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過ぎさった苦しみを
時々 舌の先で転がして
ピリッと刺すような
痛みを味わう
血の味は嫌いじゃないんです
この痛みが
私の静脈を流れていく
悲しみが青い血管に滴る
....
愛しさをこじらせた朝
うらぎるように街は香り
なにも
知らないようなふりを
続けるほかになかった
押しだまる人びとのかげに
花水木がしらじらと開いている
野良猫が生垣から顔を出して
じっとこっちを見ている
/かけとび
あやとび/
/ステップとび
去年はできなくて癇癪を起していた
ふふふ、まあ頑張れよコワッパ と思った ....
ぼくたちはことばの国のたびびと
遥かな源流から
ひとひらの花びらが流れてきてそれは
あらたななまえを与えられて言葉となる
ぼくたちは森を抜け荒れ野を辿り
大地から漏れ出た溶岩流に閉じ込め ....
わたしはイヤホンから流れるノイズだと思っていた。
わたしは息を深く吸って
眠ってしまわないように
勢い良く吐き出して
むらさきの煙になる
わたしはイヤホンから流れるノイズを聞 ....
他者の背中を見るように
自分の背中を見ることはできない
他者の背中を見送るように
自分の背中も見送られ
雨あがり
洗濯したばかりの
地球の匂いに包まれる午後
無風、時々背中
....
赤い春に風が吹く
布を巻いた草刈り鎌の把手に
にぶく光るロザリオをさげて
うっかり天使の羽を踏まないように
七色の川を越えてゆく
町外れの停車場で
白い椀に銀貨を受 ....
大惨事が起こるその瞬間
世界は目を閉じる
そして
後からくる絶叫の前に
世界は耳を閉ざす
やがて
時間という距離を経て
世界はそれを歴史と呼び
記念碑を建て記念日を定める
見もし ....
YESを放とう
だだっ広い肯定の中に否定は
美しく豊かな皇帝の中に すっぽり納まる
YESを放とう
瞳に映ってしまう 止むを得ない
瞳の縁を辿って刹那にこぼれてゆく涙も
....
じゅわわ じゅわじゅわ
じゅわわ じゅわじゅわ
じゅわわ じゅわじゅわ
ヘリウムお呼びでない 低い低い声
モザイクも不細工も お呼びでない
じゅわわ じゅわじゅわ
じゅわわ じゅわ ....
世界が揺れはじめる
そして
ぼくたちは
気づくのだ
ここが
氷山で
わずかに海面から
突き出した
ほんの一角にすぎないことに
世界が揺れはじめる
そして
ぼくたちは
知 ....
道路に落ちた雨粒たちが 車が走る度 ドレミだけしか必要ない
耳慣れした淡白な音色を走らせる
空中に住んでる雨粒たちが 着地する場所に迷わず ストレートに
本能に従い澄んで魅せる
....
かくも罪深い被造物
千の波に洗われ
万の夜を越えてなお
腐敗しきった臓物の臭いを遠くまで漂わせる。
黄ばんだ太陽はデブでよろよろ
側溝に落ちることも出来ないまま
へ ....
季節の変わり目に窓の外を眺めている。
外は雨 外出
細い両目から差し込む光の筋だけではイメージの光量が足りない。
そのため、頭蓋骨の内側を照らすプラネタリュームは暗く星の光は毛穴ほどの大きさ ....
無口な果実は震えた声でこう云う
「果てで殺して」
泥の味が地べたに横たわっている部屋の空気
ベッドに寝そべったあなたはこう云う
「憎くって仕方ないんだ」
生憎愛想のないわたしはもうち ....
切れ長の目
切れ長の唇
くっきり彫られた鎖骨
渋味 紫色の打ち掛け模様は 男華の菖蒲
側室に成り上がった時
生きるのをやめた
政治の星の字も心得ぬ 丸みの弱い女 ....
里にくだると
花の咲く共同湯がある
音をなす早瀬の
そのほとりで 今は、椿がさきほこり
三ぶ咲きの桜たちが
うらやましそうに 見おろしている
昼間から入りにくるの ....
愛という甘美な束縛に身をゆだねることで
ひとはみずからくるしみを選ぶのかもしれない
虚ろな自由よりは五感を満たす快楽が
存在の証となることを
本能的に知っているのかもしれない
国が侵 ....
ぼくの精神にプラスチックのねじが
差し挟まっている。
それは青い電飾と呼応して
毎晩ぼくにあいさつをする。
「愛してる」
簡単じゃないはずなのに
誰もが街なかでささやきあっている
君だけを
このひろい世界を
※
勘違いしてしまうのかな
束縛されたく無いはずなのに
相手 ....
雨は成す
雨の景色の成す処まで 見慣れた面食わない 雨の成す午後
雨季の助走かい 気を害すことのない成す雨よ
雨師 複式呼吸かい その前ぶれは 焦らしと異なる きめ細かい心配り
....
ふりそそぐ朝を受けての
アニヴェルセール
距離を計りかねる
目蓋の矢が抜けぬ
スペシャリテ
平静そんなんでもなかったりして
君の白い首筋に
(ひどくエロティック!)
東京を願い ....
八重桜
そこで枯れていくのか
{ルビ雪洞=ぼんぼり}もとうにないその公園で
休日には光の姿態に花を挿し
寝そべる背中に猫でも乗せて
二三冊の本にマスタードをたっぷり塗って
後ろ向きに釣り糸でも垂らしてみようか
古い音楽ばかりが飛行船となる場所で
とりとめのな ....
割れて つまづいた障子紙の陽射しに
つけられる風 ことり ごとり
削りこまれた細工 ひろがる窓の内
ビンの底のガラス 集めた昼の鼓膜
ホコリ マ ミレ
柱の影絵に 散らかっていく
....
北の国で少女は
歌を集めて翼を織った
旅してゆきたかった
生ぬるいかげろうの季節に
歌はそこら一面で摘まれ
籠のなかでちいさく鳴いた
迷子になったひよこたち
草原を季節風が ....
冬にすいかを食べたい
もうすいかしか食べられそうにないと言って
あなたを困らせた
今思うと
ロシアの童話にあるような
わがまま女じゃないか、あたし
あなたは
愛だというが
一抹の負い目 ....
あさひばり月の弓から放たれて飛び
川面より一筋のひかり朝靄を切る
遺伝子のテーマかかえて君を想うその先にあるのものはなに?
奪われしすべての愛に花を手向けん
回答をさがしてみよ ....
{画像=120429092044.jpg}
言(コトバ)が
剥がされている
という状況
あり方
それに対する思い
惜別ではなく
決別ではなく
哀悼ではなく
非難でもなく ....
夏の声が遠く聞こえて
私は銀色の車体が纏う
緑色の線に魅入られる
夏の声を遠く聞きながら
私は日陰のコンクリート
じわりと汗をかいている
ビルが作る無風地帯が
私の気分を悪くする ....
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