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まだ歌い足らなかっただろう
貴方達が手も振らず
後ろも振り向かず
前へ前へと歩いていってしまった

当たり前のように入ってきた歌を
片っ端から聴き始めている
それでもそれでもね
私は  ....
折れない筈の
芯の上に立ち
折れない筈の
心の平衡感覚を保つ
泰然自若の筈の
聴衆が

右へ左へと
弥次郎兵衛に誘われて
激しく揺れる

鳩が
似合わない声で
咽び泣く

 ....
一つ数えて 春を越え
二つ数えて 夏を越え
三つ数えて 秋を越え
四つ数えて 冬を越え

五つ数えて
軽く握る拳で
ポンと胸を叩く

吐き出した想いが
突如 目の前に現れる
誰に ....
秋の海は幻想的だから・・と
男が女に誘いをかける

秋の海は思い出が振り返す・・と
女が男を拒絶する

男と女が言い争う
互いに引く気もなく



男と女の口喧嘩が終わったみたい ....
奥に仕舞い込んでいた未使用の
少し焼けてきた葉書の束

ふと 手に取り
書き始めた文字は
青臭くて齧るとまだ苦い

幾つもの文字を吊るしては
甘くなれと
この一つの息で長く吹き込んだ ....
あの河が望んでる
一つの答えが出せなくて
ごめんね

気の利いた答えは
出払っていて
今頃は海原だろうか

あの河が清らかに見えて
その跳ねた水の飛沫に
打たれた誰も彼もが
感銘 ....
ウェルテルの背中が小さくなっていく
愛せなくなることに怯えて
幾度と無く人は追い求めて

人は空を捨てきれず
荒れ野の空を
靴も履かずに
裸足で駆け抜けて

心の空が
家族の溜息を ....
メダカは気弱な小魚だって
それが定義だと
それが憐れだと
勝手な思い込みが押し並べて

それがあまりにも{ルビ酷=むご}いと
両手で包み込もうとする
君の余計な優しさが
彼等の胸まで押 ....
振り返ることすら忘れて
あっという間に
時を重ねてきた

不安も愚痴も気にならない
それくらい忙しいって
いいこと?
うん そうかもしれないね

お節介屋さんが たまらずに
{ルビ ....
これから起きる人も
これから眠る人も
いつもの朝だ

やかましいアラームも
ガラガラ声の鶏も
イビキをかくオジサンも
この世に存在している賑わいも
いつもの朝だ

全速力で
朝が ....
美だと ひけらかす者は
美の何者でもなくて

美が うぬぼれない存在だと
言わしめてくれる

{ルビ他人=ひと}を美だと
アッケラカンに言い切る度量が

美なのか
それとも
たわ ....
二〇一二年の一雫が
左肩に落ちる

乾いた肩が ほら笑った
指で払った雫が
隣の肩にかかる

右肩の笑みが増す
隣の肩が羨ましげに
指をくわえる

余計でもない一雫が
転々と分 ....
雨はとっくに 止んでいるのに
畳めない傘の中で
君は静かに濡れている

君だけしか聞こえない雨音は
周りの朗らかな声も上書きしてしまう

あなたには聞こえない この叫びは
通りすぎるビ ....
{ルビ汚=けが}れに{ルビ雪=そそ}ぐ
{ルビ咎=とが}に{ルビ雪=そそ}ぐ

{ルビ汚=けが}れは溶けて
{ルビ咎=とが}は溶けて
{ルビ垢=あか}は溶けて
一緒に溶けて

愛を注ぐ ....
三原色が肩を組む
交わり一つになったスクラムが
停滞した気持ちを動かす

真っ赤な嘘を
交わり一つの色が
忘却してくれる

フラットにしてくれる季節が
私達に接近してくる
春だ
 ....
遙かぶりだった信濃路
そこはペダルが都会よりも
緩やかに漕げる

遠慮してくれる
夏の日差しが
あなたの気配りよりも優しかった

裏庭の沼に急ぐ鴨の親子は
人間との僅かながらの境界 ....
この爪を折っても
しぶとく生えてくる

この爪を折っても
歳を取れば 記憶は遥か彼方

この爪に火を点せば
僅かながら この灯りで
道に迷うこともないと口にすれば
痩せ我慢だと隣人は ....
月曜日
突き刺す気嵐の中
若い女が ビールを振る舞う
突き刺す気嵐の中
マネキンの片手に数羽の鳥が止まる

