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バターの日
強ばった手足に蜜を塗り
小鳥たちに愛を与える
ナイフ、なにも
切らないでいられるうちは
美しく澄んでいて
でもわたしたちには生活がある
パンもバターも熊の夢も ....
この裡はとっくに爛れて
痛みのない恋をしている
来ない春
燃え上がるほどの心が残っていない
寒寒と炎が
蒼く上っている
でも わたしたちは
見たかった
泡の果て
像の裏
種子のはじける刹那
言葉も 体も
役目を終える
意味も理由もなく
世界がやって来る
やって来て 去っていく
必然の ....
朝
僕たちの半分は 燃え残り
がらくたを 集めはじめた
不完全なまま 笑ったり
食べたり 愛した
頂点の すこしだけ手前で
自我をもった がらくたが
誰かのかわりに 泣きはじめた ....
長い長い光のすじを
たどる気持であるいていた
だれかが声をあげる
これはただの線だ
白く書かれた 一本の ただの
もう少しいけばわかる
別のだれかが言う
のろのろと足はうごいてい ....
冷やした部屋で
濡れた画面を見ている
夏の前日
みるつもりでいた夢
古い冷蔵庫、凍りかけたビール
物事の手前で
君が微笑んでいます
夏の前日
それは
訪れるはずのない ....
ともかく私たちは辿りつき列にならんだ
色水みたいなコーヒー 配られるチケット(権利と義務が 印刷されている)
視線は 端末に通知される
皮膚は薄くなる 誰にも触れなくなる そのことも忘れられ ....
このベランダにはほとんど雨が吹き込んでこない。建物が林立しているために風が入り込んでこないのだ。降っていても裸足で出る、湿ったタイルの心地、むすめが背中にぴたりと張り付いてくる。
咲いた蘭、いく ....
目が覚めて
冷凍庫をあける
「指定のレベルをクリアして下さい」
つめたい印字 マシンガン 僕のトラクター・アート
寝そべって 知らない人たち それから
視力の悪い指導者 濡れた掲示板 パ ....
眠りの横で願うとき
わたしの願いが
泥のように暗い
頬をそっと撫でたいとき
わたしのゆびが
泥を塗るように重たい
せめてわたしが
だれも傷つけないように
祈るとき
わたしの眠 ....
ふるい嘘を すてた日
体が軽くて
歩きにくかった
曲がっても曲がっても
曲がり角
街はらせんに伸びつづけ
かわいたパン くらいの
気持になって
飛び降りるとき
空は
わ ....
いもうとがきらきらした布に縺れて笑っている。わたしの知らない時間を束ねて。むかしのはなしをしよう、と言って連れ出した、四十分も無言で歩いて、ぐったりしたわたしをよそに笑っている。いもうとは清潔な幻 ....
あおぞら ミサイル きれいな封筒
ひみつの話 くしゃくしゃの髪
そろえたつま先 うちあけられる
言葉のぜんぶがいたかった
鳥がないてた
高くて長くて 切れそうに
でも切れないで ....
さむい朝
世界じゅうで息は吐かれて
甘い詩をなめて生きていくの
といった
彼女が死んだ
爪から
ほそい光がでるようになってしまった
愛されすぎですね
と
医者が言った
でもだれに?
という問いには答えずに
気をつけてください
光のぶんだけ
影がたまっていきますか ....
あらゆる意味を浪費したんだ。
世界は存在するのに、
世界以外のすべても
同時に存在するんだ。
消費されていく、
(それも恐ろしい速度で!)
現れるのとほとんど同時に!
探している ....
嵐のおわる場所に
椅子をならべて
裏がえった愛情が
もう一度裏返るのを待っている
此岸
寄せ返す情
理由と
コンタクト
嵐が
終わるのだ、
と
信じていた私。
プラスチックの
罪のない赤や青
まじりけのない黄色にみどり
青ざめてるピンク
地図を裂くように
飛ばしてきた、
ビールの泡が
はじけるみたいに
かるい期待
(そして失望) ....
長いあいだ 恋もせずに
眠っていた
営みがいとなまれ
物語は癒着しきって
開かれず 湿った頁を
ほそい指が捲るとき
できるなら まだ
起きたくはなかった
長いあいだ 恋 ....
骨のない詩が畳まれて
送られてゆく
あかるい音とともに
チャージされるなにかたち
何度も水をくぐった
おもたい皿をもちよって
その晩、ぼくたちは
詩の骨でスープを取った
....
あわ粒に記号をふったり、
オルゴールのはじく金属の突起をおいかける
午後、まだ日のたかい街をうろうろして
存在という妄想を
あじわっている
からだの外がわで
世界と 物事が
....
季節はつぎつぎ仕舞われて
ま新しいシャツの朝、とびはねた分だけ沈む靴
いつ吹雪がきてもいいように準備しておくんだよ。
たんぽぽを乾かして瓶詰めにして
転んでも泣かないように、いつもすこ ....
春ちかい穴ぐらで
かなしみを咀嚼せよ
虎たちの夢は光り
鳥は飛ぶ
羽根がなくても
うそをついたり
ひとを泣かせたりして
パンくずを集めている
刺さりそうに白い
陽だまりをよけながら
ぼくの愛がはしってくる
うけとめよう
とすると
パンくずはみんな舞い
いく ....
朝だ 頬に
柔らかい寝息がおちる
木々の揺らぎ
僕たちの日々も老いていく
なめらかに熱い 夜を仕舞い
看板を出すように服をきて
ざらざらと 今日が膨らみはじめる
ビルに 街に ....
おおきなたてもののなかに
人がたくさんはいっていて
空や海はそれぞれに実在するとして
みえない思考や行動はどうしよう?
種のない畑にも
風はやってきて
よごれるように
生活は ....
あなたがいると、
世界は
星くずみたいになるから、
右や 左や
上や 下はなくなって
きらきらざくざく溢れゆく波になって
みんな 傷まみれで
ひかって、
転ぶみたいに流れて ....
かたいかたい土を破って死ににくる蝉。六角形の頂点で、
わたしたちは夏を迎えた 地味で可愛い花とか、葉っぱ
とか、きれいな石や安くてぺらぺらの靴。32階建のビル、
眼鏡のあの子、クーラー ....
素麺と豚肉と茄子の煮たのと味噌汁ととまとと胡瓜と梅干しとご飯と納豆とひき肉冬瓜と青菜の浸しをたべたら作り置きの惣菜がもうないから卵を焼いて豆をもどして、もどしてるあいだに卵はたべてしまうしもう一度 ....
朝は熟れていても清潔で、新聞紙のにおいがします。
(瓶詰の海に日をあててから手を洗う)
することはたくさんあります、
洗剤をあわ立てたりほこりを集めたり、
出かけっぱなしのくつ下をペアにし ....
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