すべてのおすすめ
ラムネって
響きが好きよ
夏の広い空や
夏祭りや
風鈴の音や
懐かしいことを思い出す
今は飼えないけど
いつか猫を飼って
ラムネって名前を付けたい
透き通った
空のよう ....
うちの取引先の
小さな町工場の社長さんは
うちの職人さんと古い友人で
入院先のベッドの上で
手書きの伝票を書いてくれる
おそらくはただ
その職人さんのためだけに
自分が書いているのだろう ....
去年の夏
海沿いの古い集落の
小さな宿に泊まった
窓から見えた自販機だけが
灯りらしい灯りで
ジュースを買いに出たとき
本当の夜を知った
すぐ近くなのに
宿の灯りが届かない
夜がこん ....
本当はアホのくせに
気難しい顔ばかりしてた
ああ優しい人
何も言わないで
ごはん美味しいねって言う
美味しいねって返事したら
すごい幸せそうに笑った
私なんてつまらない人間
もう生きて ....
懐かしい場所に
行きたい
ただそれだけだ
この街で
この場所で
日々遠くなっていく景色を
一目見たい
それだけ
海と
山の神社と
坂の階段にいる狐と
その角の魚屋の匂い
灯台
....
迷路のような
思考の洞窟
雨が流れ込む
蛇の目
邪なものが降ってくる
指を鳴らすと
洞窟ごと落ちるのかも
蛇腹になる
私は
指を
鳴らされるもの
でも
水は
....
その昔
長くて
つらい夜を
越える舟が無くて
夜に溺れた
その岸には
誰もいなくて
忘れるほど遠い年月
そこで沈んでいたの
人の言葉を忘れ
人の心を忘れ
....
母が懐かしそうに
思い出話をするとき
私はいつも
「忘れた」って言う
お母さん私
今その話を思い出したくない
なんでだろう
幸せの記憶なのに
なんでだろう
鼻の奥が熱 ....
少しも
優しくないんだよ
私は
優しくなれないって
優しく出来ないって
何なの
優しさって努力なの?
違う
優しい人は
何も考えずに優しいんだよ
どうしようもなく優しいんだよ
腹 ....
後ろで手を組んで
足をそろえて
ちょこんと立つ女の子のように
春が遠くで見ている
少し
体を傾けて
小さく笑いながら
私が大嫌いなお正月を
母がどんなに楽しみにしていたか
考えると涙が出てくる
少しボケたせいか
鯛のお頭が二つ買ってあった
夜の列車に乗ると
窓に映る自分の顔が
なぜあんなに
悲しく見えるんだろう
色あせて
薄ぼんやりした
古いフィルムみたい
これ誰だったっけ?
って思い出す
昔の友達みたい
高齢者の運転は危険だよって
母から車のキーを取り上げた
買い物に行けなくなっても
母は文句ひとつ言わない
ただ
バッテリーが弱るから
エンジンだけはかけてやってと
小さな声で頼まれた
....
海に潜り
息を全部吐き切って
胚を空にすると
体は砂底まで沈む
水が冷たくなって
辺りが暗くなって
とても怖いんだけど
そこで仰向けになって
見上げる海面の
美しさと言ったら ....
私は
意地の悪い傍観者だから
ヤバそうな案件からは
さっさと手を引く
自分でさえ
何一つまともになりゃしないのに
一つ一つの人生を
ひとりひとりの歴史を
どう変えられる
....
今 触れてはだめ
六番目の勘が囁くままに
突き止めようとする指を戻す
峠越えの山道を運転しながら
闇を縫って光を探した
開きかけた何かは
古い本のように堅く閉じて
忘れら ....
場所を変えても同じ
人を入れ替えても同じ
自分が
動かなければ
世界は変わらない
いつもなんとなく突っ立って
ああ狭いなって
言ってるだけだから
私は
母のことを
嫌いだと打ち明けたとき
とてつもなく心が晴れて
そして
私は
その安堵の中で死んだ
言ってはいけない言葉だったのか
わからない
ただ解き放たれた自分が
....
母が私に
寂しい寂しいと泣く
そのたび
犬が
ずっと母を見ている
それが
たまらなく悲しい
私ではだめですかと
犬が言っているのに
母には聞こえないのだろうか
時間を浪費している間に
命は光の速さで過ぎてく
派手なイベントなど
必要ないとわかった
もはやここにいて
呼吸していることがイベント
あちこちに旅したり
豪華な晩餐もいいけど ....
食パンを食べてる時
最後に流し込むコーヒーが
妙に旨い
しばらくして
遠い昔の
朝の味だなって気づいた
冷え切った夜の部屋で
腹減ってたのか。
旨そうに
飯を食うな
悲しくなるから。
ひと晩中
雨が降ってる
長い夜を
長い雨が
覆い尽くして
時が
止まったみたい
許すよ
とか
許さないよって秋の会話が
心の中に始まって
私は目の前が水浸 ....
止まない雨のせいで
人の心が落ちてく
深い水底に
ひとり
またひとり
ゆっくり沈んでいく
かかる電話は悲しい知らせ
孤独と孤独を結ぶ線のはずなのに
聞けばもっと孤独にな ....
共感されがたい物の
領域に入っていく
狭い空間に
足を滑らせていく
だけど
なんという居心地の良さ
リアルを忘れる遊具は危険
まるで
断崖から
スローモーションで ....
夜が暗くて
秋だなと思う
誰も居なくて
夜だなと思う
寝静まった街は好きで
澄んだ空気に自由を感じる
でも
何でも出来るのに
何も出来ずに
人生だな、とか思う
通り ....
フナムシを怖がる
都会の子供たち
岩棚から
クリフダイブして遊ぶ
地元の子供たち
彼らはそれぞれ
何度目の
夏を過ごしているんだろう
夏は永遠に巡ってくるけど
命に永 ....
田舎の
海辺の町は
夏だけ賑わうことの証に
朽ちた郷愁を見せる
古びた町並みは
時代に忘れ去られ
潮風にさらされて
風化した屋根が
陽炎のように歪む
人も少ない真っ青 ....
蚊取り線香の匂いが好きだと
誰かが言った
すごく落ち着くんだって
わかる気がした
猫を抱いて
庭先で蚊取り線香を焚く
とても静かな夜
長い間忘れていたその匂いを
思い出そう ....
静かに生きてると
図々しい人にやられ続けるから
たまには牙があることを
教えなきゃダメだ
この世は弱肉強食
風に吹かれて
ただ気ままに生きていたかったけど
お前たちはその ....
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