ランプスポットに明かりが灯る頃、
 私は常連客に珈琲を淹れていた。
 柔らかな音楽が流れ、
 店内は優しい暖色に包まれていた。

 お客の一人は英字新聞を何かに切り張りしていた。
 他の ....
 さて、私の航海はこれで何度目だろう。
 未だ明けきらない朝に、港の喧騒は透明だ。
 果物かごを抱えた婦人が通り過ぎ、
 口髭をたくわえた紳士に足音はない。

 静寂なのだ。
 この神 ....
   暗闇で会話する
   わたしの鼓動と
     
   悲しくはない?
    ―かなしくはない
   
   寂しくはない?
    ―さびしくもない  
   
   無理 ....
+



枯れ草に香水を垂らし
毒を取り去った美女の白い手
いま、土を染めた雪の
冷たい抱擁がそう見える。

ミルクを朝がきれいに嘗め
吹雪の中で夜を過ごした君の黒髪
あの、頬を ....
うさぎは
ときおりたちどまり
ふりかえる
そこに菜の花がうすくゆれていた
まるで
なにかのじゅそみたいで
なにかのしゅくふくみたいで

ながい耳は
遠い音をつかまえるため
生きるこ ....
桃始笑
ももはじめてさく


コートを脱いだら
沈黙していた鎖骨が
独り語りを始める

ポケットから出た
あてどない指先が
止まり木を探している

音符を思い出した
爪先 ....
出発は時刻を持たない
ただ消長する獣の声が遠くに響くのみだ
石たちは獣とともに鳴動する
その冷たいおもてに私はまなざしを遺していく

かつて出発とは地上から月へ向かうものだった
だ ....
すべてにはぐれたまま
失われた魂は
どこへ帰るでしょうか
あなたが
安らかに眠るあいだ
ぼくは
夢を見たでしょうか
雨のせいで三月にしては肌寒い夜 ....
土手の手つかずの雪が老いて
カラスがなにやら啄んでいる

穏やかな冷気に衣服の戸惑い

惜しめば儚く望めば遠く声は
なにも残さないただ揺らした

言葉が追う死者を追うように

セー ....

街はすみずみまで霧に覆われていた
平等に満ちている粒は
白いサプリメント

普段は透明が満ちていて
遠くまで見渡せた
海に点在する小さな島や
船が描いてゆく波のような道までも

 ....
喉のおくに、
何かがからみつく。
潰れた声がでる。
声は声ではなく、
毛を生やして、
毛孔から這い出てくる。
たくさんの、
得たいの知れない、
毛玉が這い出てきて、
私をとりかこむ。 ....
咳き込んで
数日
まともに眠れず
置き薬は
役立たずで
ようやく

よく効く薬を
手に入れても
結局
それまでの
蓄積か
少しも眠れず

動画サイトで
 ....
熱気球溺死しそうな花の海 【ゼロの華】(鈴木 海飛様 発案の御題です )


からたちの木は 棘だらけ
それでも夏には まるく緑陰つくります
嶮しい棘が獣に怖れを与えることを止めません
冬には 雪に伏せらながら
 ....
雛祭り 終了のおしらせ

もうしわけありません。例年していた段取りを おおきく
踏み間違えました。お詫びの言葉もありません。
るるりらは なにかしらの原因によって 能力の低下に おそわれていま ....
今ここにモーターがひとつある








オレのモーターだ



 ....
ひとりの私はひとりきり
自転車のうえ
川底の小石
草の根元
に這うありんこ
のことは今は見てない
夕食の献立どうしよう
冷蔵庫には
ナスがひとつピーマンが数個
お豆腐半丁
またカフ ....
おにいちゃんがけった
おとうとが泣いた
うずくまって泣いた

おねえちゃんが
かばってまもった

そんなシーンをまえに
うごけないわたし

おかあさんは
なにごともなかったように ....
駅からでてすぐの交差点

横断歩道のこっちがわに祖父がいた

うしろ姿だけですぐわかる

人の往来のなかで

ならったこともないのに詩吟を



ほんと、なんで詩吟 ....
青看の行列が覆い尽くしていくのが空だぜ
それがほこりまみれの吹雪じゃ飛ぶはずがないよな
上司同僚と催事めいた挨拶を交わして事務所を出たら
俺は空港における状況の逐一を嫁だけにメールすればいいのだ ....
明日
仕事に行きたくない
仕事に行かないで一日中
布団の中にいて
呪いをかけていたい

