白息

僕もあなたの
綿となり
また
食べられたい

 ....
       1

十二月の眠れる月が、遅れてきた訃報に、
こわばった笑顔を見せて、
倣った白い手で、ぬれた黒髪を
乾いた空に、かきあげる。
見えるものが、切り分けられて――。
伏せられ ....
お空がこおると氷が降るの。
さみしくさむいの。
お星に還るの。

傘を広げて、
「こーるさいん。」
こおったお空には届かない。





こごえるの。
 ....
{引用=しん
と張りつめた空気の隙間から小さく 雪ふるる}

 氷点下の朝
 白樺の並木道
 枝の間から差し込むあたたかさ
 昨日の凍てつきなんて
 思い出すことなく
 鳥たちのさえず ....
 世界の片隅で生まれた風は
 猫柳の枝を揺らし
 水辺に群がる蝶の触手を掠め
 乾いた轍の上を砂塵を巻き上げながら
 叫びと響きを翼にのせて
 つむじとなって舞い上がる
 鋭いまでの切っ先 ....
壁の取っ手にかかった鍵は 
{ルビ紐=ひも}がほどけてするりと落ちた 
それを拾って結んだぼくは 
壁の取っ手に再びかけた 


( 紐をつまんで手にした鍵は
( いつも人の心の鍵穴に
 ....
ぼくらはいつも
見ていたんだね
同じ窓から
午後の青空
透ける葉脈
震える小枝
それらにも似た、未来

ぼくらはいつも
感じていた
同じ風を、違う感受性で

教室にいる ....
机の引き出しの奥に
わずかばかりの
どこにでもある土の入った袋
これがふるさと

都会のコンクリートの中の
ほんの少しのふるさと
自分が生まれ育った土

袋を開けると
ふるさとの匂 ....
灰色の夜明けに
屋上から飛ばした紙飛行機にのって
会いに行けたらいいのに

道には沢山の紙飛行機が墜落して
車にひかれてつぶれてる
ユニコーン
あの人から私を守って
ユニコーン
心傷付く前に

その蒼い瞳で私をみつめて
おまえのやさしい胸に抱かれながら
永遠の夢を見るのよ
汚れ知らない{ルビ処女=おとめ}のまま
 ....
みかん畑の夢を
あなたもいつかきっと見るでしょう
深い緑に
橙色が星のようです
母なる木の枝に包まれて
静かに眠るみかんの実は
いつか生まれた場所を遠く離れ
めぐり逢った人に必ず ....
胸のボタンを外すとき
あなたの狡猾な指先を思い出す
背後から不器用そうに
それでいて
未来に待ち受けているものを欺くかのように
(それなのに忘れられないのは
部屋の灯りを消しても
情念の ....
私とあなたが
星砂の浜辺を歩きます

くりかえし
打ち寄せる波は
過去から未来へと
永く続いている
時の呼吸です

波に乗せられて
次々と浜辺に
打ち上げられる
星の形をした砂 ....
ほし が でている
こんや は ここで
たおれよう なんの
みかえり も なく
ゆめだけ を みて  
シェリル
まぶしいな、区切られない場所は


名前を持つのかどうかも知らないような虫が
指先をつたってきて
それはぼくになにも響かなかったから
そっとしておいた



シ ....
ほら
落陽に絡み付く
銀のキラキラが
笑ってるね

また僕蝶々になる
碧の光の海を
いつまででも

音の無い部屋の
小さな白い少女
テーブルの上に
並べられた
真新し ....
千波 一也さんのおすすめリスト(7731)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「_こわちたのふたつめ。_」- PULL.自由詩4*06-12-19
海の終わり- umineko自由詩17*06-12-18
不思議だった- ぽえむ君自由詩17*06-12-18
祈りのとき- 銀猫自由詩25+*06-12-18
睫毛蝶々- 蒸発王自由詩5*06-12-18
笑顔- あおば自由詩6*06-12-18
*落ち葉*- かおる自由詩11*06-12-18
song- LEO自由詩22*06-12-18
窓のカタログ- 塔野夏子自由詩15*06-12-17
とどける- 岡部淳太 ...自由詩12*06-12-17
たましいの葉_- 服部 剛自由詩18*06-12-17
風の命が聴こえる- ぽえむ君自由詩9*06-12-17
誓い- たりぽん ...自由詩18*06-12-17
風が公園で待っている- ぽえむ君自由詩13*06-12-16
白息- なかがわ ...自由詩4*06-12-16
廃船——夜明けのとき__デッサン- 前田ふむ ...自由詩29*06-12-16
【短歌祭】「_さみしくさむいの。_」- PULL.短歌9*06-12-16
ひとかけらのお話たち- 夕凪ここ ...自由詩9*06-12-16
風を忘れた君へ__(Ode_to_a_nerd)- 月夜野自由詩13*06-12-16
鍵_- 服部 剛自由詩7*06-12-16
同じ窓から- Rin K自由詩30*06-12-16
引き出しの中のふるさと- ぽえむ君自由詩14*06-12-15
紙飛行機- 虹村 凌自由詩9*06-12-15
ユニコーン- 未有花自由詩14*06-12-15
みかん畑の夢- 遊羽自由詩19*06-12-15
悦楽(黒薔薇の微笑_其の二)- 恋月 ぴ ...自由詩33*06-12-14
星砂- 三条麗菜自由詩17*06-12-14
そろもん(旅人の話)- みつべえ自由詩1206-12-14
シェリル- 白雨パル自由詩14*06-12-14
メタフォル- キメラ自由詩606-12-14

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258