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Yの充たされた世界の中に
「赤ちゃん」というものが登場した
期待するように長くトレーニングされていた
?印のものを待つ日々

ぷるぷるの柔らかな
泣いたり笑ったりするオトート
その ....
時計台の裏側から
針が回るのを見てみれば
この世界の裏側から
時が過ぎるのを見るようで

次元が違うところにいるような
不思議な感覚に陥る

思えばこの世界は
時が過ぎるのを
 ....
          指関節をなんど曲げても
          言葉がどこにあるか
          わからない


人類の要素のひとつ わたくしも
紙とペンで書いた言葉を 今は ....
 
目が覚めたらやっぱりおっちゃんやった おっちゃん

ひとりやったら泣いちゃう おっちゃん

そんなおっちゃん、やさしいしたってやー


 
ひろげたお店を片付ける

そしてトイレで用を足したなら必ず水を流す

便器の底を覗けば
生きてきた私自身の素性が判る




早や店じまいの季節になったものだと
ひろげすぎた店 ....
ーー序章ーー
Yが父親の佑司と出会ったのは
三歳ごろだった
「お父ちゃんはどこ?]
「マルシャンスク」
それはソ連のどこかの寒い町だ

木炭バスに初めて乗った
佑司が帰国を許されたので ....
若葉は青臭くていいと
老いた葉が
羨ましげに
鑑賞している

尖っていた葉は
あなたを守るため
傷つけるためじゃない
でも 遠ざけたのは

青くて頼りない葉だったから

そ ....
どんなに難解な熟語を知っていても、
ムズカしいことを言っているとは限りません。
どんな言葉をどう操っていても、
それが根っからの本心であるとは限りません。
僕にとって僕が僕であるように、
誰 ....
寝転がってかいだ土の匂い
イチョウのじゅうたんを踏む音
冬を呼ぶにじんだ雲が浮かぶ空

「覚えていますか」

誰かと同じだった歩く早さも
いつの間にかずれて響きだす

”忘れよう”
 ....
大切にしてきた
ぬいぐるみの腕がとれていた

20年来の友の腕が
床の上で冷たくなっていた

押し入れから
小学校の頃使っていた裁縫セットを掘り起こして

普段しない縫合を試みる
 ....
すべてが新品である
お互いの存在が目新しい
人の世の独立した若い単位として


姑が時には訪ねて来る
そこではもう、息子だった子はいないのだが
姑は新婚の部屋のなにかについて
なんら ....
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自由 / フリー でいたい

色々なことに捕らわれていては見失ってしまう

ただ真っ直ぐ向いていたい

でも君は時折ぼくに向かって言う ....
おなじ影を踏んできた

きみの影の長さを
わたしはとてもよく知っている
光に射抜かれたきみが
どんな影をしているのかさえも

例えば冬の優しい日差しや
夏の真夜中の蛍光灯に照らされて
 ....
まひるまひる
君の名を
何回呼んだだろう

まひるまひる
君の名を
呼ぶたびに
優しい気持ちがわいてくる

まひるまひる
毎日
いろんな事にチャレンジ
していてかっこいい

 ....
広大な八柱霊園の
松飛台門のそばの
御影石のそこそこの墓

運のよいYの弟が一度で引き当てた都営の墓地に
小さな喪服の一団が派手な祭壇をこしらえて
供物を盛った
多くの病の最後は餓死、Y ....
午前中、買おうかどうか、
迷っているマンションへ、
日当りを見定めに行った。
小学校から坂道をくだって、
建設中のマンションの前に、
自転車で下りると、
真向かいの家の影が、
まだ、
 ....
ご指名は ときかれて
いいえ 特にないですと答える

チェーン店の美容院は こんでいて
手の空いている人が 洗髪したり
髪を染めたり 切ったり の方が
私的には 早く終われて良い気がするの ....
こんなにも焦がれた
秋の黄や茜や擦れた緑は
「それらに不必要な色なんだ」と
中学の頃 化学の教師が親切そうな顔で言っていたのを何故だか思い出していた

あんなにも愛でていた色は
命の光彩で ....
水 海がガラス越し燃え上がって落下している
     silverland
風がひかりお前の鎖骨にけだるいキスの雨
飛んできえたギリシアの星にけぶる声
     そいつらは大喜びしている
私 ....
猫を撫でたあとで
優しさは書かない

返信を待ち焦がれても
淋しさは書かない

軍鶏鍋を食ったからといって
美味しさは書かない

マニュアルをなぞったつもりで
愚かしさは書かな ....
残されたものは 揺すられて
うわついた笑いが みすぼらしい
陰リの横に陽を積むように
水面をくぐって 
目を開いてみたけれど

うつむく頼りなげな草見上げて のばす
わずかに出た指に重な ....
{画像=111121235243.jpg}


どうやらこの世界では僕が天使で君は女神だ。
背中の羽で飛び回る自由と好きなペアを弓で射る自由。
背の高い女の子と低い男の子、
気の強い女の子 ....
息を切らしながら山道を登っていくと
薄暗い脇道から片目のポインターが飛び出してきて
びっこの前脚で器用に跳ねた

どうしたらよいのだろう

何かの病で左目を失くしたのか眼窩は
底知れぬ闇 ....
港から程遠くない高台
急な坂をゆっくり登ると
桜の枝の間に覗く再建された天守閣
ゆったりと 
本丸天守閣から海の風景が広がる。

遠く相模湾が霞み、その右手に浦賀水道
三方を山で囲まれた ....
夕焼けに飛行ねこが飛んでゆく

夕焼けに飛行ねこはあうのだそうだ

赤く熟れたトマトとクリームチーズくらいに

飛行ねこは大きな群れをつくり

それはまるでひとつの地平線を形成している ....
あの{ルビ鋼=はがね}の壁を
いつしか破れると信じて
今日まで生きてきた

壁一直線に何度も叩いた拳は
赤鬼よりも おどろおどろしく
涼しげな白の壁が 次第に青くなっていく

この一振 ....
彼女のご両親に、
挨拶に行った。
なんかのイベントのとき、
雨が降ることが、そう言えば多いので、
ぼくは雨男なのかもしれいないと、
傘を持って、
部屋を出るときに思った。

5000円 ....
鳩尾から飛び立つ
フラミンゴの羽音を
君に
聞かせてあげたかったけれど

仙骨から這い上がる
虹色の蜘蛛を
君に
見せてあげたかったけれど

せり上がる甘酸っぱい海面で
何を ....
小さくなっていくこと
悲しいと思ったことはなくて
けれどいつか
君の小さな手で
拾ってもらえなくなるのだと思うと
それはとても悲しいことみたい

君はとても
ていねいな人で
きっちり ....
顔を上げるとそこは晴れ
雲が犇めく青い空
或る者がそれを美しいと尊び
まるで人の心みたいね、と
浅はかなリリックを書き連ねる
それと恰度おんなじ頃
社会生活にあぶれた蛇が
安アパートのポ ....
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