忘れられた歌が戸を叩く
風が酒乱の男みたいに木を嬲っていた

(何も知らない子どもがゲルニカを見ている

 あなたは映らない鏡
 恋している
 空白の輪郭の投影よ
 純粋すぎて
 愛 ....
きみのかあさんになりたい
お洋服を手縫いしたり
陽に透けるきれいなゼリーをつくったり
おひざにだっこして絵本を読んだりする
いつも子育てのことで
はらはらと気をもんでいる

きみのとうさ ....
耳にあてた小さなスピーカー

三半規管で広がり

流れるメロディ


耳にあてた小さなスピーカー

蝸牛神経を通って

脳を揺らすリズム


日常を隔たり一本線 ....
解放の日の記念にミネストローネをつくりたかったんだ

なにからの解放だってきかれても
僕にもよくわからないんだが

とにかく野菜は自然主義者で
そのおだやかな主張を胃袋におさめたならば ....
薔薇の散るかすかなざわめき
酸性雨はやみ
コンクリートは少し発熱している
大きな海で貝は風を宿し
小さな海では蟻が溺れる
波紋はいつだって
丸く
遠く
対岸で鳥はさえずり
ポストはチ ....
 
 森の小径でだれかの影法師が泣いている。
 よそゆきの仮面を外し、裸の心が揺れている。
 曝け出す事を善しとするならば、
 私たちはだれにどこまで曝け出せば良いのだろう?

 露台の椅 ....
ぽたり

心の壁の左下の
しみったれた蛇口は
しまりが悪くて
思い出したように
言葉が滴り落ちる

気紛れに
小さな器で受け止めて
液晶の畑に撒いてみるけれど
発芽するのは
 ....
棘の生えた心だ

もう、侵食されて、棘の生えた魂へ

伸びた棘を削るのは 友人
伸びた棘を取るのは 嫁
伸びた棘を刈るのは 母

周りの人に支えられる若い介護

情けな ....
涙を、

光ばかりの静寂に落とす

邪悪な光は冷気の中でたどたどしく転び

火だるまになる

器を焦がしてしまった

とても新鮮な空気を吸いながら

涙を、

月の中の悲し ....
死なないことは分かっていても

発作がおこるとびびってしまう

曇り空の夕方が群青いろだから


僕らはまるで群青のサンドイッチ


死なないことは分かっていても

発作がおこ ....
通夜のさざなみ

鯛の骨がのどに刺さって
死んでしまうなんてね
或る死の理由が
人の口から口へとささやかれ



悲劇

重力がない世界では
シャボン玉も落ちてはこない
だか ....
ぼくの家には湿度計が必要なんだ
ウエットなときには彼女とけんかするから

ぼくはすべてを知る職人になりたかった
ぼくはすべてのものを所有したくなくて

変化するものが大嫌いで
でも固定さ ....
白樺からか
ハンノキムシ
熱で磨いた色味して
降って来た
フロントガラスの向こう
鈍い光を投げ返し

 ひとつ
   ふたつ
     みっつ

涙の粒
星を深く沈めた
夜を ....
雨は降りやまない
けれど
雨音は音符に変換されていくから
赤子も子燕もやすらかに眠る

雷は遠く くぐもって鳴り
狙い撃ちされる心配はいらない

流れ星のいくつかは
蛍に生まれ代わり ....
朝は熟れていても清潔で、新聞紙のにおいがします。
(瓶詰の海に日をあててから手を洗う)
することはたくさんあります、
洗剤をあわ立てたりほこりを集めたり、
出かけっぱなしのくつ下をペアにし ....
文字に残す
今を残す
時間はみえないけど
文字にすると見えるようになる
私の今を
真っ白な紙に残す
終わりを知らずに
ときの過ぎゆく悲しみは僕に
まるで嘘をつけよと唆(そそのか)しているかのようだ。

夢にみた黒猫の貌をした貴女、
夢の中でなら、
僕たちのキス、あたたかかったね?

夜を ....
駅が好きだ

旅行者がいる
外人がいる
妙齢ご婦人の三人連れ
急いでいる人
見上げる人

せわしなく
人が動く
何かの目的に
人が動く

あなたと

待ち合わせたことも
 ....
心は曖いちいさな海で
寄せては返したがっている
愛してない
(あなたを愛していない)
それが白いブイのように
波間に泡立ちながら
にぶく 在る
めらめら壁が
燃えているというのに
くまたちは眠っている

5月も天辺間近
夕暮れも薄く伸びて
暑すぎる夕暮に草いきれ
もう
答えがでる

くまよ
燃えつきる壁よ
わたしは ....
ときどき旅に出る
バスあるいはロマンスカーで

目的地を通り越して
家に帰るために

ごくまれに家出する
抵抗あるいは革命のために

気恥ずかしい迂回の末
家に帰るために

 ....
命がけで海の深みに潜り
古の眠れる宝を手に入れた男の話
錆びついた鍵を抉じ開けた
宝箱の中には
見覚えのある割れた手鏡ひとつ

結果より過程
得るよりも追求
流離うなら古代ギリシア
 ....
魔法はいつか醒めるもの
それも残酷なタイミングで
少女時代の楽しいお茶会
永遠に続くはずだったのに

甘いお菓子たちの余韻が
不意に舌先から消え失せて
一緒に王子様の噂をしていた
乙女 ....
意識は一本のロウソク
辺りの闇を仄かに照らし
朧げにでも識別し得たもの
それが全て 世界の己の だが
寄り添い合えばより遠く闇は開け

意識は一本のロウソク
にわかな風に脅かされて
人 ....
名無し指で水星をまわす
お金が増えるおまじない

地面に両足を立てて
アリゾナの方角を向いた

私の心は雲に覆われ
ただ水に浮いた

横倒しになったまま
季節が存在するのかも

 ....
盃から溢れる涙のよう
漲る色香をその身に収め切れず
こぼした花弁 拾って風は 囁くほどの足取りで

月しか知らない子どものよう
蒼白いその身を五月の光に晒しながら
淡く 萌え出る想い そっ ....
誰もいない小川に
僕が 釣り糸を垂らしていたのはいつだろう 小川に
冬のある日 釣り糸を
しかし冬の日に小学生だった 僕は一人だった 


だけど 今でも僕は川に釣り糸を垂らしてはいる ....
皮肉をいわなければ死んでしまう貝があって
それはそれで良いだろう

まっすぐな誤解はいつも答弁を
許してはくれないから
せめて僕を許してくれないか

家を売らなければならないヤドカリ
 ....
非常にたくさんのものが
(ほとんどあらゆるものが)残っていた
スプーンもフォークも、ぴかぴかなバイクも
時計も、携帯電話も

空気が
かろうじて光をのみこみながら
浮遊している
ね ....



岬の先端に
一羽の越冬燕が佇んでいる
仲間の到着を待って
長い苦闘に
羽根はぼさぼさ
やつれて見る影もない
運命に持ち運ばれたとはいえ
惨めな姿だ
越冬燕は仲間を待ち ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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六月の朝はまどろむ- そらの珊 ...自由詩1618-6-2
クラリネット- ヒヤシン ...自由詩9*18-6-2
蛇口- nonya自由詩17*18-6-1
- 暁い夕日自由詩14*18-6-1
- moote自由詩6*18-5-29
群青のサンドイッチ- ペペロ自由詩618-5-26
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越冬燕- 杉菜 晃自由詩7*18-4-26

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