「命/12周目」
柵のついた子供用ベッド
その中で天井に吊るされた
くるくる回るおもちゃに手を伸ばす君の横で
ある日を境に上に伸びることやめて
横に横に枝を広げはじめたあの木のことを ....
踏み付けられた
つぶされた
わたしはそれでも
生きている
揉みくちゃになり
みっともない
姿になっても
生きている
茎が折れて
羽根のような葉もちぎれ ....
臓器がこむら返る、死後硬直の午後に
角膜の隙間に潜り込んだ不協和音を
爪楊枝でこそぎ出したら視界が赤く染まった
軟膏を塗りこんだらお陀仏だ
世界は白濁して
オープンリールフィルムのようなノイ ....
むかし
凍えて死にかけた野良猫を
お風呂で温めて助けた
その猫はそれから
私がお風呂に入ると
いつもお風呂場にやってきた
洗面器にお湯を入れてやると
自分からお湯に浸かり
静か ....
この夜に目が覚め
この夜底に触れる
私にはもはや
親兄弟家族親族はなく
現世的無縁仏だ
円やかな現世孤児だ
そこでは
私という存在が剥き出しで
そこでは
私という存在が真っ裸 ....
厳しい寒さに身を縮めるようにして
霜月 雪の降る街の道路に
ころがっていた 逆さまの傘紅葉
少し前まで
鮮やかに開かれていたその手の平を
突然の寒さに襲われた今は ....
お風呂のなかで羊を数える
布団のなかで10まで数える
からだのそばで、羊のぬいぐるみが、こころの空を雲みたいに漂う
羊がやわらかい温度を発し、
湯気のなか羊とともに眠った。Z^z^zと音をたて ....
以下は、文字と音の実験詩です。
詩を朗読しています。宜しければこちらもどうぞです。
https://youtu.be/3R5yliaT0bs
ひらひらひらひら
蝶のよに飛び散っ ....
さようならアメリカ
たぶんぼくはアメリカが好きだった
ジーンズが好きだった
コーラが好きだった
ポテトチップスも好きだった
さようならアメリカ
自由と平等と人種差別の国よ
民主的で覇権的 ....
いつのまにか
ぼやけてしまった
染みが
もう存在が消えようとする、その瞬間に
ようやくこころの片隅に
いろを
発生させて
うまれるよ
うまれるよ、と
存在を主張し始める
....
生まれ出る暗闇を
スリッパで歩く
冬の
イルミネーションはもう、海に沈んでしまっていた
ほしの形をあしらった
知恵の輪を
あつめては ほどく 少年の眼
それを見つめているたくさん ....
こういう真新しいチェーン店のカフェにはほとんど立ち寄らないのだが、入ったのには理由があった。
ここには、今どきのカフェには珍しく喫煙室があるから煙草が吸える。
慣れないカウンターでコーヒーを ....
昔、{ルビ通=かよ}っていた中学校の屋上に
天体観測の丸いドームがあった
天体望遠鏡を覗き込むと
こころの暗がりがみえた
こころはどの星だろうと
それから何十年も探 ....
ナンデーナンデーが増殖する頭をかかえ
森の中をさまよっておりますとパトカーの
音が谷あいに響いて山に反響して 谷の
町々のどこに パトカーがいるようだか
さっぱり分からないの 心の中はそんなか ....
明日の準備は午前中に済ます事。日曜一時間だけでもシダックスで三味線練習。クリーニング白誠社。スーパー銭湯。今日は自由空間泊まる。ガールズバー。テレビブロス除菌ジョイ薄口醤油。
ポールスミ ....
愛している
と言ったことがない
ごめんなさいは
いつも言う
取り返しのつかない
失敗を何度もする
手を伸ばせば
夢は消える
お互いの為に
ご飯を作ったり
お金を稼いだり
当たり前の日常の中で
ひ ....
酒を飲んだ翌日
私は あまり 具合が良くなかった
それから 目黒川に向かった
秋の入口のような木々の色を通り過ぎた
会社で問題を起こしたあいつは今はどうしているのか
思い出す ....
わたしは
みかんのきせつが
すきだ
ひとがうずまるほどの
おおきなはこに
みかんをいっぱいにつめて
わたしはそのなかによこたわり
おしつぶされたみかんの
あまいかじゅうは
みぎめ ....
柔らかい土
柔らかい手
指の腹からにゅういと
しぼりだされ
自然な形が出来ていく
少し不格好な佇まい
流れる時間と整う気持ち
優しい炎と温かい気持ち
山の向こう側で煙がもくもくと
空 ....
血が出るわョ
覚悟がございまして?
唇とクチビルを
グサリと繋ぐ
アタシの
スティール製のディープ・キス
ガッチャンコと
家内制手工業的に
繋がれる
アナタとアタシ
そうね ....
ほそく
だけどまわりの庭木よりたかく
そよいでいる
白樺の梢の辺り
黄ばんだ葉の疎らな繁りにふと
青いまま
いくつか
乾きながら
さわさわと光にそよいだころの
面影を残し
....
冬めいて部屋に取り込む鉢ひとつ
冬めくも猫を{ルビ抱=いだ}いてミルクティー
くちびるが一番先に冬めいて
冬めいてなんの未練もない鳥よ
パソコンを切って冬めく夜を知る
手 ....
冷たい指先から
ありもしない温もりが
すべて消えていくようだった
愛用していた
小さなティーカップは
一秒もしない内に
床への着地を成功させる事も ....
いけてる おばあちゃんでした
特筆したエピソードはない
けれど
名前が 池 てる
唯一無二の
おばあちゃんでした
寝言でドロボー!と叫んで
夜中におふくろを
震え上 ....
きみは星座のように古い考えかたをしている
たぬきの肉を食べた老人がいる
きみはひとつの童話を読む
本を机に立ててぴんと背筋をのばして
文字と対決するようにしてそれを読む
ストーリ ....
あなたは夏をみる人だ
うつむいたレースのカーテン越しに
あなたは白い夏をみるひとだ
窓辺にもたれながら、口をすこし閉じて
花模様のレースの ....
供されたお茶は
どうしたって危険で
口を付けるのが恐いのだけれど
いただかない訳にはいかなくて
ただ眺めているだけにはいかなくて
もうなんとも誤魔化しようがなくて
だからといって逃げ出すこ ....
パレ-ドグロスで磨いたエンジニアブ-ツ
SR400改のキックを踏み下ろす不良
何処となく壊れそうな黄色いエレファント
抽象に浸り溺れるアルコ-ル中毒の髑髏
意識のない人形が横た ....
こたつたつ
少し歩く
猫を呼んでみて
夜が笑う
震える身体
注ぐ月
少し酔ったふりをしながら
夢見る団欒
こたつたつ
少し歩く
転がるみかん
時計がつぶやく
じっとして
....
私をあまり怒らせないでくれないか
おとなしく愛の詩集を手にするときに
透き通る言葉を考えようとするときに
人の郵便物を盗み見る者たちよ
その手紙には父の遺言が
その手紙には母の筆跡が
....
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