すべてのおすすめ
八月に入って
夏の子が孵化した
春の子はカラスにやられて
しばらく空き家になっていたキジバトの巣
避暑に出かけたカラスがいない間に
夏の子はすくすくと育った
キジバトの巣は我が家のケヤキの ....
今日は。
昨日の。
明日ではない。
明日は。
永遠に。
やってこない。
時の果て。
まあるい。
星の。
いのちは。
今日を生きる。
だけ。
あの日を。
越えて。
....
十二月、空はひくい。
落ち葉の季節も過ぎた。
竹箒を立てたようなケヤキの並木がつづく国道。
鳥の巣が傾いたまま、
ケヤキの梢にひっかかっている。
いつ落ちてもふしぎではない、そんな気がする。 ....
知的だね、と呼ばれてみたい宇宙人明日来るかもBOSS買いに
母ひとり、具だくさん
猫の手の嘘つき
周りますとも公転周期二万年意固地すぎますプラネットナイン
破瓜を超えても月ひと ....
藁葺きの小屋であれ
コンクリートのビルであれ
その四隅にはたぶん、
柱がある
その柱の向こうは、果てがなくて
やがてどこまでも丸い大地を離れ、成層圏をぬけだして
宇宙という名の空間をゆくこ ....
落ちては掃く
落ち葉の
落としては掃く
落ち葉の
だれでもない
わたし
日暮れの
空の
落とされては掃く
落ち葉の
だれでもない
わたし
だれかが
どこかで
....
パソコンがなかったら仕事ができない。
年金詩人のわたしは今日もパソコンと睨めっこしている。正確にはマイクロソフトワードがなかったらということになる。その理由は文字を書く労力が半減することで、文章 ....
臨界に旅立った母は、すこし痩せたみたいだ
もう、帰りたい。という
ここには団欒がない。という
距てるものは何もないのに
働きすぎたのだろうか
午後十時二分の、電動歯ブラシは
....
地下二階で 小説を書いている
と、謂ったのは誰だったかしら すっかり忘れてしまった
ね、詩人はどこで詩を書くの?
地上?
地下?
雲の上?
あ、そうだ 地の底かしら
小説と謂えど ....
六月の雨が
育ち盛りのスイカをいたずらに誘う
でも、今年の梅雨は少々しつこくて
早くも冷夏の予感がした
ナスビもトウモロコシも痩せたまま太らない
繁茂するのはスイカのツルと葉っぱばかり
....
テーブルの上に、あした買ってきたりんごを置いてあると言う。
もちろん、そんなもの私には見えない。母だけが見ることのできるりんごだった。
今朝も雨が降っていた。桜の季節はいつも雨に邪魔され ....
ポケットは好きだ。
もし、この世界からポケットがなくなったら、ぼくはきっと、お猿さんになっちゃうだろう。いちばん好きなポケットはダウンジャケットなんかについてる、ハンドウォームポケットっていうや ....
雪の降る日に、{ルビ姉=あね}さんは
半年前の忘れ物を取りに来はった。
今朝、思い出しましてなぁ。
そういって、姉さんは
その日傘を抱えて帰りはった。
なんで、こんな日に思い出したん ....
半導体に埋め尽くされた街角は、
青白く発光する。
イルミネーションの木立ち。
凍てついた夜空を飾る、
あの星たちが青いのもLEDなのか。
光の速さは毎秒三〇万キロ。
一秒で地球 ....
河の向こうにあるのは
向こう岸です
至極当然だけど、事実です
あなたは今、どちらの岸辺で詩を書いていますか
向こうですか
こちらですか
それとも、どちらだかわからないですか
一生懸命に書 ....
瞳
二月の白い雨の中
何もかもが凍りついた冬日
畦の匂いさへ凍りついたまま
も吉は冷たい闇の中で
いつもの道を見失ってしまった
今日はどうしても
まっすぐ歩けない
も吉を ....
絵ハガキ
古びたペアリフトが、白く耀く斜面と雲ひとつな
い青空の隙間を、カタコトと、揺れながら私を山
頂へと運んでゆく。飽き飽きとした水平線上の生
活を忘れ、雪の斜面を滑り落ちること ....
五時間半のパートも毎日つづくと
腕も、足も、腰も痛くなって
お風呂上がりにはからだじゅうに
星を貼って、寝ます
星は、
ツボとよばれるからだの黒点に貼るから
いくつか貼ると
わたしのか ....
ブランコ
息を吸って
息を吐いて
息を吸って
息を吐く
いつも意識の片隅で
緊張している
生きるために
前脚を出して
後ろ足を出して
前脚を出して
後ろ足を出す
....
茄子紺に染めてあなたのまわしなら俵踏みしめ恋尽きるまで
長茄子の紫の花何気なく紫紺に染める我が実知ってか
茄子は「成す」花の数だけ実をつけてしあわせになる畦のあなたと
足りないのあな ....
ひもじいといって、啼く蝉はいない
白亜紀の時代から
ひとはひもじい生きものだったという
そのひもじさに耐えて、恐竜から逃れて
生き延びることのできる生きものだったという
生きて
生 ....
乾いてる軒下暮らし梅雨の日もそれが定めとうな垂れて
ほんとうに美しい玉葱の芯どうしてもほら泣いてしまいます
玉葱の玉を採ったら葱だらけでもそれは夢{ルビ二兎=にと}を追うひと
玉葱の ....
れんちゃんは犬なのに
お手もできない
ある日
このぼくにできることを数えてみた
あれと、
これと、
それに、
三日数えても尽きなかった
それで
ふと、気づいて
そうだ
ぼくに ....
田んぼ
乾いた田んぼに水が入って
追いつけないままに去っていった
春の詩をようやく諦める
花菖蒲は元気に咲いている
紫陽花もゆっくり色づいてゆく
発芽した朝顔は満員電車みたい ....
生きる
乾いた空の木の枝は
去年と同じ姿をしている
彼らは信じて疑わない
この冬が
やがて春になることを
人はどうして姿かたちを変えるのだろうか
老いることは人も木も同じは ....
親はいないのか
捨てられたのか
たかいのか
ふかいのか
風がきつい
まぶしい
今日の空
ひとのかたちで
風に捨てられて
おまえは
なんていう名の雲か
太郎か、次郎か
花子か、雪 ....
鈴木さんと、大王さまはスロープに向かって、ゆっくりあるいて行った。そうして、青白い灯りのなかに立って、わたしに手をふってくれた。
さようなら……。
わたしもちいさく、手をふった。
あ ....
おかあさんが家に電話して、おばあちゃんが元気そうだったから、このまま買い物に行くことになった。動きはじめた車の窓ガラスをいっぱいにあけて、わたしは猫又木山文化会館の三階をみあげたの。
あっ、だれ ....
も吉と歩く
何もない冬の午後
も吉と歩く
はたちの頃 一年ほど日記をつけた
何も残せず ただ消えてゆく日々が
とてもこわかった
時間はたっぷりあったのに
いつもの散歩道
....
{ルビ月極=げっきょく}さんは資産家だ
日本全国に空き地を持っている
でも、どこに住んでいるのだろう
月極さんのお家がない
そう思うと、ちょっとかわいそう
パートさんになった
月極で働 ....
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