すべてのおすすめ
とつぜんのスコール
つみのない車の天井をひどく打つスコール
悪いのは人間
じっさい痛いのも人間で
こういった音を聞いて黙っているのが人間
黙って、このままながれていけばいいのに
....
夏
と言ったら
海
ビーチパラソルは無く
海の家も無く
砂だけがある浜を
海水パンツ一丁で
海水に突入していく
はずはなかった
私の出身地は山間で
山から切りだされた木を
....
中学生の頃のよう
なんとも言えぬ息苦しさに耐えてます
あの頃もてんかん発作に怯え
呼吸のしかたが分からなくなりました
あれから十年以上たったのに
今はがんが怖くなりました
いいえ、ずっと怖 ....
――卵がない!
よりによって
妻が亡くなってから
最初の息子の誕生日
わたしは初めてオムライスを作った
息子の大好物
記憶の中の見よう見まねで
決していい出来ではなかった ....
いつだか忘れるくらい昔のことだ
うたたねをしていたやかんは飛び上がった
お尻に大火傷を負い落っこちた
あららお水を入れ忘れた
それにしても駄目なやかんねえ
優しいおばちゃんは呟いた
無茶苦 ....
土砂降りの雨を見ると
あの日を思い出す
鮮明な夏の一日
雨の中
泥だらけになって
野球したよな
ずぶ濡れになるのが
めちゃくちゃ楽しくて
笑い死ぬかと思った
お前とは ....
自然にできたグループに分かれて
植民地時代のボストンの街並みを色画用紙で再現している
春陽に包まれた5年生の教室
その穏やかな空間に一瞬そよ風が吹いて
支援クラスに行っていた娘がひらりと入 ....
150623
迷子の迷子のこねこちゃ~ん
一部屋で開催されているのに迷子になるなんて
でも、あの子にはスマホは早過ぎます
どんな使い方するか分かりませんからと
こねこ ....
きのうの
夜が
いっこうに明けないので
けげんに思った
俺は
はっと気づいて
かろうじて
きょうの朝に
飛び移った
ゆれるゴンドラから
ゆれるゴンドラに
飛び移るよう ....
毎年その色を変える紫陽花に、
かたつむりは言いました。
「きみは色々と人を楽しませるし、
すてきだね。うらやましいよ」
少し口先をとがらせて。
紫陽花が言います、
「あなたは立 ....
刃で
切った左手
痛みが、
手から背中
脳髄に達するまでの
みじかい時間
はじめて、
檸檬の酸っぱさを
知った。
左目がつぶれていく
顔が崩れそうになる味
....
あなたを焼く炎は
煙さえ立てることなく
空に消えて
後には
黒枠の中で
ほほえむあなただけが
残っている
空に
光りの砂
さざめき
大地に広がる
夏草の波
....
何故きみが
僕の腕を枕に
眠っていたのか
眼を開けて
「素敵だった」
などと言うのか
「ずっと一緒」
などと言うのか
思い出せない
思い出したくない
腕の血流が
完全 ....
どんなに醜い人でも
人を愛することができる
愛することに資格は要らない
愛は誰をも美しくする
どんなに迫害を受けている人でも
人を愛することができる
傷だらけの愛には
傷 ....
150618
どこか静かなところでと誘われたのがとあるマンションの一室
確かに壁は厚く、窓は二重窓、衣擦れの音も煩いほどなのだ。
時は ....
歌を歌って暴発して
そのまま無茶苦茶になりたい
どうなってもいいじゃねえかもう
何もないんだ 何処を探しても
だからせめて君たちと
歌を歌って爆発して
そのまま無茶苦茶になりたいの
....
許しは請わない
愛してないわけではなかった
だけど
許しを請うても許されない
愛がいつも
お前たちを包んだわけではなかった
届かない荷があって
時の河を越えていく
お前たち ....
〝おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ〟
ジェンマは呟いた
〝誰にだって得手不得手があるってもんさ〟
同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたこと ....
150616
省略して説明されたから
根本原理は皆目わからず
ただ、製法が分かっただけ
説明どおりにすれば
それなりのものが出来た
競争相手も同じものを作り
....
そんな気持ちになったので
センベロしてみた
千円でベロベロになるほど飲ませてくれる店が下町にあるらしい
「たきおかとカドクラ、ハシゴするけど来る?」
とツレに聞いたら
空腹を我慢でき ....
夏が透ける雨の隙間
渇いた紫陽花が
雨を、乞う
踏まれた影は
足裏を剥がれ
午後の陽なたに取り残された
じりじり
地面に焼きついて
暗室に水を滴らせ
白く感光する
幼年の記憶
影を踏んだ子は
逃げていく
どこまで ....
家を背負っているのではない
としても
先祖代々の戒名が殻に閉じ込められ
捨てることなど出来無い重み
ああ
家を捨てたナメクジよ
お前は…
傘もかわかない間に
また 雨がふる
あなたの瞳に 雨がふる
神宮前の小橋で懐かしのフォークソング唄う人
懐かしの?
わたしは懐かしのを知らない
知らない懐かしを知ったふりして心縮めていたの
右肩横をかすめて通りすぎた黒服男はも ....
たとえばある種の硝子を隔てて
見つめても そこには世の冷たい写しと
見飽きた己の顏しか見いだせないのだが
硝子の向こう 不可知な領域からは
こちらの姿が逐一観察できるように
ひと筋の時の ....
子ども扱いしないでよと、と喚いた後で覚えたばかりの拙いマスターベーションを
見せつけたあたしは相変わらず。明日せかいが終わるなら一人で死なずに済むから
きっと幸せだわ、なんて痛々しいにもほどがある ....
「なんしてんねん?」
「さぼってんねん。」
答えた少女は、まるでトマトのようだった
屋上には風が吹いていて、6月は晴着の上から合羽を纏った
水色と混ざり合った少女は、何者でもなく
....
振り返りもせずに愛は逝く
小さな誤解を積み重ねて塔のうえに登る
そこから遠望する世界を胸に抱いて
おびただしいビジョンを想い描いて
立ち止まりもせずに愛は逝く
高邁な殻を脱ぎ捨てて脱皮す ....
きっちがぁいに見えたとしたって
「あっ、普通です。」
って冷静に批判したい
理性で丸め込まれてしまうような
余ったれた感情の降伏点を衝動などと呼ぶのは
いい加減に終わりにしてみた ....
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