最初とりとめもなく
かわいた歩道にうずくまる影を
そっと押さえただけ
絵本の中の魚を捉えた
子猫の白い前足のように
半眼で
光の粒の粗い朝だった

明けきらぬ森の外れ
木漏れる光にふ ....
フナムシを怖がる
都会の子供たち

岩棚から
クリフダイブして遊ぶ
地元の子供たち

彼らはそれぞれ

何度目の
夏を過ごしているんだろう

夏は永遠に巡ってくるけど
命に永 ....
仕事帰り
汗も渇いてひび割れたホーム
ペンキのはげたベンチの下から
皺だらけの切符を拾ったよ

それは きのうの日付
はるかなあまの川
カンパネルラの降りた駅から
140円のやつで
 ....
ちぎって、ちぎって
ゆびさきがあかく腫れるまで
すてた葉っぱから

青くなみなみと
流れ出でた血
海のように辛(から)くて
うまれた魚は悪夢のようにおいしい。


わたしたちは悪魔 ....
私の瞼に咲く花は
いつも明るく黒い色をしている
明るい黒い色は
ナイフで切り刻まれた
唇の笑顔になって
翼のようにひろがっている
空を見上げては
飛びたがっている
私の明るく黒い花は
 ....
いそうでいないようで
いるようないないような
まるふわの天使
黒い蝶々が小雨に濡れながら
アスファルトの上で
飛べなくなっている
私にはその理由がわからない
まるふわの天使は咆哮する
 ....
風が吹いてくる
夢をさらって 追いまどい
所かまわず星を散らす

遠くから歩いてきた
揺れる陰に怯え

さまよい歩く道の果て
落ちてきたリンゴを磨き上げ
かぶりついた 

罪の味 ....
雨色の絵具
乾かない涙と癒されない傷のために
散り果てた夏の野の花を
鎮魂に疲れ果てた大地へ捧げる
生者の燃え盛る煉獄へ
死者を捉えて離さない
空砲の宣言と
紙で織られた翼のために
憤 ....
 深い眠りに就く前にお前の笑顔をもう一度見たい。
 お前の笑顔は私と子供とを優しくさせる。
 たった一度の夜に訪れる魔法の力。
 さあ、私らに笑顔を見せておくれ。

 お前は病床で安らか ....
命のことなど問われれば
とってもエライ国会議員
「七十歳になってもまだ生きて」って 怒鳴ります
「七十歳になったら死ななあかんね」
六十九歳のお母ちゃん
淋しく笑って固まった 父の ....
キーボードの上で
テントウムシが{ルビ触覚=おぐし}を直している
ENTERの右の
7HOMEと8←との間
溝にハマった姿勢だが
寛いでいるようにしか見えない

{引用=どこから とか
 ....
ああ なんていい風だろう

みんみん蝉が緑の木立に鳴いて
大きな鳥が素早く飛び立ち
鬱々とした気分が
涼やかに洗い落とされていく

この高曇りの八月十一日

[目を閉じれば未だ
橙 ....
海は想う
 「わたしを包み込むこの方は誰?
 凪いだわたしを優しく撫で
 荒れ狂っても受け止めてくれるこの方は


空は想う
 「ちょいと撫でりゃこの通り
 吐息一つで身をよじりやがる ....
趣味で生きているんです
死ぬこともできるかもしれないが

くだらなくとも
生きてゆくことが
せいいっぱいの趣味なんです

まだまだ生命活動を続けたいと
こころが言っているようなので
 ....
私は泣いた
君という海の波打ち際で

不器用さを
愛おしさから
短所に変化させたのは
慣れすぎた歳月と
甘えすぎた気もち

海辺に向かって
手を繋いだ瞬間を
覚えてい ....
田舎の
海辺の町は

夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる

古びた町並みは
時代に忘れ去られ

潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む

人も少ない真っ青 ....
 盂蘭盆会

暮れてゆきそうでゆかない
夏の空に
うすももいろに
染まった雲がうかぶ
世界はこんなにも美しかったのですね
なんども見ているはずの景色なのに
まるで初めて見たように思うの ....
わたしのお父さんには ふたつ 顔があります

男と同じだけ働いて 子どもを産んで 社会活動をしなさい
というお父さんの顔は真っ暗闇に覆われて
そばにいるのに目を細めていくら探しても
なんにも ....
後ろを向かないで ミミ
あなたの遠い故郷が待っている
そこでは砂場でシグナルを送り合う
かつての街の信号機は、
青くなって唾液のように揺れている

天国があるとするなら、それは
いつも定 ....
白い蝶 光の眩暈
追って追われて
追われて逃げて
見えない糸が絡んだように
もつれてはなれ
はなれてもつれ
火照った空気に乗っかって
この夏の向こうへ


