すべてのおすすめ
風呂敷の歴史を{ルビ遡=さかのぼ}ると
古の都栄える奈良時代
唐草模様はなかったが
目には見えない<宇宙ノ心>とやらを
きゅっと包み
人間は、運び始めた
平成二十九年の ....
旅人は今日も{ルビ漫=そぞ}ろ歩いてゆくだろう
「良い」と「悪い」を越えた
地平を目指して
脳裏を{ルビ過=よ}ぎるいつかの別れは
忘我の歩調と
風に紛れて
すでに
体の無いあの ....
まだ充分につよくない
まだ充分にやさしくない
わたしらの権利は
朝な夕なに
東と西に
一枚の大きな絵を眺めること
それくらい許してもらおう
あるいは風の音楽を聞いたり
幼い者の言葉 ....
右肩を叩かれ、
涙が止まらなかった。
左肩を叩かれ、
おんおん。泣いた。
泣き出した時
意識がとんだ。
両肩を支えられていた。
冬。東京駅。
人だら ....
小さな箱に小さなケーキ二つ
一人で食べたよ
あなたがいないから
テレビには聖夜の飾り
みんな笑顔で聴いている
クリスマスの歌
幸せを運ぶよ、クリスマスの夜
淋しい人、僕は一人
哀し ....
疲労困憊。砂漠にいるよ。誰もいないよ。
逆さ吊りにされて、痛めつけられて、お礼も言われず、お亡くなりになったそうな。
できることならさっさと消えてしまうのも一つの方法だが、そうもいかないらしい。
....
キャベツが自由自在に切り刻まれて
豚肉の生姜焼きが作られて行く
キンモクセイがまだ咲いて居た
十月の中旬
ナガサキアゲハの幼虫も
ナミアゲハの幼虫も
まだまだ葉の上を動いて居て
昼はまる ....
冬の遅い日の出に染められた雲
青白い夢間の悲しみに落ちた火種
見上げても見上げてもただ冷たく
網膜に暗い紫の影を落としては
眼孔から骨の隅々まで音叉のように
十二月の痺れを伝えるだけ
....
心と所作と雨の答え
雨 雨 あがるな
心を砕き続けてよ
痛みを 忘れないように
鮮やかさたちには血の色も
数多の原色 心が染まる
その危うさに 恐怖に飲まれ
明日の自 ....
大学に居着いた野良猫のチャッピー
理系の癖に高校の全国実力テストで現国全国1位だった君
わたしの事も野良猫のチャッピーの事も書かないよとあなたは言った
結構繊細だよね。
わ ....
忘れていたことを
ある日ぽっかりと思い出す
潮が引いた砂地で
貝が静かに息をしているでしょう
見ればそこかしこで
生きていることを伝える
そんな穴が開き始めて
私の足裏とつながる
....
明な生き物が
浮かんでは消え浮かんでは消え、
繰り返してぐにゃりとうねりながら
私の指先を掴んでいく
生き物には目があった
私以外の他の誰にも見えない
声を持つ目が
生き物の目が何かを掴 ....
「流れ弾」
人の悲しみが
自分のことのようにつらい
その思いやりが
優しさが
自分のことよりも痛い
「治癒」
笑うってことの
現実を超越した力
嘘みたい ....
気温が伝わる電話があった
雨の音
震える声
どこにいるのか
あなたは言わなかったけど
帰っておいでよ
何も話さなくていいから
何か温かいものを作るよ
悲しくてもう
....
あながち間違いではないでしょう。
あなたも気○いではないでしょうから話くらいはできますよね。
ありがとうございます。
街は渋滞した。
私たちは寝具を買いに出かけていたのだが、寝具がホットドッグ ....
もっともっと、
きみを抉じ開けてしまいたい
きみというきみのなかの
どろどろとした異臭を放つ林檎を
とりだして噛み砕いて食べてしまいたい
ぼくをへだてる外の世界は
あまりにも予定調和で ....
森は深く続いていた。森にはすべての闇がある。闇が森のすべてなのか。植物で覆われているせいで、緑は闇と化すのだろうか。森のなかで声を出す。私の声は喉から腕になって森を掻き出していき、森を食べていく。森に ....
🍎 頬杖
{引用=言葉は心を越えられないこと知っているのに
心が言葉を越えられないとうつむいてみる
それが
林檎のように沈んでゆく}
🍎 なり損ねた夜
{引用=夜十一時過 ....
少年は秘密を閉じ込める
美しい叔母のブローチをこっそり隠すように
部屋に鍵をかけ 歩哨さながら見張っていたが
閉ざせば閉ざすほど膨らんで行く 妄想は
秘密を太らせるのにはもってこいの餌だった
....
俳優になった理由を教えてほしい。
なに、SMプレイをしてみたかった。
それは動機であろうな。
私は無駄話をしにきたのではない。
だけども興味が無いわけではない。
そうだな、話を聞 ....
私にはこどもがいた
誰にも知られることのない
私だけのこどもがいた
男の子だった
その子は口がきけなかった
けれど、目と耳だけは確かだった
彼は目でことばを話し、
耳で私の心を食べていた ....
ほんのりが合間を縫ってココアを持たせた
降らない結晶を望みながら
20年前の手の艶やかさを思い出しながら
ハンドクリームを細かい溝に落としてゆく
心は歳を取らない
鎧の全ては時間に ....
すべてのジャンクの山のなかからあなたを掘り起こす
随分と埃はかぶっているがすぐにでも使えそうなんだ
すべての汚れたもののなかから抽出された血液だけが
あなたを再生させるものなのかもしれないの ....
チェルノブイリや
チャレンジャー号を破壊し
研究が進んだと
双子は結論付けて
ぼりぼりと頭をかいた
計器類は全てしまった
巫女たちも削減して
代わりに木を植えた
でも襟が汚い
双子に ....
太陽の繭玉を紡ぐ朝
風景も 音楽も
ひとつ心に溶けて
対流する
かたちのないものたちは
かたちのなかでふるえ
ただ惹かれていた
扉の向こう
音と意の翅を得ることに
....
薄くひらかれた口許から 吐息を漏らしながら声帯を震わす
まだ 生まれたての皮膚についたりんぷんを振りまくように
僕の唇はかすかに動き なめらかに笑った
足裏をなぞる砂粒と土の湿度が おどけた ....
真夜中に目を覚ますと
キッチンのテーブルに誰か座っている
見れば自分ではないか
寝ないのか、と問うと、寝るのか、と答える
最近どう、と問うと、知ってるくせに、と答える
仕方がないので向かい側 ....
月白色の街に降りてみた。
寒色の気持ち。
暖色の気持ち。
両方を持ってきた。
灰色が無い、私。
あってもいいのに、
曖昧。が身を助ける、ことだって有る。
....
言葉の停滞
言語の解体
言霊たちの
本意を求めて
日を見ぬ閉塞
ひそかな生息
居場所もないまま
ようやく生かされ
道なき隠遁
未知なる混沌
....
姉がトイレに降りて来たので
私は台所を離れて
パソコンの前に戻り
ピクチャーライブラリーの続きで
日付をスライドさして居たら
歯の生えた扉が
ものすごいスピードで
やって来て
十三歳の ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294