僕の好きな水族園が河童の水槽を設置した。誰もが知っているのにまだ誰も飼育したことがない生き物の目撃情報を募っては果敢に採集を試みる。キュウリを握る飼育員。キュウリを仕掛ける飼育員。キュウリを齧る飼育員 .... ぽき ぽき 折れて

短く なってしまう前に

茹でよう

お湯を沸かして

ぱら ぱら 入れて

菜箸でおおきく

やさしく 混ぜて

冷たい 水にとって

しな ....
夜が深まっていく
連絡がつかない、繋がらない
隣室ではコツコツと壁を打つ音、間欠的に
遠くの森を手を繋ぎ歩いた愛娘は
青春を謳歌しているだろうか、今頃

夜が深まっていく
オレンジジュー ....
虫の音が
どこかの草むらで聞こえている
触角をふるわせて
葉の様子をうかがうことが
かれらの仕事で
葉先から零れ落ちる露を少し飲んで
またうたう

いたるところに黄昏れが満ちあふれ ....
安いキャリーバッグの
硬質プラスチックの車輪が
まばらな拍手のようなリズムで
旅行者の孤独を連れて歩いている
バスターミナルは蒸し暑く
分厚い屋根に覆われている
様々な方言や言語が
 ....
それは夢

花のように鍵盤を
ピアノから摘み取る夢
フロアを埋め尽くす白と黒
インプロヴィゼーションなお花畑
ケセラセラな作曲家はご満悦で
偶然は神様の御告げと信じてる

でも絶対
 ....
他の人生はない
次の人生もない
分かり切ったことだからあえて口にせず
「もしも」や「仮に」の世界を言葉にしたのだろうか
詩を書き始めた頃には多かった直喩から
あえて隠喩を多くしようと心掛けた ....
翅を欠く揚羽と並び歩く道白磁と見紛う骨の白さ


すずやかな朝にまどろむ娘たち夏の火照りを蓄えたまま


安全も安心も不安あっての約束手形不渡りもある

今朝はまだ世間の目には止まらな ....
海に住む少女に会いにゆこう
大西洋の沖合いはるか

めったに船もとおらない
まぼろしの町へゆこう

アイルランド訛りがとびかうはずのタバーンには
看板娘のひとりもひつようだし

だれ ....
高齢者の運転は危険だよって
母から車のキーを取り上げた
買い物に行けなくなっても
母は文句ひとつ言わない
ただ
バッテリーが弱るから
エンジンだけはかけてやってと
小さな声で頼まれた
 ....
海に潜り
息を全部吐き切って
胚を空にすると
体は砂底まで沈む

水が冷たくなって
辺りが暗くなって
とても怖いんだけど

そこで仰向けになって
見上げる海面の
美しさと言ったら ....
泣いて
哭いて
ひたすらないて

これでもかってぐらい 哭いて


僕は わらった
菜箸のまま食べる晩ご飯。
君は急な残業が入ったそうです。
人間の3つの美徳を挙げるならば
柔和 誠実 ほほえみ

人間に3つの悪徳があるとしたら
傲慢 打算 ぼくみたいな飲兵衛

偶数が好き
奇数は不安定だから

きみもぼくも奇数月 ....
今日の月は電気みたいにピカピカ
お月様ははね 宇宙なんだ

君が言うから見上げてみる

眩しいなあ
今日の月
光が丸におさまりきれないよ

そうかぁ
ピンホールカメラなんだ
 ....
ベランダの枯れた朝顔を見ようとカーテンを開けたら、
雨の雫が電線に。
傘を持って出かけるのが億劫で、特にレコードを見るとき、
邪魔だよなあ、あ〜あ。と声が出る。


