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声を上げて、歌いながら
幼い日 螺旋階段を見上げている僕は
空の蒼さを はじめて信じた
空の蒼さが 神話になる時
僕は公園のベンチで 泣いた
膝小僧を抱えて
気づかれないように
....
どこに行こうとも愚人はいる
大きな世界には多くの愚人が
小さな世界には少数の愚人が
どの愚人も最初はまともを装う
でもそのメッキはすぐ剥がれる
愚人だと気づき反論をしないと
愚人は嬉々 ....
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雨と風が一緒に顔にかかって
少し髪を濡らす交差点に
ぼくは独り君を想い立っているよ
君がいつもしていたリュックの色は薄い緑色で
不思議 ....
心地よい揺れと
生ぬるい水温
波にさらわれたコンタクトレンズ
ぼやけた視界がとらえたものは
降り注ぐ優しいひかりの雨
身動きが、とれない
とりたくもない
堕落していく心
そ ....
あい変わらずぼくは
かなしみを知らなかったから
トーイチに会いにゴミ捨て場へ行った
夜中に網小屋まで降りて来て
悪さをする星どもなら知っとるがの
じゃが かなしみは知らん
カン女に ....
散歩道の途中
鳩小屋を見つける
白い糞と抜けた無数の羽で
汚れて
狭いところで
ひしめき合って
つつきあって
鳩が叫ぶ
おれらは
これでも平和の象徴なんだよ、と
公園で放し飼い ....
母ちゃんと旅に出る
鞄に歯ブラシ、着替え、切符と
最後にわくわくを詰めて チャックを閉める
朝一番のバスに乗り込んだ
母ちゃんと座席に並んですわる
乗り物酔いの薬あるよ
切符は持ったか ....
桜の花びらがほころぶ頃に
急な寒さで
きゅっと蕾が縮こまる
そんな花冷え 春に逝く
長い人生の旅を終えて
白い棺の中
鎮魂の花に埋もれて
うっすらと頬笑む人よ ....
学園都市線の高架下
灰色の橋脚に二羽の鳩が仲睦まじく
寄り添ってはキスをして
激しく身をよじってはまたキスをして
やがては重なり 羽ばたきながら
気の早い春が固い雪を緩め
茶色く水っぽ ....
右手にはめた黒い指輪
私の首を締めて
離してはくれないのでした。
時間をください。
あなたの時間を喰らい尽くす前に。
....
歩くのはいつも なまの義足
寄木細工のじん帯をか細い骨で震わせながら
足裏に
肌合いのわるい
なじめなさを押しつけても
二つのものが 交互に役割を担うから
どこか
と呼ばれるcell(セ ....
ずっと考えつづけてきた
この街にやってきてもう何年になるだろう
親しい知人も隣人もたくさんできたし
顔馴染みの飲み屋もいくつかできた
でも時々その飲み屋であのひとのことを聞く
その噂 ....
時間はスロウモーションのようにゆるく
春の陽射しは暖かく降り注いでいた
用事もなくただ布団を転がりながら
一人で過ごしている寂しさを紛らわせて
何かに気付いたように ....
二〇一二年の一雫が
左肩に落ちる
乾いた肩が ほら笑った
指で払った雫が
隣の肩にかかる
右肩の笑みが増す
隣の肩が羨ましげに
指をくわえる
余計でもない一雫が
転々と分 ....
1
白く熱い道を
白いカッターシャツの高校生が
自転車でくる
7年ぶりに会った息子、きのうのこと
美しく花開いたのっぽのあの子
その道を今日も彷徨えば
また出逢った有り難さ
足 ....
かなしい夢をみて
目覚めた朝は
ああ、夢でよかったと思う
けれど
かなしいことが
なくなった訳ではなくて
心の引き出しを開けたら
別のかなしいことが
そこにある
引き出しをちゃん ....
雨が降っているのかしら、と
君がつぶやく
君のつぶやきは
答えを求めている時と
そうでない時があるので
それを聞き分けるのが
とても微妙であるけれど
肝心なのは
語尾のニュアンスで ....
御願いです、もっとガラスを下さい。
思い出の中の君をガラスに閉じこめるから……。
僕だけの君を、下さい。
ガラス色した君を。
御願いです、もっともっとガラスを下さい。
思い出の中の君を忘 ....
きみはスタンダード曲が大好きなんだって
でも何故シナトラやトニー・ベネットばかり聴くんだい
日本にスタンダード曲はないって
スタンダード曲を愛するきみが
それほどに無知だとはね
そん ....
ひとりで生きられる
生きられない
それとも、ひとりで生きざるを得ない
わたしってどれなんだろうね
※
無責任ってわけじゃないけど
ちょうど
満員電車のなかで誰かに寄り ....
その4人は故郷である奴隷貿易で栄えた街で生まれ
ドイツの或る街で夜通しライブに明け暮れていたクラブで
故郷のレコード店の店主に発掘された
4人は独りの仲間を解雇し新しいメンバーを迎え
再び ....
君の素肌に触れた日は
忘れもしない 夕暮れの
君が十九の秋でした。
僕の心は君だけを
思ひ焦がれて
千々(ちぢ)となり
集めて鈍く燃えたのです。
誰にも言はず
誰にも知れず
....
私は
カラダの中に
海の記憶をとどめておくの
何度
再生しようとも
薄れはしない
漣の音
いつか
愛しいあの人が
私のことを手にとって
そっと耳にあてたなら
懐かしい愛の歌が ....
君がリリアン編んで
見上げた空は花と同じ色で
ぜんぶ、ぜんぶ春だった
ゆびさきで、光源をたどる
なくしたもののかたちは
思い出せないけれど
なくしたものから芽ぶいたのは
街でいちばん ....
ときどき
なにかしずかによこぎる
そのあと
おきる
まっていたこと
まっていなかったこと
まんぱいになる
風吹くな
心が寒い
風吹くな
手足が凍える
風吹くな
誰かを抱きたくなる
風邪引くな
寝込むことになる
猫を飼いたいと想う
強く猫を飼いたいと願う
何度も管理人さんにお願いしても
答えはいつも駄目だと云う否定の答え
外には出さないし
部屋も清潔にするからと
懇願してもやはり否定の答え ....
小学生の頃のいきつけの内科医院は いつも
消毒薬と漢方薬の匂いがしていた
医者の奥さんが受付の奥で薬を調合していて そこでもらう薬はとても粉っぽくて
飲むと必ずむせた
待合室から小さな裏庭 ....
降り止まない雨に
舌打ちして 空を睨む
思い通りにいかないことばかり
心がざらついて
軋んだ音が鳴りだす
苛立てば
心の瘡蓋はがれていく
「いつも君を想っているから」
あなたの声が ....
島がある
蒼い海原に
点々と島がある
島たちは他の島が遠いため
どの島も自分たちを
孤島と思い込んでいる
ほんとうは
島たちは遠い昔
みな同じ陸であったのに
それを忘れ去 ....
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