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入道雲をたたえ
湿舌を呼びこみ
晩夏を告げている
つくつくぼうしのひと鳴きを聞く
木陰を濃くした公園の広場
その許で
こどもたちは流れる時に邪念がない
....
平均余命が一桁となった
老耄にとって
それは それは 想いがなごむものだ
住宅街を素通りしたとき
たまたま耳にした
おさなごの弾んだ
金切声の基調演説 ....
祖母が大事にしていたサボテン
それが枯れて軒下に放置されると
ひ孫がデッサンの対象にしてしまった
(若し温室に並んでいたら
祖母は民話の対象にしていたかも知れない)
....
夏 木陰からの風がほしいのに
木漏れ日だけで充分なのに
冬 すきま風でも厭なのに
日向ぼっこだけで満足なのに
どうして あまのじゃくなんだろう
コスモスの花芯 ....
気温が寝返りを始めた
セミの放尿が始まった
レースのカーテンがヨガを始めた
海老の家老が目糞を掻き出し始めた
やがて 市道で唸り始めた
ゴミ収集車が朝の鼻歌を
そして 近 ....
地平線をトリミングする山はない
(従って心を潤してくれる一級河川はない)
水平線を指呼できる前庭はない
(従って体を洗ってくれる潮騒は聞こえない)
そんな転居先の片田舎だが きょうは
遠 ....
そういえば二十数年も前のことだったかなぁ
三輪車に夢中だった孫の
遊び相手をしながら
公園の勾配がある芝生の上に腰をおろし
それは それは 楽しいひととき と
ためらはずにお ....
一日二十四時間声帯をチャック
虫歯の家並みを素通りして
歯肉炎のプロムナードをさまよう
伴走するアベニューからは
「時」に螺旋をえがく
赤い「風」のサイレンと
「空」に山彦をひろげ ....
かぜのやさしい日
ガラス窓を開示して 勧めました
レースのカーテンに
腹式呼吸を
ひかりの淡い日
裏木戸 ....
梅雨の隙間から覗く太陽が
午後の峠を越したころ
昼寝をむさぼっている街頭に
黄ない帽子がデッサンされる
それは それはいとおしい風光だ
そして 宿題をいっとき忘れているのか
....
一度ならず 三度までも
easy going にあまえたまま
いのちびろいしてきた おいら
老残になって やっと気づく
「時」は「風」にながれ
「空」は「光」にひろがっている
....
梅雨の隙間がもたらす
フォークダンスのひとときを
ウラノスに捧げようとしているのか
足太鴉がわめきあっている
まさか 住宅街での縄張り争いでもあるまいに
それとも 恋の鞘当 ....
ほころび逝く身の上からは
神経と細胞のだましあいで
気力が消えている
肋骨と腹膜の差し違いで
弾力が失せている
その上想像力も・・・欠けて
(花 ....
スパイラルの踊り場を形成している
郊外の台地にたたずんで
黴臭い俯瞰図をひろげたとき
ベートーベンの交響曲第六番こそ
漂ってはこなかったが
青い無窮の虚空に飛翔 ....
ほんぐもりではない
うすぐもりでもない
うすばれともいえない
どくとくのつゆぞらである
でも 紫外線はいちばん恵まれるという
四季を通じて
いつのまにか ゆびがすべって
....
地元の放送局が報道の谷間で盛んに流す
季節を告げる百花やwild birdを息抜きみたいに
だが コスモスだけは 天邪鬼にも
現世の四次元で
範疇外の狂い咲きを見せつけ ....
厳冬期 不本意な入院のため
南の高気圧を敢えて待ち焦がれたのに
退院後は血圧・体温・体重に振り廻され
長寿遺伝子ょ栄えあれ と
一喜一憂の毎日
お笑い草とは ....
わす
れ
忘れていた深呼吸
が
....
こずえに黄緑がこおどりしている
それは
節季に生かされているからだ
けして「自力」ではない
「他力」の節季に促されているのだ
おらが「風」を肌に沁みこませ
「光」を眼底に取り込め ....