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       傘を見たものは言う

       尖っているやつだね
       いや、丸かった
       いやいや、三角だった
       短くなかったか
 ....
     手を伸ばしても、伸ばしても
     掴めないやさしさに
     伸ばした指先に
     宿るかなしみ
     声にだすことも、
     泣くこともできず
 ....
    夏の夕暮れに躓いた
    石ころがあったわけじゃない
    何もないからこそ躓いた
    すぐに起き上がったが
    膝を痛めた
    夕焼けが眩しかったの ....
    ちいさな蕎麦屋の片隅で
    夏の忘れ物が色褪せていく
    ときには本を片手に行儀悪く
    あるいは昼間から日本酒を肴に
    天ざるふたつを頼みながら
 ....
    


       なんとさびしいのだろう
       どこまでも青く透き通る
       夏の空を見上げ
       忘却の罪を知ったのは
       いつ ....
  それはまるで
  昨日の太陽のさんさんと
  眩しいばかりの煌めきで在り
  今日の雨のしとしとと
  深く深く浸み込むさまで在り
  いつかの風がそよそよと
  凪い ....
      わたしは考える
      寂寥について
      独り寝について
      細胞のひとつひとつに
      寂しさや孤独、不安が
      住み着いているのだ
  ....
     もともと弱っていたのか
     怪我をしていたのか
     詳しくはわからないが
     知り合いが土鳩を踏んでしまった
     まだ息はあるが瀕死の状態で
  ....
    ぱちん、ぱちんと
    爪を切る
    飛んだ爪を拾ってみたら
    さびしさだった
    腰をかがめ
    切りにくくなった
    足の爪を切る
 ....
    あなたはもう
    忘れてしまいましたか
    わたしのことを
    わたしはあなたを
    忘れていました
    しあわせだったからと
    言えればよか ....
  


    真夏の太陽に
    色はなく、その熱さだけが
    じりじりと世界を熔かし
    わたしを象る器すらも
    あいまいなままに
    歪んでゆく
   ....
    失くすことを恐れ
    立ちすくむ臆病者
    案山子のように何もせず
    ただひたすら
    恐れおののき目を閉じる
    欲したものは
    すぐそこ ....
     見る影もなく
     下垂の一途を
     たどっています
     この両の房の中にある
     喜びと寂寥、
     この歳になればそれはもう
    ....
                                                                        

   ひとりでは
   立てないと ....
    頬を濡らすものを拭うこともせず
    ただ手放しであなたは泣く
    抱きしめても嗚咽はやむことなく
    わたしの肩が湿り気を帯びる
    体温の熱さが伝えてくるもの ....
   あしたの天気予報をテレビで眺め
   ちゃぶ台のうえのビニール袋から
   隠元をとってはへたをとり
   ざるに放り投げてゆく
  
   あしたは夕方雨が降るらしい
   隠元は ....
     朝目覚めると空のコップが
     ひとつ置かれている
     わたしは満たす
     さわやかな空の青さ
     もうすぐ咲くだろう蕾の息遣い
     少し焦げた目玉焼き ....
    目を閉じれば
    いつだって自由に
    本を読むことができる
    そして本たちは折にふれ
    少しずつふえていく
    二年越しのラズベリーが
  ....
    あの日を境にわたしの中から
    わたしがいなくなり
    半透明な海月になった
    荒ぶる海流に叩きつけられ
    なす術もなく右へ左へ
    痛みとともに流され続けた ....
     今夜わたしは玉葱を刻む
     包丁の切れ味は鈍いが
     こんな夜にはちょうどいい
     指先と玉葱と踊る包丁
     それだけを見つめ、不器用に
      ....
   暗闇で会話する
   わたしの鼓動と
     
   悲しくはない?
    ―かなしくはない
   
   寂しくはない?
    ―さびしくもない  
   
   無理 ....
   あれは空だろうか
   それとも海だろうか
   わたしが欲しかったのは
   あの青だったのだ
   体中の骨を関節を筋肉を
   すべてを伸ばし
   掴もうとす ....
     木々は裸に剥かれ冷たい風に
     枝先を震わせている
     白いベンチは錆ついて
     今はだれも座るものもない
     緑の葉が深呼吸を繰り返す
      ....
      『ママは怒ると頭からしょっかくが生える』
      と姪が言いだした。

      『しょっかく?』
      思わず聞き返すと神妙な顔をしてうなずく。

  ....
    米を研ぐ
    それは繰り返される日々の儀式
    手のひらにあたる米粒はかたく
    米どうしがぶつかりあい
    じゃっじゃと音をたてあう
    このかたいひと粒ひと粒 ....
   まばゆい光も届かない
   みどりの風もそよがない
   暗くて冷たい土の中
   眠る一匹のへび
   春の調べをなんときく
   小鳥たちのさえずりか
   隣で眠る種のうずきか ....
     わたしは帰る
     猫の住む我が家へと
     服も靴下も脱ぎ散らかし
     ひんやりとしたベッドへ
     もぐりこむ
     鼻先の生温かなけものの匂い
 ....
     こんなひは
     ひんやりとした床で
     寝たふりをするより
     とったばかりのいんげんと
     てんぷら油の格闘に
     歓声をあげてみたり
  ....
    蒼くて暗い水槽で
    浮かぶ海月のそのさまは
    まるでたましいのようなこと
    ふうわりとぷかぷかと
    あてどもなくぶらぶらと
    行きつく先もわ ....
      かなしみはいつだって
      握りつぶされた
      缶コーヒー
      むけられた怒りは
      やり切れなさと
      くやしさの色をにじませ ....
Lucyさんの石田とわさんおすすめリスト(102)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
記憶の棘- 石田とわ自由詩521-9-5
指先- 石田とわ自由詩421-9-5
夕暮れに躓く- 石田とわ自由詩5*21-8-21
夏の曲がり角- 石田とわ自由詩421-8-21
忘却の永遠- 石田とわ自由詩3*21-8-14
雨上がりの日に- 石田とわ自由詩7*21-8-9
揺るぎなきもの- 石田とわ自由詩9*21-8-1
人間と鳩と生ゴミと- 石田とわ自由詩4*21-7-22
わたしをつくるもの- 石田とわ自由詩10*21-7-21
伝えておきます、逢う日まで- 石田とわ自由詩6*21-7-20
いびつな昼下がり- 石田とわ自由詩4*21-7-20
愚者- 石田とわ自由詩2*21-7-19
房の中- 石田とわ自由詩8*21-7-18
夜明け前- 石田とわ自由詩7*21-7-16
夏の陰- 石田とわ自由詩14*17-7-22
隠元- 石田とわ自由詩9*17-7-8
日常- 石田とわ自由詩8*16-4-29
愛撫- 石田とわ自由詩5*16-4-22
白い月- 石田とわ自由詩9*16-4-17
玉葱色の眠り- 石田とわ自由詩9*16-3-27
鼓動- 石田とわ自由詩7*16-3-12
青になる- 石田とわ自由詩16*16-2-24
錆びたベンチ- 石田とわ自由詩13*16-2-22
でんでんむし- 石田とわ自由詩11*16-2-15
研ぐおんな- 石田とわ自由詩15*16-2-11
幕開け- 石田とわ自由詩7*16-2-3
金の目と金の月- 石田とわ自由詩16*15-9-4
こんなひやあんなひに- 石田とわ自由詩19*15-7-15
蒼のなか- 石田とわ自由詩11*15-6-26
コーヒー色の夜- 石田とわ自由詩17*15-3-24

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