針先で突き刺した
指先から
私というひとつの海を
絞り出すように
私は激しくもとめている
あなたのその、
果てない闇の底に
うつりこんだ私を

あなたは一匹の魚だ

つかまえよう ....
見上げた空は
千切れた雲がまばらに広がっていて
見なければよかったと思うほど
薄汚かった

思わず自らの姿を確認する必要を感じ
頭を腹の方へと下げてみるが
人様の目にどう映っているかまで ....
釧路空港霧のため
鳥のようには飛び立てず
蛇のように這って帰る
特急ス―パーおおぞらの腹の中
ゆらりゆられて眠りに溶けて
ボールペン型ミサイルが
ピンポイントで飛んでくる
今ならいい 今 ....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
ある人には 最後まで欠けたままのパズルの一ピース 

ある人には 心に生まれ持つ鐘ことある毎に鳴り響く 

現に映す夢の面差し追いかけて魂の迷酔 わたしには




         ....
口紅をつけた
自分のか誰のかわからない血の赤
すると足元が浮ついて
堕ちた天使のよう爪先で滑るから
慎ましく知的 胸元に
悶えに悶えた腹を割いて取り出した
真珠ひとつ
それでも世界は殺風 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように


まともなあんたは
ひびわれた ....
雪は拭い去らない
覆い隠すだけ
日ごとに捲る
白紙のページ

忘却は灰ではなく
深みに沈むこと
どこか届かない
タイムカプセル

書き変えても
消去しても
記録を改ざんしても
 ....
鶴橋の町で五〇年 湯を炊いてきた
百草湯の源田のおやじが 今年亡くなった
あれは夏の午後
「湯を炊く」と言い残して赤十字病院で息を引きとった
おやじは享年七七歳
銭湯が寂れる中 おやじは ....
こんにちは。(これは人工音声です)


ぼくたちは普段生活をしていて、だから電化製品が好きで、きみの名前はコジマで買ったからコジマで、コジマは買いたての頃、すごくカタコトだった。ケーコートーの ....
鉛を擦った袖が
すっと高い
青空にひらめいて

手を振りかえすと
穂波へ消えていった
あなたを
好いていたんです


あなたの骨の中には
あの青い光が詰まっていて
きらきら き ....
秋の横顔は
暮れる空を向き
旅立ってゆく鳥の影を
ただ見送っている
あなたも早くお行きなさい
手遅れにならないうちに、と

バスは来た
回送だった
けれどいったいどこへ戻るというのだ ....
伝えようとした
なんども 白い指先が

――風のすべり台
    すばやくくぐって

  冷やかさ 
    保てず

      触れるや否や
   潤みほどけ

数えきれな ....
僕らの生身の魂は

今も1996年の京都にある

蛸薬師のビブレの屋上に置いてきたんだ

そこに黄色いロフトが建つ前の話だ

飛 ....
「だいぶ明るくなってきたね。
 やっと車幅灯が消せるな」と私が言う。
あなたは「消さないほうがいい。
 朝夕の時間帯がいちばん事故が多いから」と言う。
「なら消さずにおこう」と私は言う。

 ....
からだをさかむけて
ゆうやみを聞く
このさきにそらが
あるとして、
だれも届かないとしたら
空はだれのために
くれている

すきだった
ものの名前を
おぼえている順に忘れていく
 ....
時間を浪費している間に
命は光の速さで過ぎてく

派手なイベントなど
必要ないとわかった

もはやここにいて
呼吸していることがイベント

あちこちに旅したり
豪華な晩餐もいいけど ....
続けることに意味があるんだ
上手いとか
下手だとか関係なく
好きなことであることに意味があるんだ
いくら上手でも
嫌いだったら続ける意味なんてないよ
それ以上 上達することもない
世の中 ....
ときに 言葉は
無力な吐息

