産まれ生き苦しみそして死んでゆく
 たった一行闘病短歌

日赤の病棟入り口掲示板
 嘆歌とあって朝顔も書く

これからは口語短歌の詩人です
 出来損ないの痛みを堪え

銀色に輝け外科 ....
{引用=

今日も
平熱だから
よかった
歩けるし歌える
見られるし聞こえる

私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです

必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握 ....
あー あっついから
ざぶんと かおをだした

ひふを
うちのナナみたいに
ぬぎすてられたら
いいのにー

ナナは
かしこくて 
おおきないぬだけど
ドーナッツが
たべられな ....
         



経糸の波が島に打ち寄せ
砕けた珊瑚の欠片が筬の羽の隙間を通る  
浜は白く織り上げられ
降っては降りてくる日射に
転がる岩岩は奪われた影を慕っていたが
素足 ....
             



淡い夢をみる夜がある
夏休み庭に植えたブーゲンビリアに
いつの間にか背丈を追い越され
生い茂る葉がどれだけ季節を重ねても
記憶は夏しか残らなかった
 ....
入浴

私たちはもう赤ちゃんのように清い
妻が寄り添って
頭を洗ってくれる

昔母がそうしてくれた
母のような手が

私達は二人で今夜も入浴した
血脈の流れに溺れ
乱れた遺伝子を撒き散らす
肥大化したショウジョウバエが
汚水の中でもがき苦しむ


昨日の世界は憂鬱で
今日の生命は窮屈で
鈴なりの行列が続く
焼け付くよう ....
遅刻しちゃいそうなときはもうどっか別なとこにいっちゃいたい
行くところは
どこでもいいしどこでもない

どこでもないから
結局学校へ行く
学校と
家と
もうひとつくらいあればいいのに
 ....
私の「うちう」
世界と「うちう」の界面


私の表面は
二つの回転に挟まれて
無数の渦

「うちう」を見る


意識化された
漆黒の「うちう」と
言語


無数の渦の中 ....
その気負いが私には大層いとおしい、そんなことを言うときっと彼女は隠しきれない屈辱を半月から漏らしつつ、ありがとう、なんて返すのだろう。そうして堪らずに伸ばしたように向かってくる私の腕を拒絶できまい。衿 .... 小学校から帰って
叔父に自転車の運転を習う
家には大人用しかない
「両足がとどかないよ」
「おれだってとどかないよ」
叔父は自転車のサドルから腰をおろして
片足しかとどかない姿をぼくに見せ ....
おまえらの常識だとか
おまえらの真実だとか
おれにとっては
こども銀行発行のお札と同じさ
長く生きてきたことを
素晴らしいことのように語り
身につけた経験が
人間全体の真理であるかの ....
何もない手に
私は 見る
空っぽな 自由を
私は 思いうかべるだろう

夜の中だった
空の そこかしこに
木の根として見つめさせられた
湖の音が 打ち寄せられていた

同じ色の ....
灯籠浮かぶ川の道
真夜中の夢のように
満ちていく花の香の
中に浸って居たかった

冷たさ残す風飾り
蝶々の群れのように
飛んでいく薄紅の
真下に立って居たかった

しとしと続く梅雨 ....
学校から帰っていると

あちら側からおじいちゃんが歩いてきた

私は、「よ」と手を上げたけど

おじいちゃんはぼうっとしたまま

隣を通り過ぎた


かたっぽだけ挙げた手に

 ....
電車の中で、立って本を読んでいた

隣に、老夫婦がやってきた

夫が、妻の手をひいていた

ふと、その妻のほうを見やると

白い杖を、ついていた

ああ、私は理解してそっと邪魔にな ....
うなされて目が覚めました
いつものあの夢で です


20年前の春
覚悟を決めて かあさんと兄と私3人で
あの家を出てきました
暴力を繰り返すあの男から逃れるため
なにも贅沢なんて望み ....
子供の頃
遊び疲れた僕をおんぶして
家に帰る母親の
大きくて広い背中
悪いことをした僕に
容赦なく
平手打ちを食らわせた母親の
大きくて強い手のひら


大人になって
一 ....
何にもするべきことのない
そんな毎日を、私は
泳ぎ回るようにして、じっと
漂っていくだけ

私は手にコインを持つ、そして
疲れた体はその一つを捉える
手にお金があるのだと知り、眠りにつく ....
  いびつに
  きみをだきしめる
  できるだけ身ぢかく
  みつめるため



  しろい
  しろい
  息できない
  うまく笑えない
  とても、
  ビュー ....
ハンドバッグに
黙って入れて
素知らぬ顔で
店を出た
あのおばちゃんを探せ
探せ〜

オイラにゃ
もって生まれた
犬並みの嗅覚が
あるのさ

だけど
ルルルルル〜
くしゃみ ....
盆踊りというものはそもそも
生者のもとへ帰ってきた死者たちも交えて
踊ったものではなかろうか

であるからして「死霊の盆踊り」
この映画タイトルは/タイトルそのものは
とても正しい

 ....
風の中に飛び込んで
空を泳ぎ切る
湧き上がる入道雲まで
真っ青な空間を
かきわけて
辿り着く

遊びにきた子供らの声だけが聞こえる

足首に触らないでください
時につれ
舞い散る ....
  むかし、近所に住んでいた
  髪のながい女の人が
  ことばはオモチャじゃありません
  そういって
  心に両手をつっこんで
  僕の言葉を持っていってしまった



 ....
明日の生命、明日の世界
明日の生命、明日の世界
明日の生命、明日の世界
忘却が生み出す自動小銃!


明日の生命、明日の世界
明日の生命、明日の世界
明日の生命、明日の世界
 ....
{引用=
心のドアを叩き続けている音がする。とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん、とん、      とん、とん、とん、音の上に長い息。いまにも消えそうに。大きな爆弾が落ちて、人間がみんな死 ....
国会へと集まれば
漆黒の門塀の裏門で
鯉を釣り上げた漆黒として 想像する
セミがギャンギャン 鳴きわめく


国会の裏手だった
そして 議員の人と握手を交わした
議員として 震えている ....
遠くでサイレンの音が聞こえる
今夜は誰がハッキングされた?
世界が裏返ったり
誰かが寝返ったり
こむらがえったり

毎日誰かが射精と受精を繰り返す
毎日何処かで誰かが出生 ....
独り身の
暗い我が家に
この夜は
稀な待ち人
蛍一匹
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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