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ドサ健バクチ地獄を
中学生の頃から愛読してきたが
所詮良いとこのボンボンで
成績優秀の俺が
博打の世界に身を投じる必要もなく
結局のところ26年近く
一流サラリーマンの座に
甘んじてきた ....
あしたの風は明日の風
いま吹く風は今日だけの
少年は何を聴いたのか
過日のきょうに吹く風に
春の夕焼け
冬茜
秋の黄葉映えるあお
薫風の運ぶ雲過ぎて
また夏が来る/
「覚めない夢もいつかは覚める
闇の深みにスポットライト
行き来するたび変身する
――あなた
咬み合うヒュドラのよう
分裂と統合の具象化
象徴としての女神よ
純・錯覚 恋は
中空の象 ....
うすい影がゆれている
くちばしで
虫をついばむのだけど
やわらかな影であるから
獲物はするりと逃げてしまう
{引用=命でなくなったものは
もう命には触れることができない}
それでも ....
夜明けにだけ
列車の着く駅があるという
そこでは誰も降りないが
そこから誰か乗りこむという
言葉は置いてゆくという
言葉にはできないものを
探しにでかけるところだという
あたらしいものは ....
優しく 優しく 優しくしたいのに ごめんね
電話の相手は不具合で私の灯火の余裕が吹き消されそう
テーブルの横でつかまり立ちを口を尖がらせて練習する弟
そしてやがて3歳になるお兄ちゃん ....
澱んだ空が憎たらしくて
蹴りをいれたいのだけれど
殴りつけたいのだけれど
想いさえも届かなくて
精一杯に唾を吐きかけ
考えつく限りの罵声を浴びせ
それでも気持ちが収まることはなく
さらに ....
瀧の夜
火を拾う指
音の無い径
水たまりの径
水の音は鈴
鈴の音は夜
夜の地図は水
光の指をひたす子らの声
火は火のまま底へと沈み
水面に言葉 ....
夕方ふと足を止めた
流れ去る風は何処へと向かうのか
気付いたらここまで来ていた
借り物の身体 何処まで行けるかな
明くる朝ふと息を止めた
細胞は許してはくれなかった
何だか胸が苦しく ....
曇り空を見ていた
コンビニのベンチで
缶コーヒーを飲みながら
部屋に篭っていると
自らの身体の痛みに
意識が集中してしまうから
近所のコンビニのベンチで
ずっと空を見て座っていた ....
裏庭に面した
ガラス戸をあけると
冬のあいだ 我慢していた
レィスのカァテンが
待ちわびたように
それは見事な波を創って
(そして
....
とっくに終わったよと
あきれ顔で南の国に言われそうだが
待ちに待った開花だ
長かった冬に別れを告げる合図だ
こんにちは
思い出を咲かせる
友よ
熟れた苺は
三温糖の甘さで身をもちくずし
林檎は
シナモンの香リを身にまとわせながら
北国の樹を忘れてゆくだろう
{引用=ずっと果実でいたいという純心は
換気扇のはねに吸われて}
....
おとなの字じゃないから
と口をとがらせたとき
ルーズリーフに
野花が咲いたのかと思った
息づかいのリズムで
少しだけゆれる髪と
同じようにさらさらと走るペン
の後に花が咲いたのかと
あ ....
月のひかりを求めてちいさな不思議が森を出ていく
君たち塩梅は
ちょうど同じころだ わたしは森に一歩を刻む
……晴れ晴れと
ゆるやかな坂の上りも下りも選べる彼ら
時の源泉にゆるされて
よ ....
【人間になれなかった】
人間になれなかった
野原をひたすらつんのめり
海原を懸命に切り裂いた
だが
人間になれなかった
人間はずっと向こうにある
どこを走ったのか
どこを泳いだのか
....
そとのあかるさは
風のように部屋を訪れる
異国の布の隙間からのエトランゼ
誘うように歌いながら
もう春のワルツでなく
初夏、その一歩だけ手前の
ひと時だけの静けさへの{ルビ招待状=いざ ....
病棟の窓から
自分のふるさとが見える
上から眺めると
人が住んでいるようには
まったく見えない
山と木しか見えない
まるで緑のジャングルのようだ
あんな所で
生まれ
育って
都会へ ....
ホームパイ 割れた原因 キツツキか
円柱の 赤に差し込む ラブレター
春になり 下されるのは どのポスト
クチバシで 作る樹液の 吸い口を
ココア味 買いそびれたの ホーム ....
すでに起きたのか
これから起きることか
おまえの吐息 ひとつの形のない果実は
始まりと終わりを霧に包み
不意に揺れ 乱れても 損なわれることのない
水面の月の冷たさへ
わたしの内耳を し ....
どこかで誰かが泣いていても
私はまったく気がつきません
どこかで誰かが笑っていても
私はまったく関係ありません
けれど
今日も沢山の人が感情を殺して生きている
....
彼方少年はいつも彼方を駆けている
街の彼方を
丘の彼方を
地平の彼方を
世界の彼方を
彼方 という成分が
分離しようもなく組み込まれてしまっている
だから
たとえば
自ら ....
像の消失した世界、
ふとした瞬間に立ち上がる
全て失い弱り果てている時に
神経尖んがり一杯一杯の時に
無視しても無駄だゾウ
ソレは混沌を超えた
異様な響き力動の界
剥き身の形象世 ....
生きていてこそ
花を見つける
実りを見れる
カルピスは美味い
生きていてこそ
空はあおく
雲はしろく
カルピスは美味い
生きていてこその友よ
生きていてこその私だ
未来 ....
ちいさな公園で
ブランコをこいでいる
あれはともだち
ほうりだされたカバン
あそびすり切れたクツ
おりおりのかわいい花
うつりかわる葉のいろ
近くなる遠くなる空
すりむいて熱い ....
ある晴れた日に
平野にあなたが帰ってくる
自転車を避けながら
国道の渋滞にめまいを覚えながら
膚がかさかさになる家に
丘からそれを見つめている
思わずふたりは
....
雲の隙間から降りてくる
やわらかい陽射しから
「 」
って聞こえた
それが
はじまりで
それで
おわりのようだった
結局
きみにとっては
ってつぶやいた
空 ....
さて今日も花が咲き
往来はあざやかな灰色
卵を割る指に思いが絡まって
( )
シャツを洗い シーツを洗い くつ下を洗い
はがれ落ちる自意識をかき集めてくり返し洗い
....
新しい季節は いくつかの出来事を
思い出に変えていく 流れつづける川のように
流れない肉体を持て余し 大切だったもの
手を伸ばしても 届かなくなっていくばかり
言葉にできる言い ....
脇目も振らずに走ってきたよ
余所見をしている余裕はなかった
家と会社を往復するだけの毎日
ケースに入れたままのギター
若者の音楽を受け付けなくなって
大好きな歌も歌えなくなっていた
....
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