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昔、17の頃
漢検2級を取ったことがある
余命わずかの父は
送られてきた賞状を
額に入れ壁に飾った
ぼくはすこし嫌な気がしたけど
今そのことがふと思い出され
父の心がスっと入ってきた ....
夜、目を覚ましたのを不眠のせいにしたくなかったから、大好きなシティポップをかけて、時がすぎるのを待った。
必死になって、社会の面目にしがみついているのに、春ですよと勝手に花が咲きやがる。
いい ....
ある夜
夢の中では
母親の首をしめている自分がいたんだ
思い切り
力の限りしめたんだ
そしたら
母親が必死に抵抗して来て
その顔は苦悶に歪むんだよ
だから
俺は母親の首の骨か ....
僕は見ていた きっと
この空の下の風船であるかのようにして
バス停のベンチの上で 空の向こうを
見つめているものとして僕は横切っていった
目に 僕は知ることによって
遠い宇宙?
未来の世界?
ううん
短いあくび
窓は四角い
空を縁取り
月を映し出す
人生の切れ端に
きみの記憶があって
思い出そうにも
夜は冷えます
どうにもぼくは
感傷的には ....
誰かの影響を受けて
発言したり、作品にしたりしても
効力を持つのは
読んだ人間が原文を読むまでの間だと
いうことを忘れてはいけない
自分しか知らない
自分しか読んだことがない
という優位 ....
殺したい
ゴキブリだからなんの問題もない同じ日常の中で
カセットコンロで鍋を食べようとした
何かたらない
何かたらない
ビールが食卓にのってないんだよ!
あっ違った
俺は何年も前 ....
二〇一六年一月一日 「20世紀アメリカ短篇選」
『20世紀アメリカ短篇選』は、むかし上下巻読んだんだった。でも、ひとつも憶えていない。きのう、スピンラッドの短篇集だと思っていた『星々からの歌 ....
万華鏡
相対的に、身体の機能が低下しつつAI脳に成りつつある僕らは固くなりつつある
ことを知っている観測者目線は
背中を誰かにみられていると意識している
諸君‼️新型コロナウ ....
連れてきて5年は経つだろうか
当初から敷き詰めた砂を蹴散らしては小さな魚を追い廻す
我が物顔で水槽の中を暴れ廻っていたおまえも
わたしの姿を見つけてはじっと動かなくなる
大きく成長するのも ....
玄関を勢いよく飛び出して
自転車をマッハでこいで
新学期の教室にダイブした
舞う埃と
弾む息
新しい教科書に
名前を書いて
ぼくは台所で
お茶を一杯飲み干す
クラスメイト
出席番号 ....
桜が咲く頃は雨が降る
しとしと雨が降れば
耐えられず散り始める
去年は満開になってすぐ雨が降った
今年は今のところ降っていない
明日は雨らしい
ジメジメした空気になり
雨が近 ....
うつらうつらする
この午後に
鳥は囀ずり
地は照り映え
私の憂鬱と倦怠は
一吹き風に溶けていく
)なんて優しい午後だろう
)遊ぶ子供の声が窓辺から
)うっとりゆっくり流れ込む
) ....
白銀の沙漠を
虹色の蝶が飛んでゆく
空に浮かぶ
とげとげしいアンニュイ
よそよそしい眉月
こわれかけた風
すべてが崩れ
海に沈むころ
ふぐりを掻き切って産まれる
まん丸のつややかな紫よ
鼻持ちならない太陽の
....
哀しみあるいは悲しみを
膝の上に乗せて
よく眠ってくれるから
ひと時煙をくゆらせるように
ギザギザした鍵を
胸に刺したり抜いたりして
酒と音楽でにじんだ幻を孵したい
ああこの夕暮れが ....
絵画というのは
色彩の芸術だ
パッと見て
美しいと思えたら
何が書かれていようが
関係ない
何も書かれてなくていい
色の組み合わせさえあれば
時代背景や画家の人生から
理屈をこねくり ....
たおやかな
緑の群れ
揺れて
踊る影は
光の万華鏡
私は静かに傾いて
遠くの森のザワメキを聴く
十四歳のある日
ぼくは
あらゆるものが
きっとこのままなのだ、ということに
気がついた
ひとは、ある種の
限られたコミュニテイは
このまま
もう
どこにも
行くことはないの ....
無音の夜
椅子を引くと
机の下から
白い骨壺の
カタカタと鳴る
「寂しいのか」と尋ねると
鳴る音、一際激しく
なり
無音の夜
ますます深く広がる
と、
足許でカタ ....
桜の若葉
小鳥の囀り
雨の日の夜風
それらのように
雄弁にはなりきれず
言葉を使い
嘘をつくもの
である私
私は
あなたがいて
はじめて
言葉を持つ
そして
私は ....
このまま地球の温暖化が進む事はあっても
ふたたび氷河期が訪れる事なんてないんだろうか
自然は不可思議の世界
何が起こるか
想像つかない
今朝は憂鬱な雨
いっそ地球をおにぎりにして
....
夢の蝶、舞う
遠去かる
宇宙の縁に触れ 燃えあがり
忽然と消え また現れ
あらゆる現の美をよろめかせ
その軌跡のおぼろな輪郭を
響かせて 響かせて
追い求めた末に手に入れたのは
後悔だけで
似たような形状の夢たちは
いびつに微笑んでいる
見知らぬ道の桜吹雪
励ましのつもりでも
わたしには冷やかしである
咳払い一つで世界が ....
わたしたちの研究対象は
絶えず対照的対称性にあった
*
甲羅を花で飾られた亀は
光と影の境を歩いて行く
停止した時間の
空間にドレープを生じさせ
記憶からの香り
鏡へ顔を沈 ....
20数年も前になるだろうか。たまたま帰り道に寄った駅ビルの居酒屋で、長い木目調のカウンターに腰掛け、惣菜のつまみをちびちびと頬張りながら熱燗を吞んでいた初老の男性と話したことがある。最初は遠慮 ....
その日持たされた母親の骨壺が熱くてビックリした
斎場から葬儀屋のバスに乗って実家に向かう途中
最前列の席にすわりながらじっとその熱さを我慢しながら
骨壺を両手で持ちながら胸に抱えていた
五 ....
かあさんと
眠りについた
こどもの頃を思い出す
暗い部屋が怖くて
オレンジ色の小さな電球を
お願いしてつけてもらっていた
しょうがないなあと笑う
かあさん
ささやかな幸せを
....
風のにおいがする、花の音がする。逃げてゆく春の背だ。
だれかをこころの底から愛したことがあったかどうか、ふと、八重桜のうすひとひらに触れそうにして胸苦しくなるんです。あなたもです、私もです、お互 ....
「にげる」
なにものからも逃げたものが
なに食わぬ顔でなにもしないでいる
すると
なにものをもにがしたものが現れて
なに食わぬ顔でいるものの所在を
不明瞭にしてしまう
なに食わぬ顔で ....
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