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分厚い雨雲の真ん中が綻び
底なしの穴の遥か遠く
水色の空が薄氷越しに透かし見えると
遠い夕焼けが破れ目の縁を
なぞるように湿らせる
逝く人の
輪郭を切り取るだけの硝子窓
....
白い波頭が押し寄せ
次から次に押し寄せ
崩れ去ってゆく
跡形もなく
私たちは 私たちは
何処から来て何処へ去るのだろう?
白い波頭が押し寄せ
次から次に押し寄せ
....
秋の雨が窓を打つ
静かな音の中
君の寝顔を間近で見ていた
冬の厳しさがすぐそこにあり
空気は冷たく
一向に縮まらない距離に悩んでいた
近付けば逃げるのに
留まると残念そうな顔なのは何故
....
さっきから雨が降っている
冬の雨、なぜか落ち着く
今日は
氷入りのコーラに
紙巻タバコがある
セラミックヒータがあって
部屋の中は暖かい
一時の快感に酔う
コロナ禍の為の世界的な
生 ....
二〇一八年六月一日 「断章」
断片はそれぞれに、そうしたものの性質に従って形を求めた。
(ウィリアム・ギブスン『モナリザ・オーヴァドライヴ』36、黒丸 尚訳)
二〇一八年六月 ....
「食べ放題飲み放題運動不足」
「ゲーム依存SNS依存動画依存」
「我慢しない先のことを考えない人のいうことをきかない」
星が虹のように降りそそぎ
三日月が帆船に変わる夜
無いものをどれだけ欲しいと思っても
たとえ星に願ったとしても
たとえ月に祈ったとしても
ただ夜風がやさしく吹くだけだろう
それは言 ....
僕らはコロナの撲滅ばかり
考えがちだが
コロナの気持ちになって
考えたことがあっただろうか
何処かでひっそりと
暮らしていたのに
悪い中国人のせいで
世界中に引っ張り出されたあげく
ワ ....
夢の底を揺蕩えば
予感に包まれ
陶然となる
夢の向こうとこちら側
遠く近く奥まって
底の底に横たわる
わたし独りのたましいが
融通無碍に踊り出す
この晩秋の青い時
深い眠りに揺蕩って ....
眠りの
夢の
底割れ
目覚めるモノ
輝く尖塔を壊し
ジクザクに走る力線
煌めく城壁を巡り
スイチョクに伸びる力線
開いた瞳から触手伸び
掴み取る、掴み取る
掠め現れる無数の影を
....
{引用=声の肖像}
どこかで子どもの声がする
鈴を付けた猫がするような
屈託のないわがままで
なにもねだらず行ってしまう
風がすまして差し出した
果実は掌で綿毛に変わる
ぱっと散った ....
シルエットのほうが美しい
とでも
言いたそうに
絵画のなかで
熱心に
シルエットを見つめているのは
シャルロッテに恋をした
ゲーテという詩人
若き乙女の
可憐なシルエ ....
心の闇に
騙された部屋
愛というなら
殺してよ
愛しい首を
かき抱きたい
月も隠れる
熱い夜
罪は罪とて
承知の上で
くれない夕日に
騙されて
好きは好きと ....
あなたと付き合い始めて
もう三年ぐらい経った
私の想いは膨大
あなたに全ては届かず
何処かを彷徨っているのかな
あなたの想いも膨大で
私に全て届いていないのかも
彷徨う想いは ....
白い砂漠に
矢のような光が突き刺さる朝
摂氏五十度の砂嵐に
ラクダが弱音を吐く
そのころ
私たちの小さな家では
つば広の白い帽子を右手で押さえ
吹きあれる海を見ながら
女が
あの ....
庭で夕空を仰いでいると
足下の、少し離れた場所が
ふいに がさっ と鳴った
古い柿の木から
枯葉の吹き溜まりに
実がひとつ、落ちたのだ
よく熟れた柿は
ほんのりと夕陽に染まり
....
一陣の風、
吹き抜ける
この晩秋
空は青く
何処までも高く
天蓋は涯までまぁるく
外部はなく
凪いで
人々は歩を進める
この地上にて
神々は居られ
その豊穣なる艶姿
人 ....
たぶん、若いころは善意の人が多いから、
寄付に絡む悪には気が付かない。
たぶん、年取るほど悪意に苦しめられるだろうから、
寄付など無視し都合のいい福祉を要求するのである。
....
間抜けな盗賊ヨランの話をしよう。
間抜けな盗賊ヨランは、(勇猛果敢なはずの)ドワーフのくせに、
ベル=ダッジアのように臆病だ、と言われていた。
しかも底抜けにとんまな奴だと。
ある時、ヨラ ....
おお、アイソニアの騎士よ、
誰がお前の勇猛果敢さを歌にすることが出来るだろう。
ああ、アイソニアの騎士よ、
お前はその死をもって死をも凌駕した存在となったのだ。
どんなに秀でた吟遊詩人であ ....
背中を向けて
欺いてくれ
カラス鳴く早朝(あさ)
消えてくれ
さんどやしどの
嘘くらいなら
不思議な顔して
見ないフリ
君の悲しい
笑顔を見せて
くれた夜から
罪を知 ....
そんな、
ちいさないのちの、
いきていた、にさえも、
つめたいかぜはようしゃなく、
ふきつけるのです、
とてもめずらしい光景が
竜王戦の第4局で現れた
終了まじかの大盤解説で
説明役のプロ棋士が混乱している
ふつう
投了の近い最終盤になると
不思議と
解説のプロ棋士の読みが
....
あの日の津波で
何万のペンが
流されたことだろう
たった一本
生き残ったペンは
誰かの胸のポケットに
しがみついていた
ペンはまもなく
もとの暮らしに
書くものは以前と同 ....
翼をもぎました
背中がかるくなりました
しとどに流れる血 真珠色の血あふれて
ふたすじの傷口を {ルビ白南風=しらはえ}がなでて過ぎゆきました
すずしい背中
六月のこと
あなたの手をと ....
銀杏が舞う舗道を
ゆっくりと歩いて
いろんなことを想いだすけど
恋することは、罪じゃなかったし
そんなことより
あの部屋にたどり着いて
ブラックコーヒーを、飲みたいな。
....
ペプシのCMで
頭が燃えてハゲてしまったのを機に
仏門に入るも
小坊主との男色行為が止められなかったため
破門された
その後は極楽浄土を
ネバーランドと呼び
現世に作り上げようとしたが
....
二〇一八年五月一日 「迷惑メール」
迷惑メールが何通もくるのだけれど、いま見たら、「ワンナイトラブでかまいません。」と書いて、女の名前で書き込んであるの。笑っちゃった。こんなメールに返 ....
ふと、自殺してしまった友達の家に
遊びにいった時のことを思い出した
近くのゲートボール場に車を停めて
そこからから続く路地を歩いたことや
その友達の二階の部屋の隅で
小さく丸まって寝ていたら ....
四冠の誕生日プレゼントを
ありがとう
とは
師匠が自分の誕生日に
大変な偉業を成し遂げてくれた
弟子にむかっての
喜びの思いだが
まてよ
この日は僕の誕生日
師匠 ....
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