煙草を燻らしながら
想いの海に言葉をたずねてさまよう
軋む船はちょっと疲れているようだ
シフトをわずかにに緩めて波間をただよう
遠望する水平線にはゆっくりと一日がかたむいてゆく
....
あなたがわたしの中から消えてくれない
きっと、愛の言葉より 後悔が多かったから
きっと、愛の言葉より 口づけが多かったから
一羽の鷺が
ふわり 弧を描き
降り立った 見えない川辺
出来事との距離は
程良く 霞となり
コンマ何秒か遅れ
波紋は伝う
記憶の水面を
現実よりも
純白 ....
にくしみ(要冷蔵)
うつくしい女たちの化粧が
ポリゴンに近づいていく
服はムダがはぶかれ
生地は豪華になる
腹の中のにくしみが腐っているのが
外側から見ていても分かる
にくしみは ....
おだやかな光のふりそそぐ
菜の花の河原で
また、見つけたらしい。
散らばっているものたちの中から
きまって、
青いガラスを咥え取るのは
心のなかに住みついている
あの鴉だ。
あ ....
おきあがりこぼしを宇宙空間へ
咲かぬ花ばかり酒まいてやる
もう二度と心から笑える日は来ないと思います
見たところ私よりも一回りも若いあなたは
これから半世紀以上続いていくであろう
(続いていってほしい)あなたの人生を
一度も心から笑うことなく歩ん ....
ことばのすみかに
ぼく といった
こうして 坂の上で出くわした
風景のように ぼくはいった
古ぼけた7階建てのマンション
のエレベータ
屋上にはあがれないから
階段で ....
使い捨ての物は最初だけ大切にされてたけど
使い終わった後は物ではなく
ゴミとなり捨てられる
それは人も同じ
時代が変わりゴミとされた物は形を変え
新しい物になった
だけど人はゴミになったら ....
送別会と反省会と忘年会
自分の名前を忘れてしまったと桜がつぶやく夜
街灯のしたを風が低く吹き抜けていく
落とし物のように。
花を忘れてしまったとつぶやいている女が
そこにた ....
妄想と暴走の果てにある
方眼紙の平野には
フタコブラクダの形をした山が
文鎮がわりに置いてあった
緑の色鉛筆で
マス目を乱暴に塗り潰すと
山を駆け下りてきた風が
それを青 ....
やわらカイ貝殻カラかなもじの
ぬるっとした意味うまれる
りょうせいるいかしら
もしかしてしかしら
しらしからぬしかしら
おかしらつきのおかしなしかしら
ナンタイドウブツカシラ
....
孤独が桜を揺らしている
傷あと
月の光が溢れる
花束を置く
童話の中のソファーに
薔薇の花束
青白い身体寄せ合い
僕らはたましいをつなぎあう
やさしくいじりあう
ふた ....
帰宅すると妻がキレていた
子供が泣いている 上手にお座りしながら
帰りが遅いとキレていた
仕方のない理由 会議とラインしたが既読スルーだった
育児中のストレスを二人で割っているつもりだけれ ....
あまざけをあげようか
ひさめふるよるだから
こごえてつらいだろうから
うっすらあまいだけだけれども
えいようはありますよ
そう言って五平は
すり鉢でつぶして作った餅と
....
こんな日曜はめったにないから
いつだって
口を開けているのは月曜だから
目を閉じて口笛を吹いている
僕は思った
先日死んだ画家のこと
同僚に贈る水色のネクタイのこと
バスで旅する芸人のこ ....
空き地に
なつかしい
水色の小さな花が
咲き始めれば
私の中でも
息吹く何かを感じる
おかえり
ただいま
膝を折って
のぞきこめば
別名 星の花
と呼ばれる
あなたたち ....
ずうんと長く
夜がこないので
すみれの花で
まぶたをふさぐ
薄っすらと閉じ切らぬ
....
夢のあなたは当時のままで
あたふたするわたしも当時のままで
目が覚めると、ごめんと言えなかったことだけが当時のまま
わたしたちはそれを知っている
わたしたちはそれについて知らない
刈り入れたものを幸と不幸に仕分け
四角四面の境界で善悪のチェスをする
しかも恣意的に
晴れた日に傘と長靴で出歩く者への嘲笑 ....
一行 一行 紡ぎながら
なんとか こうして 続けている
という大袈裟( という予防線 )
一作 一作 繋ぎながら
なんとか こうして 放っている
という誇大表現( と ....
母なる星 父なる星
姑星 小姑星
そして、あれが北極星だよ
日向の床の足もとで
埃を被ったプラグが、独り
あの電流につながる場所を探してる
――僕は、プラグだ
テレビの台に、よじ登り
画面の前で「おかあさんといっしょ」を
見ていた3才の周が
ぴょ―――ん
次の瞬間、ケガの防止に備え
台の下にずらしておいた、ソファが
後ろに飛んだちっこ ....
途上の果てに途上が永遠に続く程
過程こそ命だったりするのかもしれない
結果の全てを錆びれた勲章のように刹那の時代に留め
天へ行く虫の息を深呼吸の懐の泉 澄む結びに憧憬の界
今を ....
サラリーマンが命を担保に金を借り
建てた家々の集落
書割のような中流階級
文化を支えたピアノ
音の断片が集落の中を
誇らしげに 恥ずかしげに
歩いていたのは何時のころだったか
口 ....
ほめてもらうって
うれしいね
ほめられ慣れない私だから
顔のつくりに困るけど
足が三センチ浮いてます
私も見つけようかな
あなたのいいところ
困った顔と
浮いたからだで
【 ちきゅー 】
いま
きみの くちびるが
ちきゅー って 言ったよね
そのとき
うちゅう の どこかで
だれかが
地球にむけて かぷかぷ しゃべっていたよ ....
恋愛は儚いものだけど
人間の感情を
いとも簡単に動かしてしまう
恐ろしい恐ろしい怪物である
私は幸せな失恋をした
自分のための失恋だ
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