夜の公園を歩く二人は
茂みのむこうに一匹の
アリクイがうろついているのを見つけた
なぜ、こんなところに
動物園から抜け出したのか
それともどこかで飼っていたのか
あるいは皆が知らないだけで ....
誰かと会って話をする
誰にも会わないで話をする
雑貨屋の前で喧嘩をする
寂しいことばかりを伝え合って
どっちが正しいか競う
なんともよ
戦争みたいだね
お互い
こんなことやりた ....
その人は初めに水のこころについてはなした
澄んだ水の中からうまれる
詩について
素早く動く魚影を追って
澄んだ水の中にだけ住む言葉を
手掴みにして詩をすくう
その人は今日 死者の位置 ....
という一文が一字一句正確に
記載されていたかどうかは
覚えていないんですけど
とにかくなんだかそういう意味の言葉を
どこかのインターネットのページであるいは
どこかの図書館の片隅の何ページか ....
赤い夜が来る
来ている
窓の外
サッシの隙間から
ぬるり
じわじわ
入ってくる
壁をつたい
床をすべり
絨毯の下にもぐり
中心から
表面に
染み出してくる
見ているし ....
かなってないから 夢
かなえたいから 夢
おいら 夢喰って、生きてます
水面に風の足跡
揺れる山々
赤い花白い花
虫に食われ
風に破れ
ぼろぼろの葉
あれがぼくだよ
遠い日
ほど良い大きさの
バスタブに浮かんだ生きもの
池の面 ....
電子でも
高音でも
もうなんでもいいから めの奥に巣をつくる泣きたがりを焼いて
みつめる画面が放つ頭痛と
どーにもならんただここにいる俺嫌
いらない
そんなことな_
....
久しぶりに息継ぎしたら
歯磨き粉みたいな
ノスタルジイが
喉に染み渡った
垣間見た空は遠すぎて
その場限りの
センチメンタルなんて
届きそうになかった
きっぱりと反転して
....
週末3連休でバイトもないから
金曜4限の授業さぼって実家かえった
久しぶりに手づくりのおしることか飲んで
再放送のドラマみて「あははあは」って笑って
シチューつくるのに牛乳切れたって母さん ....
うるむゆきのはざま
ぬれ落ち葉にそっと載せた瞳の過食
遠く翳る今を汲む オト ノ
のたうつ沈黙
噛み締められた貧困が小走りで吹き渡る
さざなみのような オト ヘ
欹てては刎ねられたこの両耳 ....
テレビ搭のアンテナに吊られた僕の頭上を
大惨事細切れ冷凍パックが配信されて
ご家庭に水っぽくお届けする
提げた僕のブルーのギターの
6弦に電波がひっかかって
ぶいんっていって「虐」の字を吐 ....
信号待ちの沈黙に犬が入ってきた
朝焼けの虹と青の淵
教会の十字架の左斜め上
月が泣いていた
涙を流していた
昨晩遅く
見たときは
あんな魅力的で
悪戯っぽい微笑をたたえていたのに
いま月は目を閉じ ....
おれは
トトロに
なる
きみが
メイ
のような
ひとだから
これが、わたしにとっては、この世の中でいちばん美しくって、いちばんかなしい景色です。1962年11月27日岩波書店初版本「星の王子様」130ベージの景色に似ているけど、すこし違います。
....
名前のない花を見ている
水をやってはならない
理もなく咲いた花だから
だからこそ
萎れてゆくのを見届ける
膝を抱えて
一角獣が隣で寝そべる
せめて
泣けたらいいのに
街が饒舌な無意味で錯乱しているように
天使たちの尻尾がつかまらないままに浮遊している
あり得ないものを対比することに慣れてしまわないように
日々を煮詰めて抽出する
自分の組み立ての順序 ....
ゆるんでいるネジを
きゅるきゅるとしめる
ほうっておくとなにかが
ぽたぽたとこぼれるから
やさしいと感じて
甘くなったネジは
そろそろとゆるんで
安易に吐露する
吐き出した ....
取り忘れたのだろう
束ねられた
豊かであった髪を
解体しながら
(舞踏会は終わったわ)
ていねいに
抜き取ったつもりでも
女の指から
逃げおおせた
小さな
黒いそれが
おそら ....
上手になりたいわけじゃない
練習なんかしたりしない
だけど、
いいわけしなきゃ
守れない暮らしがある
逃れる
技術のなさが
致命傷になることもある
上手にな ....
よく通う小松座の前で
あの子が煙草を吸った
白い息を溜め込んで
何か言いたげな顔をした
適当に並べられた蕾を見て
どれが冬に咲く花か分かるか
マフラーに顔を少しだけ埋めて
かじか ....
すぐに壊れてしまう街をつみあげて
あたらしい街を構えるが
それもまたすぐに壊れてしまう
人のいないすがすがしい街が好きだから仕方ない
罪のない言葉で誘ったので
言葉は罪だらけになって ....
右手を動かして
左手を動かして
心を動かさない
息をしている
つめたい夜だ
わたしがいて
あなたがいない
壁のない部屋で
月はかたまる
つめたい夜だ
身体を横たえて
....
なんども息を吹きかけて。熱いチキンドリア。周縁からスプーンで崩しながら口に運んでゆく。お水とって。コップに水、を注ぐ。水、を飲む。また、なんども息を。冷めるまで。そのくり返し。飲食、するあなた。その体 ....
甘いもの
辛いもの
を選ぶときは
どっちを選んでみても
お金を払わなきゃっておもわねーよ
羽根があったら
飛ぶのにな
足があったら
行くのにな
もう寒がり方もわかんない鳥 ....
何処なんて場所はねーんだ
さみしーなんて言葉なんて
アンテナ立てて鼻かんで
みんなその荒野にぶちまければいーんだ
十九日二十日前
骨散らばって腐れの影もねえ
誰かの影が
視界の端 ....
青臭い茎を裂いて
心地良さげに破綻の痛みを噛み潰す
細道だらけの旅が古着のように似合っていた
友よ
ただただ蠱惑な蛤の歌声が
あの括れた坂道から
忘れ物の顏でそぞろ出でる
ああ無明のチ ....
悲しくてしかたなかった
どうしたらいいのか分からなかった
だからひとに電話した
悲しみを伝播させただけだった
この悲しみを詩にしてみようかと思った
でも悲しみの伝播を無責 ....
見舞いの金を落としたことにして呑む
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