すべてのおすすめ
空をなぞって
言葉がはじけていたのは
少年だった頃
女の子がおはじきに
言葉を色分けして空き缶に詰めていった
夏の海に帰る前に
すき
という二文字が ....
滑稽な姿ばかり写しては取って夜の中
などもう恐れることはないとそう言っては
話を続けることができない時間の真ん中
思うことは
針のように細い光の角度を
何度も見つけては消え
掴んでは投 ....
ショーウインドーには
『幸せ』が並んでいる
金で買える『幸せ』が
君の心の中には
『幸せ』が並んでいる
金で買えない『幸せ』が
どちらの『幸せ』もない僕は
こっそりと親指の爪を噛 ....
受信
下書き
送信済み
ゴミ箱
送信
迷惑メール
今の若い世代と付合っていると
私との会話はだいたい
メールボックスのように
振り分けられる
例えば、息子
私の言った ....
26年目の記念日
落ち着く和食居酒屋の個室で
あたしは
貴方に
指輪ケースを差し出した
もう一度 はめ直して
いつの頃からか
あたしの薬指には 指輪の跡さえ
なくなってい ....
毎朝君の家の前を
自転車で通り過ぎる
しばらく走ると
駅に向かう君の後ろ姿が見える
昨日も会えた
一昨日も会えた
そして今日も会えた
艶やかなロングヘアーが
朝日を浴びて輝 ....
瞼の奥で失っていたことに気づく。しかし、
それが、髑髏を巻いていたひと夏の感情だ
ったのか、それとも、行きずりの女が床に
棄てた水着の匂いだったのか。朦朧と立ち
込める喪失感だけが、ドラム ....
溜息をつくと幸せが逃げる
そう言った人がいた
幸せを呼び込むには
どうすればいいんだろう
きっと『愛』を叫べばいいんだ
好きだ
愛してる
抱きしめたい
君しかいない
一緒 ....
雲に乗って東へ流れ
風に吹かれて西へ流れ
人波に乗って南へ来たら
巨大なネオンに食べられた
大きな口をポッカリあけて
私をまんまと呑み込んだ
星の隠れた夏の夜は
そっちへ行っちゃあいけな ....
重ねると傷になるからね
特に完熟
「桃太郎」は品種名
「トマト 妻せつ子」はブランド名
品種による
大玉、ミディ、ミニは、あるけれど
それだけではない、育て方で
品種の普通より小 ....
森の中に独り
命の香りを感じる
高層ビル群の中とは違う
少し湿り気を帯びた
静かな空気
街にはあんなに人が居るのに
なぜどこか刺々しくて
無機質なのだろう
森は違う
木々 ....
ひとひら
手のひらに乗せてみると
ちっさい象みたいな形で
足の裏がかゆくて
恥ずかしいような
気がして
いつかわたし
旅に出る時の
準備を
まだしていなくて
それは
きっと
....
愛しい沈黙の最中
それは突如 利己心を振りかざした
真昼の無重力室で
それは機械的に弄り続ける
かけられる言葉は
どれをとっても
私に宛てられてはいなかったし
拒否権をほのめかさ ....
かつて、私の泣き声の
代わりに歌ってくれた小さな川
その横を闊歩する
今の私の泣き声は
私の子宮にうずまいているから
軽やかに
川縁を散歩することが
できる
水の流れる音
さらさ ....
いつもそっと寄り添っていた君
無口だったけど
精一杯の優しさだったんだね
君が去って思ったよ
僕は酸素の足りない金魚鉢の金魚さ
見苦しくアップアップしているよ
独りじゃ生きてゆけな ....
陽が射してきた
ジメジメした心の片隅に
気色悪いカマドウマを
光の矢で刺し殺せ
奴は生きる気持ちを
食い荒らすから
陽の光
君の言葉
手の温もり
暗く湿った心の片隅
....
イエローサブマリン
を聞いていた
煙の向こう
私が生まれる前の出来ごとは
当然知るはずもなく
知らないことだけが
美しいのだと
信じていた
あの頃
私たちは若かったのか
知ったかぶ ....
一日に一度は玄関を開けているだろう
仕事に向かうためだが
僕は薄汚れた透明な抜け殻を羽おり
「僕」の言葉を放り投げる
外に出れば
そこは樹木の生い茂る密林だ
昨日通ったはずの道は
....
君の残り香が漂う
淡いニヒルが在る部屋で
私は一人、朝日を浴びる
悔いることは山程あり
嘆息をつく暇すらない
林檎をほじっては
諦めぬよう口をふさいだ
ただ、君は
何も識らず走 ....
沈む太陽は真っ赤に染まり
朝に真っ白になって蘇る
雲はこのドラマチックな再生を
反射させて演出する
空はこの死と再生の間を
透き通る蒼で見守っている
鳥はそれを知っているから
....
つい昨日まで 真夏だった気がしていたのに
つい昨日まで アイスキャンディーがだらだら垂れて大変だったのに
知らないうちに秋が夏を誘いにきて
わたしの20代最後の夏を奪っていった
まだまだ汗だく ....
人の歩みは
都会(まち)に咲く花
出てきたやつは
最初に真似る
東京の人は
悠々と歩く
わき目も振らずに
自信に満ちた足取り
「すべてを決めるのはあくまで俺だ」
....
食べたい食べたい
我が儘な大食漢
種も雑草も卵の殻まで
シェフには不本意な味付けでも
加工前の葛藤まで全部
足りない足りない
無自覚な中毒者
馬鹿騒ぎ ....
マルゲリータ
シーザーサラダ
マンゴープリン
おそろいの指輪
おなかいっぱい、やわらかな夜
死とは
すぐ隣で眠る猫のようで
ついふらふらと撫でてしまいたくなる
その感触は
あまりにも甘美で
うっとりと引き込まれてしまう
死の猫は
眠ってるようで
常にこっちを気にしてい ....
父のためにメザシを焼いている。
メザシから出てくる
もうもうとした煙
父のためにメザシを焼くなんて
つい最近までは
思いもしなかったなあ
留守中の父が戻ってくるまでに
焼いておいて差 ....
*
女に頼る男ほど不甲斐ないものはない。
女に甘える女ほど不細工なものはない。
*
暖房の効きすぎた車内に長居することは
濃厚なガトーショコラをワンホール食べることに似ている。
もたれ ....
無防備な網膜を焼き尽くすように
太陽が全力で燃え盛るなら
私は夏の夜になろう
草いきれの温もりと一番星の子守歌
小さな背中をくすぐる風で
零れた涙を何度でも拭こう
私の祈りは雲にな ....
涼しい風に乗って
赤トンボが行く
僕たちを見つめながら
スイスイと行く
何となく僕は照れて
紅い夕日を眺めてみたり
夕暮れどきの君は
ほんのり朱くて
可愛くて
「生」
有限のもの。
熱を放ちながら、絶え間なく動き続けるもの。
「命」
無限のもの。
形や色を変え、どこまでも広がる時空に在り続けるもの。
「宙」
青空のずっとずっと上 ....
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