呪いをめいっぱいかけていたい
体がやせ細って動けなくなっても
呪いを一日中かけていたい

お ....
毎日の積み重ねが大事だと
先生は言うけど
生きてるだけで罪ならば
僕は毎日罪重ね
それが大事になるかもね

窓の外は曇っている
数えきれないだろう
あなたを探した朝の数など
数えきれないだろう
あなたと笑った昼の数など
数えきれないだろう
あなたを憂えた夜の数など
数えきれないだろう
あなたと歩いた道の数など
 ....
夜 狂いのむごたらしい清潔さ
不眠はわたしの明晰を鍛える
すべての致命傷がやがて
朝焼けに染まるように

消毒する どうせ助からないのだから
深夜 信号の変わった道路を
ふたりで歩いて ....
古いものは
新しいものと入れ替わる
自然の流れに逆らえない

気持ちも感じ方も変わり始まる

新しい年が始まって動き出す
何の邪魔もなく順調に動き出す

自分が創造すれば
いつでも ....
 自分に負けそうな夜。
 一人で泣くことも出来ない。
 頭の中は真っ白け。
 逃げ道ばかり探してる。

 こんなにつらい夜はない。
 体の力が抜けてゆく。
 なにか大きな怪物に
  ....
鹿が角を突き合わせるように
闘う日もあるだろう
カエルが冬眠するように
眠り続ける日もあるだろう

落ち葉が枯れて落ちるように
無様な姿を晒すこともあるだろう
太陽がめらめら燃え続けるよ ....
絵を描くように詩を
詩を書くように絵を

およそ生活に於ける
生産活動が
生きるに直結している
ならば

全ては絵だ
全ては詩だ

冷たい手を温める
息さえ

人が残せるも ....
こんなにはやく掘り返すなんてね
ドングリもまだ双葉
もうそこには宝物も埋まってないよ
涙と一緒に空に捨てたから
着る人がいなくなったスーツ。
二階のクローゼットの片隅で
父の足音を待っていた。

覆われたビニール袋の下に潜り
ハンガーに吊るされたスーツを抱きしめる。

(それは防腐剤の臭い ....
Lucyさんのおすすめリスト(6448)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
喫茶店- ヒヤシン ...自由詩6*16-3-12
航海- ヒヤシン ...自由詩10*16-3-12
鼓動- 石田とわ自由詩7*16-3-12
枯れ草- ハァモニ ...自由詩3+*16-3-11
野うさぎとして生きていく- そらの珊 ...自由詩816-3-11
桃始笑- nonya自由詩16*16-3-10
出発- 葉leaf自由詩316-3-10
また眠りの終わるときが来るように- ホロウ・ ...自由詩4*16-3-10
春葬列- ただのみ ...自由詩17*16-3-9
白いサプリメント- そらの珊 ...自由詩1216-3-9
孵化する声- あおい満 ...自由詩616-3-8
ロー・パワー- ホロウ・ ...自由詩2*16-3-8
熱気球溺死しそうな花の海- 北大路京 ...俳句116-3-7
ゼロの華- るるりら自由詩616-3-7
★三月三日_雛のお祭企画_終了のおしらせ★- るるりら自由詩1*16-3-7
フォーマルハウト- TAT自由詩416-3-7
吉川さんお久しぶり- ふるる自由詩5*16-3-6
きょうだい- 朧月自由詩116-3-6
日かげから日なたへ- 遙洋自由詩1*16-3-6
GATE-B2(ゴル投稿長考版)- 高橋良幸自由詩4*16-3-6
ブレックファーストカース- 塚本一期自由詩316-3-6
罪を重ねて積み重ね- イオン自由詩1*16-3-6
星の数- やまうち ...自由詩3*16-3-5
さくら- 川津 望自由詩416-3-5
新しい動き- 夏川ゆう自由詩316-3-5
大失態- ヒヤシン ...自由詩5*16-3-5
生活- 藤山 誠自由詩116-3-5
さま- ドクダミ ...自由詩116-3-5
タイムカプセル- ケルリ自由詩116-3-5
月曜日の朝。- 梓ゆい自由詩116-3-5

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