満員電車に一人で乗る
顔も見ないし見たくない
みんなどくどく動いてる
みんなただの物なんだ
わたしにとってはね
満員になって運ばれる
知らないうちに運ばれる
知らないう ....
あおじろい保安灯に
むくんだ肌がうつっている
こちらはかさかさに渇いているが
蛇口からは水
春はゆっくりやってきた
さいごは けれど
引き鉄をひくように
桜をたべたら甘かった
....
卒業証書の筒からマーブルチョコレート
女たちがまた
向かっていく 風俗街 そして
何も言わずに入っていく ピンク色の壁の中
薄暗い店の中は いつも 寂しい
そんな風にして 出かけていった
寂しい男も夜になると集まってくる ....
「土地と家の権利書を盗られた」
しまった場所を忘れたのだ
「炊いてあったご飯がなくなった」
自分が食ったのを忘れたのだ
忘却は、現在の妄想を生む
生きていたときには
あれだけ不満の ....
緑色の小鳥が歌います
夜の夢という名の
美しく透明な時と場所で
小さな嘴で泣くように歌います
墜ちたら死ぬのさ
飛ぶしかない
飛ぶしかない
それが僕の一生なんだ
....
今宵の月は、燃えている
爆発を反復するプロミネンス
立ち上がる火柱に 閉じ込められている一車両の電車が
あらゆる過去と あらゆる未来の間で ゆれている
ゆくえも、ゆきさきも
よく、もえて ....
泣いている顔の酒があり
なだめもせずに呑み干した
ああ けだものよ
おまえにはまた
崖の上で赦しを請う
....
れんぎょう
れんぎょう
れんぎょう
と三回呟いたら
小さく黄色い翼がはえた
小さすぎて
私の身体は浮かないが
こころは先に
あなたのもとへと行けるようだ
出来る男とは
出来ないことをしない男だと
五輪書を読んだ
400戦無敗
ヒクソン・グレイシーから学んだ
なので
今夜は
嫁さんが来る前に
異常に早く16時に寝る
少女の耳は
たくさんのこころをきこうとして
とっても
おおきく
あたまから
ひらきました。
中心部は
とっても
あつかったです。
あついあつい熱をじゅうじゅう持って
みんな ....
目を瞑って鍵盤にそっと乗せるだけで
軽やかに舞い始める私の十本の指
やがて目の前にお洒落なショパンが現れて
揺れる私の肩をそっと抱いてくれる
「お母さん、私ピアノを習ってみ ....
夜道を歩いているとひんやりした腹が出る
ひんやりした腹 ぷるんと豆腐のよう
またぎ越していけばいいのにそれができなくて
地団駄踏んでるわたしの胸の奥に
おたまじゃくしがわらわら湧いてくる
こ ....
「え」を「ゑ」と書く女といて鏡の中
今年もつばめがやってきた
帰ってきた
と言う
うちで生まれたつばめや
と言う
小さいな
よく動くな
と話す
話し合う
家族
という言葉を
改めて感じる
春の我が ....
それぞれに運命を入れた容器たちの
つかの間に折々
わずかな光を胎動し
森のかたちにふくまれていく
欲しいからだを差し伸べる
天使たち
祈りをおびて瑠璃色の
小箱にひそめ ....
あの大きな地震から三年たって
家を建て直した人の窓ガラスが悪意で割られるという現実
廃炉問題や生活再建や瓦礫処理はまだまだ続きその一方で
こちらの生活は元通り
スーパーで売っていないものはない ....
ちりちりと音立てもえる炎には
踊る火の子どもがいて
芋が煮え 栗が爆ぜた
囲炉裏の炎に燃え上がった
ファンタジー
雀が踊り 鬼が泣き
ああ 狸の背でもえる炎
を冷ややかに
うさぎの ....
窓を閉めて風を消して
灰になったらもう会えないでしょう?
宝石を飲んだのよ
お仕事忙しいのにごめんね
雨繰りはもうずっとその町に暮らしていた。都下電車で49分。辛うじてマンション販売の吊り書きに「通勤一時間」と書ける街で、彼は暮らしていた。
暮らし向きはそう捗々しくない。週に四度ばかり都心に働き ....
ジャンがみててくれる部屋で
どこも痛くなく暮らしたい
ジャンがみててくれる部屋で
どこも寒くなく暮らしたい
神さまがみててくれる部屋で
どこも痛くなく暮らしたい
神さまがやさしくしてく ....
生きていると
うれしいのだと
悲しむ 意味を
時計の針に探す
賑やかな日
目が覚めた世界 僕は
開いた本は 捨てて
目を開いたままでいる
「一時の感情に身を任せるな」って
なんだっけ
漫画かなんかで読んだけど
この世に信じられるものなんて
一時の感情しか、持ってないから
ムリですね
「今がいちばん綺麗」とか
「ま ....
月夜の桜にご用心
照らされた花吹雪に心をもっていかれるという
そんな夜はおひとりになりませんように
今日の日差しはとても暖かい
だからでしょうか
ほろ苦い思い出がふとよみがえりました
ピンクのビニールバッグを持って泣きながら歩いたあの夜のこと
たった30分だけの家出
今ではバッグ ....
小枝の別れめに すごした雪が溶けかけている
のしかかられた小枝は いつも 問いはしない
さまよいながら 降り募る 重さにただしなり
折れたら落ちる 回る季節に巡りを てばなし
花芽を ひとつ連 ....
それは中毒性がありますといわれればきりがないし
さいしょから栓を抜いてしまえばいいだけの
それだけのことだったけど
すうねん前から君もわたしも
もの哀しい空気で肺をいっぱいにするのが
習 ....
帰宅する
幹線のJRの駅から田舎電車に乗り換え
一五分ほど奥まった田舎の駅
そこが自分の住む家の最寄り駅である。
妻と子が二人、義父母二人
六人が暮らす自分の家だ
自分の父母は随分 ....
子猫を拾った公園
子猫といっしょに
風を切って揺られた
おなかと片手にやわらかさ
ねむくなった子猫
あたしも目を閉じる
上がって下がって
上がりきって下がる瞬間に
子猫が爪 ....
会いたい人がいるはずなのに
会わなくても生きていけて
なんとなく煩わしさを感じてしまって
地方から東京に出てきて
祖母とも叔父とも疎遠になっている
わたしは健 ....
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