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図書館で君は少し死んでいる
少し死んだ体で雑誌を読み本を選ぶ
本は死んでいるから
本を欲する君も少しだけ死ぬ
僕も図書館では少し死ぬ
少し死んだ体で本を借りるとき
僕たちこんな死んだ部分で ....
世界の無数の先端にある
歴史の新芽を摘みとってきて
言語の無数の先端にある
事実を手際よく料理して
一束の作品が今日もポストに届く
新聞は根底的に潤っている
どんなに乾いた悪意が記されてい ....
個人のつつましい民主主義が疲労して
つま先から順に夏に攪拌されていく
暮らしの行き先など
だれも責任を持たずに今日も花市だ
詩は円環軌道で経営され
詩は競争優位のためにイノベーション
 ....
歳月は嵐の匂いに満ちて
摘まれた山稜にまなざしは落ちる
月は疲労し太陽は虚脱し
連鎖する葉の陰影ばかり鮮やかだ
夜は二人の安らぎを警察し
二人はそれぞれの手の形を映し合う
この最果てまで狭 ....
灼熱の車、アスファルト、建物
灼熱は水のように重く、辺りを濡らす
この駅だけが閉ざされていて
世界はここで終わっている
人間の悦びだけが影を落とし
人間の欲望がこんなにも焼けている
そんな ....
桜はこの世で最も美しい海である――
眼前に広がる一面の桜は
陽を抱いて獣の眼のように輝く
桜についてはすべてを語ってしまった
桜はすべての記述を包摂してしまった
私は桜の限界に立ち
桜 ....
実存は講壇で論じられるものではなく、勤労の現場で生きられるもの。勤労者は自らの青い実存を社会にさらし、不条理の網に引きずられている。「仕事には筋と理屈があり目的に向かった体系に沿っている」その哲学 .... シンフォニック・メタルを車内に流しながら早朝の峠道を走る。車体がカーブを曲がるごとに風景はうねり、木々も道路も正しさを見分けることができなくなっている。現実という熱い海に溺れながら社会的反射神 .... 新しい土地での新しい仕事も二年目となった。仕事の要領や手順もわかってきて、日々充実しているはずだった。ただ、私の上司は私のことを嫌っていて、一年目のときはとにかく集中攻撃をしてきたし、二年目になっても .... すべてを話せるのなら
詩なんて書かなかった
人の間に立ち
場に即した言葉を選んでいるうち
いつしか僕らは機械のように
必要最小限しか話さなくなった
これを話せば秘密が漏れる
これ ....
葉が一斉に飛び立ちそうな
雨に濡れた朝
闇がかくれんぼしているので
一つ一つ見つけ出して行く
鳥が破裂して鳴き声として散る
そのたびに朝は時刻をよろめかせる
雨の音には距離がない
雨 ....
自ら水晶の橋を作り
強度を改めながら渡ってきた人よ
あなたは無数の種だった
あなたから芽生えた茎をたどって
農村の体躯は静かに満ちていった
水路を設計することは
あなたの現在に次々と構 ....
大樹が葉を落とした夜に
大地は不在だった
葉は一斉に宇宙の広がりの彼方へ
解き放たれていった
神が啓示を下した朝に
人間は不在だった
鉱物たちは啓示に共鳴し
正しい解釈で構造を置 ....
帰るべき土地などあったのだろうか
求めるべき栄光などあったのだろうか
いま一年が黒い太陽のように
水平線に沈もうとしている
呼び止める声など一つもないのだから
黒い太陽とともに沈んで ....
生活のどんな些細な道行きにも
液状化した死者の本質が流れている
俗なる生活が聖なる死者と
次元を超えて互いを平均しようとする
人は墓参や供養という形で
聖と俗との架け橋を往来する
人はまた ....
葉が咲いている
膨大な緑素の内側に隠されていた
すがすがしい高熱が
いま葉をじりじりと焼いている
葉を継ぐものたちへと自らを遺すため
いま葉は美しい自殺を持続している
葉は世界の画素と ....
木を植える
まだ草のような
苗木を植える
時計の針をセットするように
一日を新しく始めるように
この一点に集中する
冷気は言葉を生み出していく
終わりのない長い文章を
だが木は記述され ....
君の姿を初めて見たとき
君の顔は白く固まっていた
初めましてのあいさつが遅れたね
僕は君の叔父さんだ
安らかに眠るといい
眠るために生まれたんだよ
君はきっと
君の顔は美しく化粧 ....
速度を脱ぎ捨てては
肌から新しい速度が広がっていく
夜の残響は低く厳しく
朝の前奏は遥かに
誰かが投げ捨てた栄光を
誰かが見失った感性を
拾い集めては燃料として焚く
このひとつの大気の横 ....
炎が眠っている
その熱と光を休めながら
かつて燃えたことを証明する
灰が柔らかな布団になって
炎は夢を見ている
かつて照らし出した
闇の中に浮き立つ人の顔が
ばらばらになって融合 ....
毒も刃もすべて黙って飲み込んだ
スーツを身にまとった私は甲虫のようだ
土地が変わっても仕事が変わっても
私は同じ種類の甲虫
羽をばたつかせても決して飛べない甲虫
スーツに滲んでいる様々な言葉 ....
言葉を論理的に遡って
事件を因果的に遡って
高峰をどこまでも降りてきて
たどり着いた地の淵からは
すべてを見晴るかすことができた
こんなにも低く視界が遮られていても
推論の糸をたどり
因 ....
遠くに並んでいた劇の数々が
間近でにわかに動き始める
近くで私を統括していた原理が
いくつもの山の彼方に拡散する
遠さの中にはいつでも近さがあった

