ぶらんこ
藤原絵理子


子猫を拾った公園
子猫といっしょに
風を切って揺られた

おなかと片手にやわらかさ
ねむくなった子猫
あたしも目を閉じる

上がって下がって
上がりきって下がる瞬間に
子猫が爪を立ててしがみつくことを知った

後ろに揺れ去るときはこわい
前に揺れ進むときは不安
子猫は学習する
あたしはいつまでもいっしょ

いくつも夜明けを眺め
いくつも夕暮れを見送った

極彩色の風の中に
あたしが流した歌は
誰かの心にとまったり
誰かの心にはとまらなかったり

そんなことを気にしてるうちに
ただ揺られてるだけでは
満足できなくなっていた

そんなあたしに
あいそをつかせて
するりと手を抜け出した子猫

まだブランコにしがみついてる
あたしを残したまま
走り去ってしまった


自由詩 ぶらんこ Copyright 藤原絵理子 2014-03-26 21:55:19
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