恋と憎しみは良く似ている ....
俺の天使は壊れている
フリーマーケットで
三千円で買ってきたやつ
今日日
天使の値段は三千円さ
中古で三千円
新品でも五千円しないさ
牛乳を飲むかと尋ねると
首を横に振る
パンを食べ ....
{引用=*名を呼ぶ}
名を呼ぶ
ここにいないあなたの
井戸へ放った小石のように
真中深く 微かに響き
瞑っても
抱き寄せることはできず 
こみ上げる揺らめきの 
糖衣はすぐに消えて
 ....
時間は腐るほどあった、床に俯せになったままピクリとも動かなくなったそいつの美しい頭髪をひと掴み右手に巻き付けて力を込めてゆっくりと引っ張ると、やがて強情な雑草が抜けるみたいにごっそりと取れた、 .... ひらひらと横切ってゆく蝶々
つかまえようとして
伸ばされた小さな手
初めての夏という季節の光
街路樹の葉が落とす濃い影
見えない風の気配
蝉のなきごえ

お母さんの胸に抱かれた
その ....
残酷な人たちへとアメ玉を配る

セミに雪だるまを見せてあげる

なにかを掴もうとしながら歩いている

最後の夜君は満天の光を放つ

あなたの変てこな笑い方を思い出す

心が軽い ....
あなたが ゆっくりと 息を吸い込む

「ふいちょう」
唇が その形に動く ゆるやかな流れとともに 水の音が響く
雨なのか 風なのか さざめく空気感は いつだって おんなじで

記号の向 ....
華奢な花 ひらひらひらり 風に揺れ
薄っぺら これからふうと 膨らます
くるんとね 巻きひげ しれっと寄り添って
まだ開けない 緑の袋 ハッピーハッピー
内緒だよ 風船の家 ハートのお猿
競 ....
結びつけること

束縛であろうとちいさなゆびきりであろうと
いつもばらばらになろうとしているものを
とどめようとするきもちがすきなのだ

水引って結んであるでしょ
封印でもありたんなる飾 ....
蚊取り線香の匂いが好きだと
誰かが言った

すごく落ち着くんだって
わかる気がした

猫を抱いて
庭先で蚊取り線香を焚く
とても静かな夜

長い間忘れていたその匂いを
思い出そう ....
いつか完成するだろうか
あばらの中のいくつかの空洞は
満たされて、微笑んで眠るだろうか

脂肪に埋もれる柔和な女になれるだろうか
昔は違ったのよ
と笑って言うことができるだろうか

抱 ....
Lucyさんのおすすめリスト(6469)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
半眼- ただのみ ...自由詩8*17-8-19
夏休み- ガト自由詩3*17-8-19
カンパネルラの切符- 凍湖(と ...自由詩2*17-8-18
青桐の血- 凍湖(と ...自由詩4*17-8-18
月のなかの鳥- あおい満 ...自由詩517-8-17
まるふわの天使- 次代作吾自由詩317-8-17
林檎- 星丘涙自由詩7*17-8-16
生者の鎮魂- ただのみ ...自由詩11*17-8-14
一日の祈り- ヒヤシン ...自由詩9*17-8-14
いのちのことなど- 為平 澪自由詩10*17-8-13
真夏の夜の夢の手前- ただのみ ...自由詩13*17-8-12
今日の午前に- ひだかた ...自由詩12*17-8-11
じっあーつ- ただのみ ...自由詩9*17-8-9
趣味で生きているんです- 梅昆布茶自由詩2317-8-9
波打ち際で泣く- かんな自由詩11*17-8-9
麦わら帽子- ガト自由詩19*17-8-7
夏のあとさき- そらの珊 ...自由詩18*17-8-6
黒いぐちゃぐちゃ爆弾- 田中修子自由詩9*17-8-5
ミミ- 由比良 ...自由詩117-8-3
去来蝶- ただのみ ...自由詩13*17-8-2
壊れた天使- やまうち ...自由詩217-7-31
おかし詰め合わせ- ただのみ ...自由詩18*17-7-29
遠い世界の夜- ホロウ・ ...自由詩1*17-7-28
青信号に変わるまでの時間に- そらの珊 ...自由詩18*17-7-28
僕らは赤い風船になった- 水宮うみ自由詩4*17-7-28
鞴__-ふいご-- 藤鈴呼自由詩2*17-7-28
焔俳句_2__風船葛(フウセンカズラ)10句- 鵜飼千代 ...俳句13*17-7-27
水引- 梅昆布茶自由詩12*17-7-26
花火- ガト自由詩10*17-7-26
女のすてきなあばら骨- 田中修子自由詩16*17-7-25

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216