人のためにするという行為の目的 ....
例外なく、夜は長いものだ。人は夜の長さから逃避するため、夜に眠ることを覚えたのかもしれない。夜になると時間は凝固して、空間はつぶれてしまう。そして恐るべきことに、眠ることを許されない夜もある。 .... 都市がその分厚い装甲をこっそり脱いで
機能のための回路が途切れるやさしさだけの広がり
人もまた分厚い甲冑を脱いで
失われた自然の脈動の中へ包まれていく
公園は人が空間を食べる場所
疲 ....
出発は時刻を持たない
ただ消長する獣の声が遠くに響くのみだ
石たちは獣とともに鳴動する
その冷たいおもてに私はまなざしを遺していく

かつて出発とは地上から月へ向かうものだった
だ ....
ある日一つの愚かさが生まれて、
流言蜚語のようにばらばらと伝染していきました、
でも人生は無窮の海よりも美しくて、
人生を形容することが許されているのは「美しい」の一語のみです、
人生は形 ....
道路はよこたわっているのではない
限りなく渦を巻いては
自動車たちを加速させている
建築は直立しているのではない
限りなく燃え上がっては
過ぎる風を減速させている
世界の心臓は血液 ....
眠りはいずれ海に至る山奥の渓流
眠りが海に至る直前に人は目を覚ます
人は覚醒の光の中におぼれ
眠りは海の中に混じる
眠りは海の中で最も深い眠り
死の眠りとなる
人が眠りとともに ....
病を得て復職してからも、私はしばらく長いトンネルの中を歩き続けた。私の関心は己の傷ばかりに集中して、社会や人間に対する根本的な不信がぬぐえなかった。些細なことで傷ついては暗澹たる気持ちになり、 ....
Lucyさんの葉leafさんおすすめリスト(60)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
図書館- 葉leaf自由詩820-7-7
新聞- 葉leaf自由詩220-4-2
律動- 葉leaf自由詩119-10-6
積まれた夜- 葉leaf自由詩118-11-27
焼け焦げた駅で- 葉leaf自由詩218-7-4
- 葉leaf自由詩318-4-22
一職員- 葉leaf自由詩117-10-14
おぼれる- 葉leaf自由詩217-9-15
怒涛- 葉leaf自由詩117-7-23
無口ゆえに- 葉leaf自由詩1117-6-11
雨の朝- 葉leaf自由詩417-5-16
定年退職- 葉leaf自由詩417-3-7
不在- 葉leaf自由詩417-1-3
年末- 葉leaf自由詩216-12-29
生活- 葉leaf自由詩316-12-25
紅葉- 葉leaf自由詩416-11-3
植樹- 葉leaf自由詩316-10-26
葬儀- 葉leaf自由詩816-10-22
朝のバス- 葉leaf自由詩216-9-22
眠った炎- 葉leaf自由詩1516-5-14
スーツ- 葉leaf自由詩216-4-25
見晴らし- 葉leaf自由詩116-4-17
新任地- 葉leaf自由詩316-4-8
肯定- 葉leaf自由詩116-3-26
公園- 葉leaf自由詩216-3-13
出発- 葉leaf自由詩316-3-10
無題- 葉leaf自由詩3+16-3-3
過程- 葉leaf自由詩516-3-1
眠り- 葉leaf自由詩416-2-22
恢復- 葉leaf自由詩316-2-15

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