火曜日
隕石が飛び交う真夜中
若い女が アイスを振る舞う
隕石を避けて生き ....
若葉は青臭くていいと
老いた葉が
羨ましげに
鑑賞している

尖っていた葉は
あなたを守るため
傷つけるためじゃない
でも 遠ざけたのは

青くて頼りない葉だったから

そ ....
あの{ルビ鋼=はがね}の壁を
いつしか破れると信じて
今日まで生きてきた

壁一直線に何度も叩いた拳は
赤鬼よりも おどろおどろしく
涼しげな白の壁が 次第に青くなっていく

この一振 ....
この香りが五月でもないのに
懐かしさが全身に{ルビ迸=ほとばし}る
僕は気になる この香りが

逆らいに倒れた僕をそっと
この華奢な体が抱いてくれた

揺れまいと
木の葉が{ルビ頑=か ....
いつもの時間の
いつものバスに乗って
いつもの席の
いつもの窓に
いつもの体制で 頬杖付けば

いつもの眩しい日差しが入ってくる
いつものように 目を細め
いつもの 陽の当たらない反対 ....
踏み出せず 躊躇する君の背中を{ルビ戦=そよ}がす 小粋な潮風 黒夜を作っている
欲しがる者が
あまりに多いから

黒夜に混ざって
溶け込めばいい
祭りの中へ

素になる黒夜を
好んでくれるから
今日も作っている

真空と混ざって
合流す ....
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる 
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす

ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
雪よりも白い糸が
どこまでも続く

途絶えぬ筆記体の線が
サインは何処までも

{ルビ終焉=おわり}を知らない
時々刻々のように流れていく

どんなに流れても
忘れない

君の ....
人の気持ちって なんだか変動相場制
高いときもあるし
低いときもある
だって生身の人間ですから

同じ自分なのに
昨日は低く見られ
今日は高く評価される
他人の気持ちも変動相 ....
昼間に紛れて 星が踊る
人混みに紛れて 星が転がる
想いを{ルビ鏤=ちりば}めて 星が{ルビ瞬=またた}く

一瞬でも失いたくない この{ルビ瞬=まばた}きさえも
永遠に戻らない一瞬 逆回転 ....
パンダの育児放棄
野放しのチビが{ルビ這=は}い{ルビ蹲=つくば}る
人工飼育はよく育ちます

エゴの刷り込み林檎
箱入り娘に丸飲みさせる
うちの子は従順です

叱るを忘れた小さな大人 ....
{引用=いつまでも眠ってるフリして
芝居が下手な君
普段よりも綺麗でしょ?
と語りかけるような唇

人差し指に水を晒し それを乾いた唇に引く
少しクセのある髪を 手グシで直してあげる
僕 ....
吉岡ペペロさんのsubaru★さんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
Thank_you_for_everything- subaru★自由詩14*13-2-8
掌の上の弥次郎兵衛と壊れた鳩時計- subaru★自由詩18*13-1-29
ワガママな季節- subaru★自由詩16*12-11-6
秋の海と男と女- subaru★自由詩14*12-11-2
残暑見舞い- subaru★自由詩25*12-8-31
あの河- subaru★自由詩17*12-8-8
それでも人は空を飛びたいか- subaru★自由詩18*12-8-3
メダカ- subaru★自由詩18*12-4-24
回顧- subaru★自由詩13*12-4-1
- subaru★自由詩11*12-3-22
- subaru★自由詩12*12-3-7
余計でもない一雫- subaru★自由詩11*12-2-29
傘の中で降る雨- subaru★自由詩12+*12-2-23
雪ぐ- subaru★自由詩11*12-2-16
- subaru★自由詩8*12-2-15
ゆるやかだった夏- subaru★自由詩15*11-12-25
- subaru★自由詩12*11-12-18
マネキンの若い女- subaru★自由詩16*11-12-1
柊と人- subaru★自由詩17*11-11-27
- subaru★自由詩16*11-11-20
あすなろ- subaru★自由詩22*11-10-31
いつもの・・・- subaru★自由詩11*11-10-11
やさしさ- subaru★短歌12*11-9-24
黒夜を作る- subaru★自由詩11*11-8-24
稲わらの火- subaru★自由詩17*11-7-28
小石丸- subaru★自由詩11*11-7-17
変動相場制- subaru★自由詩13*11-7-15
目立たない星- subaru★自由詩8*11-6-18
流行- subaru★自由詩11*11-6-14
眠ってる君- subaru★自由詩11*11-6-13

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