ぶらんこ
藤原絵理子
子猫を拾った公園
子猫といっしょに
風を切って揺られた
おなかと片手にやわらかさ
ねむくなった子猫
あたしも目を閉じる
上がって下がって
上がりきって下がる瞬間に
子猫が爪を立ててしがみつくことを知った
後ろに揺れ去るときはこわい
前に揺れ進むときは不安
子猫は学習する
あたしはいつまでもいっしょ
いくつも夜明けを眺め
いくつも夕暮れを見送った
極彩色の風の中に
あたしが流した歌は
誰かの心にとまったり
誰かの心にはとまらなかったり
そんなことを気にしてるうちに
ただ揺られてるだけでは
満足できなくなっていた
そんなあたしに
あいそをつかせて
するりと手を抜け出した子猫
まだブランコにしがみついてる
あたしを残したまま
走り去ってしまった