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6月の雨音が
少しずつ夏を連れてくる
色々の傘とあじさいの花
ゆっくりとすすむカタツムリ
ねえ
ほたるはもうとんでいる?
大昔のあの人も
時間をきっと持て余して
広い庭を眺めていた ....
壁に吊されて
忘れたいことなどありはしない
色とりどりの画鋲が
それぞれの過去を留める
僕は整理できない
だから
貼っておきたいんだ
伝言板のように
メモみたいな思い出から
....
みじかい夜がおわって
きょうがはじまると
君のてのひらがすこししめってくる
青いような赤いような
夜あけまえ
だんだんとあかるくなってくる
あれは
かきあつめた命が
燃えるから
....
さざ波は洗う
苦悩と欲望と偽りの岸辺を
弱い力でも
繰り返せば
削り取り
露にするのだ
真実の姿を
然し
誰も見ようとはしない
冴えゞとした
....
母さんの前でうまく笑えない
母さんは昔、私の頬を往復ビンタした
母さんは昔、私を木に縛り付けた
母さんは昔、私の手の甲に煙草の火を押し付けた
何度も
....
ゴム跳びの向こうに何が有る
右足は 泥沼
左足は 川底
右手は 叢
左手は 岩
尻餅 付いた 瞬間に
皆が 笑うよ 花いちもんめ
くるくる回る 茎の隙間で
蓮華草が 楽 ....
ふと気が付いたんだ
最近の病院は病院のにおいがしないって
薬やエタノールの混ざった独特のにおい
目を瞑っていても何処にいるのかわかるにおい
長い間生活した入院病棟の個室や大部屋
白い天井 ....
ぼんやりと 外を眺める
雨の日
誰もいない校庭
賑やかな廊下 教室
ただ 退屈な、
いや、馴染めないでいる
寡黙の私
語りかけてくる
言葉をさえぎるようにため息
チャ ....
日傘を差した女の影が
歩道の凹凸を滑って行く
踵を返す青い熱帯魚
フルートの鋭い閃光
アイスピックを ....
アナーキーリストではないけれど
抑えきれない 破壊衝動
抑圧された感情が 噴火する 私を突き破って
今が平和な世界だなんて 捏造された幻影で
現実は腐蝕された世紀末の様相
全てを破壊して 新 ....
*俺は無差別主義者じゃねえ けれどよ・・*
いつもひょっこり顔を出す
厚い扉の向こうから
忘れた頃に
開け放つのは
私が私であって
貴方とそれほど違 ....
上も下もない
箱の中にいるときでも
外には星があるのだろう
みえなくてもあるのだろう
信じているとつぶやく
証拠がみたいとつぶやく
きっとそんなものはないのに
それでもほしいと願 ....
父の日が
なにごともなく過ぎていった
大きな肉も
豪勢なおさしみも
激励感謝のラベルのお酒も
関係のない私の昨日
ふと
私の父があわれになった
今どこにいるのかわからない父が
....
言いたいことだけ言って
消えてしまう卑怯者
なんで 逃げ出すのかな
別に喧嘩する気もないけど
空っぽの主張って虚し過ぎない?
偽善やきれいごとで 世間の注目を集めて
その実 無意味な言 ....
あなたが発する
魔法の言葉
また明日な。
これだけで
ものすごく
ホッとして
救われる。
また明日ね。
明日は
どんな話をしようか。
明日は
どんな話をし ....
思い出の国に目覚める眠り姫
映画を観たり、キスしたり、
その度、僕の胸はキュッと痛くなる
おれは殺風景
がらんどうで埃濛々
だから昼の檻に閉じ込められた
オオミズアオなんか見つけると
こんな錆びついた工具のような手をしながら
そっと 捕まえてみたくもなるものさ
....
私がその色を好きなのではなく、
その色が私を好いているから画面で美しく輝いてくれるのだと
そういう自惚れた考えかたをしていた10代の頃
私とその色とが共鳴しているのだ、と思っている今
....
スパイラルの踊り場を形成している
郊外の台地にたたずんで
黴臭い俯瞰図をひろげたとき
ベートーベンの交響曲第六番こそ
漂ってはこなかったが
青い無窮の虚空に飛翔 ....
彼はその 小さな両の腕に
美しく小さな光を放つ 玉(ギョク)を抱えて産まれた
そう、彼こそは
明けぬ夜の闇に支配されし世界に
再び光を授けんとする使者である
月のむすめは 彼の誕生を知り ....
いつもなら
三月にくるはずだった
つばめがまだこない
家族はなにもいわないまま
その空間をみていた
朝 つばめが
そこにとまっていたから
ふんわり空気がやさしくなった
少し ....
雨の日に
西瓜をノックすると
入ってます、と声がする
ぽこん
西瓜まるごと持つと
かなりの重量感があるのに
成分はほとんどが水なんだってね
ふうん、そうなんだ
果物を食べると
....
男爵は いつも無口で
広いとはいえない 館の庭で
空を見上げて過ごしている
男爵は いつもひとりで
社会情勢にはまるで無関心
話しかけても 退屈そうにまばたきするだけ
男爵の世界はとて ....
私とリリーは旧知の仲で しょっちゅう双子に間違えられた
リリーの周波数は私と同じで
二人でいれば何でも乗り越えられたんだ
だけど 私は知っているんだ
リリーの方が賢くて
リリーの方が絵が上手 ....
来世でも
ふたりが出会える目印に
名前をつけた
名前おぼえた
お互いの
泣く声 叫び
そのまんま
音にしてみて
言葉じゃ
まるごと
伝わらない
体験
気持ち
音にして
君が ....
汚れちまった悲しみに……
中也の悲しみは
なんだったんだろう?
彼は孤独人
人を欲っしながら
人を拒絶していた
誰にも理解されない
運命を受け入れた
その引き換えに
神から創 ....
私たちは雑食で 草でも肉でも食べているけど
全て命あるものであって 命を頂いているわけだよね
つまり 私たちを創っているのは他の命で
私たちを動かしているのも他の命
私たちのために殺された ....
チョコレートみたいに
小さくてもしっかりあなたを癒せたら
自然に
するりととけるように
ゆううつなときも
かなしいときも
小さな粒は
味方になってくれる
チョコレートは ....
瞬く
瞬く
まばたく
またたく
煌く
嘆く
いや
嘆かないで
何度も 話し合って
決めたこと
双方が
こくん と
頷いた
筈だったのに
何故
違う ....
優しさが欲しかったが愛が欲しかったわけじゃない
笑顔が見たかったが微笑んでほしいとは思わない
なにもいらないなにもいらないなにもいらない
....
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