桜、散る
入間しゅか

夜、目を覚ましたのを不眠のせいにしたくなかったから、大好きなシティポップをかけて、時がすぎるのを待った。

必死になって、社会の面目にしがみついているのに、春ですよと勝手に花が咲きやがる。
いいよな。嘘をつく口を持たない奴らは。と、ぼくは嘘をついたのに、聞こえないふりをした。ほんとうはって言いかけて世界征服を諦めたんだ。

世界はさよならとはじめましての砂時計をひっくり返して遊ぶ。花が咲こうと散ろうと、ちっとも関わりがなかった。遠回りしてきたことを誰かのせいにするのやめたい。

ほんとうは違う。ほんとうは違う。
ほんとうは違うって言ったけど違う。
ほんとうは違うって言ったけど違うのは、本質的に異なる。ほんとうは違うって言ったけど違うのは、本質的に異なるけれど、根本的に間違っているので、
そうなのかなぁ。
首を傾げる。
桜、散る。


自由詩 桜、散る Copyright 入間しゅか 2021-04-11 08:06:42
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