東京女
中山 マキ








会いたい人がいるはずなのに
会わなくても生きていけて
なんとなく煩わしさを感じてしまって

地方から東京に出てきて
祖母とも叔父とも疎遠になっている
わたしは健康で、仕事もしていて、
お金もそれなりにあって

同じ血が巡る人々には会っておくべきなのに
忙しいという理由にもならない理由をぶら下げて
阿佐ヶ谷でお酒を飲んで
だらしなく笑っている

本当の意味で後悔するのは
祖母や叔父と同じ年齢になった時かな
そのころにはもう二人はいないはずだけど

わたしが死ぬときに一人きりでも
だれにも文句は言えやしない
優しくないわたしには優しくないことをされる
それを因果応報という

それでも、まだ生きているから
会おうと思えばいつでも会えるから
理由にもならない理由を覚悟もないまま
ぶら下げているのだ





自由詩 東京女 Copyright 中山 マキ 2014-03-26 17:22:07
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