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水を入れ替えるのを忘れた
花瓶だったろうか
金魚鉢だったろうか
お仏壇の茶湯器だったかもしれない
いずれにしても罪深く
自己嫌悪を覚える
最近はこんなことばかり
やることなすこと ....
雨が嫌いなくせに
今日だけは雨が降る予感に
嫌悪感が伴わない
子供の頃から認識している
七夕には雨が降ると
いつもそうだった
織姫様と彦星様が年にたった一度
会える日だから
今 ....
少し射に傾いて
右肩の方だけを床について
身を縮こませて
寝転んで見る
右目の玉だけを動かして
空を流れる雲を見ようとしてみたり
このままの状態で右手の小指を
動かそうとしてみた ....
うおお
雨が降っているぅ
と叫びたいのに
憚られる想いがして
綴るに留める
世知辛い世の中になったものだと
時世を不愉快に思いもする
だからといって抗うこともできず
為す術もな ....
なんだかふんわりとして
とても眠くって
でもこのまま眠りに堕ちては
とてもいけない感じ
なんだろうこの静けさ
安心感が満杯で
違和感を覚えるのは
舌の奥の方が少しだけ
苦い味を ....
目蓋の重みにもはやこれ以上は耐えられないというとき
せばまる視界の遠い向こうにボンヤリと輝くあれは
きっと黄金虫に違いない
徐々に眠りに堕ちながらも脚はそちらへと歩み
腕はそちらへと伸ばさ ....
穴に堕ちて
もう二度と
上がって来れなくていい
今回の自己嫌悪は
それくらい深い
私が抉った傷は
もっと深い
拭うことのできない悲しみは
自らの罪
恥を上塗って
怒りを伴って
悔 ....
見上げた空は
千切れた雲がまばらに広がっていて
見なければよかったと思うほど
薄汚かった
思わず自らの姿を確認する必要を感じ
頭を腹の方へと下げてみるが
人様の目にどう映っているかまで ....
翼もがれて堕ちてゆく
なだらかに弧を描きながら
緩やかな速度で
痛みを覚えるために
気を失うことはなく
流血も軽やかに
飛沫を放つこともなく
身を捩ることも捻ることもできず
嗚咽さえ上 ....
歪みを感じる
いつからだろう
目に見えているわけではないが
なにかが歪んでいるのを感じる
歪んでいるのは
私の心だろうか
それとも世界だろうか
どうしてこんなことになってしま ....
明日雪が降るというのなら
今宵は耐えてみせよう
真白な雪が世界を一面に覆うのを
この目で見られるのならば
なにもかもを許すことができる
そんな気がする
理由は分からない
君が居てくれない ....
供されたお茶は
どうしたって危険で
口を付けるのが恐いのだけれど
いただかない訳にはいかなくて
ただ眺めているだけにはいかなくて
もうなんとも誤魔化しようがなくて
だからといって逃げ出すこ ....
息を吐くことができない
吸うことはできるのに
うまく吐き出すことができない
詰まりそうになる
鼻のところ
すんでのところで空気が漏れる
鼻の穴がヒクヒクしてる
痙攣している
実に格好悪 ....
君は僕で
僕は君で
太陽と月で
白と黒で
光と影で
薔薇と砂山で
正義と邪悪で
真実と嘘で
神と悪魔で
木々の間をすり抜ける風は
君が木で僕が風
否
僕が木で君が風
たるんでいる
それだけだろうか
絶対に遅刻してはいけない場面で
どうしてそんなことをするんだ
しかもそれが当の自分だ
この自分自身を許せないという
やるせない想い
この気持をどう ....
速度は一定がいい
そんなに速くなくてもいい
あんまり遅くない方がいい
目をつぶらずにいられるくらい
微かに向かい風を頬で受けるくらい
しばらくこのままで進みたい
吐き気を催すほどの閉塞感
我慢をし過ぎるなと常に言い聞かせているのに
自分でも上限を認識できないらしい
まるで他人事のようだ
優しい気持ちをどこかに置き忘れて
目の前をすべて遮断する
独り ....
少し歩くと嫌な汗をかく
そして自覚する
未だ完治してはいないのだと
だからと言っていつまでも
休んでばかりはいられない
目眩を
吐き気を
催しそうになりながら
へたばらずに過ご ....
この気持ちの悪さを
医師に伝えられる自信がなくて
今日も病院からは足が遠ざかる
左側の肩甲骨の少し内側、背中寄りが
熱を持っている
そんなことを言って信じてもらえるのだろうか
....
血圧が低くなっているのを
眩暈を起こしそうになって自覚する
照りつける太陽の下
息が荒くなりつつあるのを
必死に抑えて歩き続ける
冷たい水を全身に浴びたい
そんなことしたら凍え死んでし ....
水母のように
ふわりゆらりと
水面下を漂う
揺れているのは
この心か
この身体か
最早どうでも構わない
空気など要らない
陽光を全身で受け留めて
微笑んでやろう
俯せで眠る無防備な背中が大きくて
つい頬ずりをしてしまった
爪を立てたくなる衝動を
必死に抑えてみた
喉から流れ出た撫で声は
自らにも気色悪く
化物のそれとさえ思われた
瞬き ....
眠るように
堕ちてゆく
空から一直線に
落とし穴へと向かって
洞窟のような
通路の中を
ただ真っ直ぐに
堕ちてゆく
一定のスピードで
速くもなく
遅くもなく
ぶれることな ....
腹痛を誰かに八つ当たりしたいけれど
この部屋には他に誰もいなくって
八つ当たりできる心当たりもなくって
外へ出かけることもできなくって
身を捩らせ
冷や汗をかき
呻き声を上げ
恐れ慄き
....
稀に見る真剣な眼差しに
早まる鼓動は
私のものなのか
あなたのそれか
区別がつかないほど
かつてない近い距離で
手に触れることなく
想いが交差するのを感じ
悦に入る既のところで ....
ごごお、ごごおう、
今宵もまた強く風が吹く
ごごお、ごごおう、
汚れた哀しみのコバルトの闇に
刃を剥く三日月さえも
ごごう、ごごおう、
吹き飛ばしてしまえ
強い風に飛ばされそうになると
いっそのこと飛ばされてしまえと思うのに
足は踏ん張ってしまう
気持ちはここにあらず
空高く舞い上がっているのに
足は踏ん張ってしまう
意気地なし
自 ....
内側
蟋蟀みたいな細長い脚で
かりかりと
引っかかれている
そんな感じ
続く
喉の痛み
また咳にうなされるのかと
眠ることに恐怖を覚える
そしてまた疼く
喉の内側