川上未映子の「夏物 ....
頭の中のくすり棚に
そなえておく言葉のかずは
足りないと思うくらいでちょうどいい

からっぽの引き出しを開け
ない言葉に黙するとき
僕はひっそりと真新しいひとつに返る
君のことを良く
知るためならば
アイロンになって
シャツの上走る

その手の長さや
肩の大きさが
いつか全てを
抱いてくれるまで

歪んだガラス窓越しに
見つめる瞳は
震える星 ....
ポケットに
風のシールを
しのばせて
使い途など
無いほうがいい

けどそこの
あなたとあなた
そのすきま
何もないより
吹かせましょう

風の色
見えないはずの
赤、青、 ....
ファスナーが馬鹿になった。
昨日までは天才だったのかもしれない。
ひたひたりと障子の裏
板張りの縁側を歩く女の影があった

夢だということはわかっていた
ずいぶん前に引き払ってしまった
もう祖母しか住んでいなかった一軒家

広い仏間には掛け軸も
どこ ....
月の裏に池があったの
あなたは覚えている?
私はクッキーを焼いて
ラズベリーソースをのせた
初めての恋だった
でもあなたは行ってしまった
あの星に種を蒔くと言って
枯れた池を見に ....
一旦、ザルにあげておきなよ。
生活に疲れたなら、旅に出たっていいよ。
宇宙が生まれてからあっという間の
この夏
待っていた風がようやく
畳を撫でた

りーん
ちりーん

光の速さでピントを合わせる
この夏
皺だらけになった母の喉元が
麦 ....
綺麗にしてたつもりなのに
悲しみの中に蜘蛛が湧いた

わたしは掃除機をかけた
ただ、黙って、掃除機をかけた
利用者がうんちを漏らした
トイレに誘導して、ズボンをおろすと
お尻にもデイパンツにもみっちりうんちが付着している

デイパンツを千切って丸めてゴミ袋へ
ズボンを脱がせて新しい着替えを履かせる ....
{引用=独居美人}

託児所の裏の古びたアパート
窓下から張られた紐をつたい
朝顔が咲いている
滲むような色味して

洗面器には冷たい細波
二十五メートル泳ぐと
郵便物の音がした
 ....
真昼のまぶしさの下
水中眼鏡で世界をのぞく
あらゆるものがここでしかない自由をまとい
わたしだけが不自由だった
にせもののひれを誰も笑わない
ゆるされていた夏
さよなら、まりも
ひんやり ....
わたしは 年老いたわたしの失われた記憶
小さく萎縮した脳の中 仕舞い込まれて 
行方知れずの 動かしがたい過去の事実だ

茫漠として靄のかかる
瓦解した印象の墓場から
時折ガラクタたちが目 ....
果てしない豪雨のさなか、悲鳴を聞いた気がした
たぶん現実のものではないのだろう、けれど
おれは街路で耳をそばだてる、かなり昔、こんな歌があったなと
そう、思いながら
今日のすべてが粘ついた ....
Lucyさんのおすすめリスト(6469)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カンジョウ絶対防衛線_外回り/即興ゴルコンダ(仮)投稿- こうだた ...自由詩2*19-9-11
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黄昏れの道- 山人自由詩2*19-9-10
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鍵盤と鍵盤の間で- まいこプ ...自由詩219-9-8
まわりくどい話- ただのみ ...自由詩2*19-9-8
まねごと――やすらかに老いる町- ただのみ ...短歌3*19-9-7
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錆行く声- ガト自由詩11*19-9-4
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満月- 鵜飼千代 ...自由詩16*19-8-31
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風のシール- AB(な ...自由詩619-8-29
ファスナー- クーヘン自由詩6*19-8-26
ひたひたり- Seia自由詩119-8-25
ラズベリーの妖精- 丘白月自由詩119-8-25
ザル- クーヘン自由詩7*19-8-25
風鈴- 自由詩17*19-8-25
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障害者支援施設に勤めて- 印あかり自由詩11+*19-8-23
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まりも- そらの珊 ...自由詩1019-8-18
わたしは記憶- ただのみ ...自由詩4*19-8-17
You_Can't_Always_Get_What_You_ ...- ホロウ・ ...自由詩2*19-8-15

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