ときに 言葉は
無神経な凶器

ときに 言葉は
こころ温める 熱

ときに 言葉は
魂を舞い上げる 風

こみ上げる
言葉たちの渦
極まれば
 ....
うそつきで軽薄で
また、いい加減で
仕事が長続きしない

have a good life
have a nice day
透明な、透明な自分が

日銭、また日銭

ここにある体 ....
ボクを仲間に入れてと
言えなくて悲しいし
言えても辛くなるだけだし

ボクを捜さないでと書くと
当然だろと言われるから
ボクを捜してと書こうかな

日本では年間八万人の
行方不明者の ....
舌にさらさらとした、苦み。
冬にも、汗をかく。
そんなこともわすれていた気がした。
部屋中にふりまかれた、たがいの匂いの交配。
季節にはシンプルな獣であれば、うつくしくいられるのだと、悟っ ....
自分が虫になったと知った時
グレゴール・ザムザは紛れもなく人だった
グレゴールの家族が彼を虫として認めた時
それは毒虫以外のなにものでもなかったが

作者は残酷な創造者であり
読者はこころ ....
 晩秋の高原に吹く風が肌に冷たい。
 今は昔の心をもって現実を生きている。
 求める事も縋る事すら許されない。
 寂しさは明けては暮れてゆくものだ。

 退きながら遠景を見ている。
  ....
蒲公英の繊毛には色がある
白色は視覚化されるが
赤、青、紫、橙は花の妖精しか見ることができない
その色によって着地点は既に決められている

人間の心も同様である
人間の妖精は太古に滅んだ
 ....
小学生の郁子ちゃんが
書店で働いていたので
警察に踏み込まれた
「俺が店長の川山だ」
「俺が警察の山田だ」
合唱「野生の馬」が流れる
合唱「紀の川」が流れる
合唱「ヒカリ」が流れる
私 ....


硬質ガラスの瓦礫、量子力学の悲鳴…空っぽの巨大な培養液のカプセル、デジタルラジオにはノイズの概念がない、なにも拾えない時間には探しすらしない、「信号がない」と、小さなディスプレイに映し出 ....
夢の中で私は旅に出る
船に帆を張り
宇宙という海へ出港する
デブリなんかに邪魔させないで
意気揚々と船出する

目指すは明るく輝くシリウス
コールドスリープなんて利用しないで
ワープを ....
スーパーマーケットの外で缶ビール片手に持ちながら
青いポロシャツのおじさんが今夜も小一時間
おじさんにしか見えないというブラックホールの話をしている
ぼくはその姿を一番おもしろい角度から眺める
 ....
冷え込んだ街の空気がしつけ糸になる
瞬く間に指先から地球の温度に馴染んでいって
フェルトのように絡み合う

人間も冬眠できればいいのにね

美味しいものをたくさん食べて
寝床に綿を敷き詰 ....
Lucyさんのおすすめリスト(6469)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
指先の魚- あおい満 ...自由詩13*17-12-15
汚れた空が- 坂本瞳子自由詩1*17-12-14
釧路空港霧のため- ただのみ ...自由詩3*17-12-9
迷路- ただのみ ...自由詩13*17-12-2
しあわせ- ただのみ ...自由詩3*17-12-2
太陽は病んでいる- ただのみ ...自由詩5*17-12-2
あらゆることが語り尽くされたあとに- ホロウ・ ...自由詩15*17-12-1
日々すこやか- ただのみ ...自由詩9*17-11-25
源田湯- 鶴橋から ...自由詩617-11-22
コジマ- さわ田マ ...自由詩4*17-11-17
- 印あかり自由詩12*17-11-16
バス停- そらの珊 ...自由詩18*17-11-16
嘘の種- ただのみ ...自由詩14*17-11-15
11月- TAT自由詩217-11-13
光の海- 若原光彦自由詩3*17-11-13
ゆうやみ- はるな自由詩917-11-13
満ちる- ガト自由詩4*17-11-13
だから諦めない- 無限上昇 ...自由詩417-11-12
ときに_言葉は- 忍野水香自由詩317-11-12
細胞- うめバア自由詩3*17-11-12
捜索願い- イオン自由詩2*17-11-12
花屋- むぎのよ ...自由詩317-11-11
なぜか今朝彼のことを- ただのみ ...自由詩4*17-11-11
晩秋の高原- ヒヤシン ...自由詩4*17-11-11
ふわりの旅路- 白島真自由詩17*17-11-11
悔やまれる- 間村長自由詩2*17-11-11
記憶がなくなれば永遠になることが出来る- ホロウ・ ...自由詩3*17-11-10
太陽の最期- 無限上昇 ...自由詩217-11-9
花火- 宮木理人自由詩5*17-11-9
冬の裁縫- 青の群れ自由詩1217-11-9

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