青い看板に白い文字で
ビジネス
カジュアル
フォーマル
朝のだだっ広い駐車場
少しくすんだ 慎みの季節が
春に巣立った雛たちの 瞳にも
映って
....
気づいた部分があれば
気づかない大部分がある
気づいた部分にとらわれすぎると
判断を誤る
たるんでいる
それだけだろうか
絶対に遅刻してはいけない場面で
どうしてそんなことをするんだ
しかもそれが当の自分だ
この自分自身を許せないという
やるせない想い
この気持をどう ....
気まぐれでかたまりで買ったでかい肉を適当に切り開いて、塩胡椒ぶっかけて柄のガタついたフライパンでおよそこんぐらいだろうという程度に焼いたら皿に投げ落とし、適当に作ったソースでパクつくとまんざら ....
『ここは狼だから会話するだけ無駄だ』まで言われてもヘラヘラ笑ってるくせに
『人狼ゲーム』という言い回しが異様に琴線で
『人狼。な ....
俺の寝床は
秋になると大勢の奴らが踏み散らし
大きな足で踏んでいく
みんなそそくさと寝床を踏み散らし
大きな足で行っちまう
何で秋になると俺の寝床は踏み散らされるのか
ちっとも解らないし
....
栗色のながい弧が
私たちの耳にふれてから
鱗雲の向うへ塗れていった
秋の街をならんで歩く
ふたり 着古した服を着
透明な壁の群をすりぬけていく
....
残念な目的を果たすため乗ったバス
次の停留所を伝える声が
なんだか常世のひとみたいだった
このままあちらの世界へ
引っ張っていってくれてもいいのにと
願いかけたのに降ろされた現世
....
ぬれて可愛い犬のあたまを撫でてやる
自分の手が よいもののようにみえてくる
ほんとうのことを言っていればいいと思っているひとのとなりだと
まるでほんとうでないように見えるわたしの手が
....
速度は一定がいい
そんなに速くなくてもいい
あんまり遅くない方がいい
目をつぶらずにいられるくらい
微かに向かい風を頬で受けるくらい
しばらくこのままで進みたい
赤い目をしていま
なにを読み
どこを跳ねるのか
あなたは謀った
{ルビ和邇=ワニ}たちの背を戯れ跳ねながら
目指すところへ近づいた時(それは幻想だった)
傲りと嘲りが
鈴のように ....
薔薇の花をおくるよ
ふかく悲しませたあとに
気にしないでときみは言うけど
鋭いナイフをおくるよ
歓びをわけあったあとに
面倒な人、ときみは言うけど
....
雨のおとが体に刺さって下に抜けて行く
その先のまちで
男が酒を飲んで煙草を吸い
女が風呂に入り石鹸の香りを嗅ぐ
花は季節に散る
どうということもない
あたたかな食卓が
どれだけに ....
僕の東側から
今日も君が昇った
コーヒーの香りが
ほんのり温かい
他愛無い話に
マーマレードを塗りつけて
右目は美人のアナウンサー
左目は君の笑顔
ベーコンエッグは
半熟 ....
誰もがみんな、まっ逆さまに死んでゆく
僕は絶望に呑まれて立ち上がる事もできない
死んだら十字架は要らないから棒かなんか差しといてくれ。地面に。
血腥いジャズで朝までウヰスキーを飲む。安い女が話し ....
頭と骨と鰭を付けた鯉が
泳ぐのを見た
首を落とされた鶏が
庭を走るのを見た
背骨のない蛸が泳いでも
背骨を抜いた鮎は泳げない
骨牌のような積み木(ブロック)が
髄で繋がっている背 ....
【新】
手と手と てとてとてと かさなりあって音がする
足と足 大きな靴のなか小さな足が とてとて動く
とおい日の かげが
わたしを追い抜こうとして とてと 立ち止まる
冷蔵庫に ....
誰の手にもとられずにずっと沈んでいる本がある。
本のなかにのめり込んで沈んでいる人もいる。
人から人へと貸し借りされ、ずっと泳ぎ続けている本もある。
本たちの上を楽しそうに泳いでいる人もいる ....
にんげんはいでんしののりものだってさ
きみもぼくもいでんしののりものならば
でもぼくはきみのいでんしをあいしているわけではない
きみのえくぼがとてもすきでいつまでもみていたいから
何日 ....
速度を脱ぎ捨てては
肌から新しい速度が広がっていく
夜の残響は低く厳しく
朝の前奏は遥かに
誰かが投げ捨てた栄光を
誰かが見失った感性を
拾い集めては燃料として焚く
このひとつの大気の横 ....
もうこの世にはいないように
白い墓標の文字を眺めている
すると小さな手が払いのけて
絵本を読んでとせがんでくる
漂う意識は
もう我が子を眺めるしか
楽しみがないのかね
幽体離脱を ....
同じ道を歩いた
くり返し歩き
くり返し問い
くり返し答え
水の写経のようになにも
こころの所作だけが
ただ――
くり返し祈った
石の中のロザリオ
沈黙の塵は満ちて
尚も空白 ....
一度間違えてしまったのだから
何度間違えても同じことだろう
そう思って暮らしていると
次第にばったのような顔になってくる
顔がばったのようでは外にも出られないので
その部分を消しゴムでこすり ....
母がぼくの肩に交じり
ぼくはぬるいお茶をこぼす
夢をも一度
ハ行に注ぎ入れて
湯気を吹き
そっとすする
ほら お食べ
銀のお椀に
盛り切れないほど いっぱいの
夢だよ
飲みきれ ....
吐き気を催すほどの閉塞感
我慢をし過ぎるなと常に言い聞かせているのに
自分でも上限を認識できないらしい
まるで他人事のようだ
優しい気持ちをどこかに置き忘れて
目の前をすべて遮断する
独り ....
かん高い声の騒ぐ言葉が部屋中を這いまわっている。声の主は女と女なのだが、女と女は椅子に座っていて向かい合ったちょうど真ん中にテーブルに載った紅茶とポッド、そしてナイフで取り分けたそれぞれのビクトリアサ ....
月曜日に来た人は とても穏やかな顔をして
私の頭を撫でてくれました
月曜日に来た人は 火曜日には火遊びの仕方を
私に教えてくれました
月曜日に来た人は 水曜日私の小言を片付けて
流 ....
全か無かになる前に
全から少しだけ引いてみる
自分にはこれだけできるはずだ
という根拠のないプライドが
少しずつ擦れていって
それでも切れることなく
切れないためにも
苦笑いして
何か ....
おもいでのまちをとおりすぎて
おもいでのまちにかえる
おもいではとうにうせてあきのそらがひろがる
なんだかかなしくてくちぶえをふいてみる
おもいでのいちばではなにをうっているのだろう
....
――雲が早い
と思えば雨か
秋らしい振舞に
朝からおまえと飲みたくなる
なすがまま
なされるがまま踊る木々
つめたい雫
鼻先に最初のひとつを感じた蛇が
暗い岩間にすべり込み
ただじっ ....
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