題名が長いと
目につきやすいでしょ
それだけよ、それだけ
現にホラッ
あなた、読んでるじゃない
そう、そう
あなたの言う通り
何の意味もないわ
題名ともまったく関係ないし
無駄よ、時 ....
子宮ではなかったという。
母でないものから生まれたということだった。
私たちはかつて男の一部を削られて
この世に生を享けたと
せんせい、ではこの器官は誰の名残りなのですか。


 ....
兎よ 緑野を駆けよ
波頭を思わせる草の中を矢のように
丘の向うにある青空の方へ

我等の屍は地層の奥に
罪の証は幾星霜を経ても消えず
ああ せめて夢見る事を許されるなら
兎よ・・・

 ....
冷蔵庫の中から
あなたが出てきて
おとなになりたかった
と訴える
こんな夜には
ビルよりも背の高い
おとなになりたかった
おとなになりたかった
お盆
虫取り
夏祭り
生に近いし
死に近い

いつから
八月になったのか
私には記憶がない
そう言えば
今日
「意味」を全うした蝉が
地べたに落ちていた
とたんに
歪んだ蜃 ....
メキシカンの店行って
タコスとブリトーを頼んだら
アボガドソースもサルサも
出てこないから
頭にきて
直前にさいか屋で買った
味噌のパックを取り出して
キュウリにするみたいに
人差し指 ....
夜の森は怖い
手入れされた花壇の植物は怖くない
花瓶の花は才能のない画家がデッサンの練習に使っている





アスファルトを突き破って出てくる双葉に村人は勇気をもらう
地球にやさし ....
かあちゃんが
もうこれいじょうは
酒を飲んじゃならねえと言って泣く

とおちゃんが
いてえいてえと言って
時々真顔で俺を見て泣く

外は雪が降りしきる
ここ何年か
止んでるのを ....
5時 起床
 死んだ爪の凝縮の演技。来るべき一日の水溶性を測る。サボテンの正義を分解して蒸気機関の犯罪を合成する。いくつかの爆発を引き出しの中にしまい込む。輪郭が許可される。許可を輪郭する。騒ぎ立て ....


 朝目覚む
 早き時刻
 妻に声をかく
 名を呼べど答えず
 名をもう一度呼ぶ
 目を開けず
 もしやとよく顔を見る
 もしやと閉じた
 目を開いてみる
 妻にっこり笑みて ....
おとなになればなるほど
母親からはなれていく気がする

きょう、わたしはかれの妻になるけど
ほんとうは母親にハグしてほしいと思っている
ほんのこどもなのだ

天国だとか
ほんとうもうそ ....
泳ぎ疲れて
クジラの胃に泊まる
窓から見えるのは
昔の日々

未来のいつか
彼らもここに来た

彼らもここで
消化されていった
私はいつも 流れる時の中で
何にも言わないだろう きっとそこに何もないから
いつも自分で ぼんやりと考えていたことが
私がいつもそこでやらなければならないこととして
ぼんやりと 輝いていた ....
その箱のなかには夢が溢れていた

幌馬車に乗っていたり
早馬にまたがり二挺拳銃は火を噴いて

またあるときは電話ボックスから秘密基地へと飛び込めば

誰もが海の向こうの豊かさに憧れた
 ....
卵は
白身が透明でいるのが礼儀正しいことだと思っていて
黄身は水毬のようにやわらかくあるのが正直だと信じていた
あの日々のわたしは
うまく立てない殻のまるみを遺伝子のせいにしていた

好き ....
庭のつばきのあしもとに
ちろちろ光る晴れ色を
わたしたち 雑草なんて呼んで
きみに叱られてしまった

雨上がりでもないのに
つまむだけですんぽと抜けて
糸くずみたいな根っこ
かわいいね ....
日曜日の11時
生き延びた僕らは
模型機関車の運転会に出かけた
会場のツインメッセは
石炭や油の排気ガスの臭いが立ち込めてきつかったが
子供達を乗せたC56型やロケット号が快走し
 ....
おしつぶされて割れたはしばみの実が散乱している野のはてに

まだ泣かない人が立っている


私たちは割れた実を喰うでもなく拾うでもなく
この実の硬さをしりたいと
辺りをみまわ ....
「もしあたしがゾンビになったらどうする」
「うっかりちんこから食ってもらう、じゃあもしおれがゾンビになったら」
「ぶち殺す」

おまえの人生テクノポップ!おまえの人生チルアウト!おまえの人生ド ....
風通しのよい現場
ここからは池が見渡せて
石碑もある
ラジオ体操もある

小学校は半休
午後は快晴

資料館に人はなし
殺人もどこかのどか
寝れない夜は

眠たくない夜は

聴き飽きた音楽と

読み耽る文庫本

イメージのその先に

詩を書き留めた
またたくあいだに裏切るような
そいつがいちばん愛おしい真理だ
カット・イン、カット・アウト
見過ごしたものも
見咎めたものも


瞬間的ななにかをあさい傷のように残して ....
お気に入りの歌
「シクラメンのかほり」
オリビアといったら
ニュートンでも
ジョンでもなく
ハッセーなのよ

ジャパニーズの
歌唱力抜群の男と
どんな経緯かは知らないけど
結ばれた ....
蟷螂は交尾を終えると雌が雄を食べてしまうという
そんな恐ろしい話を聞いたので調べてみたのだが
厳密に言うと交尾の有無とは関係無く
雌には雄が餌にしか見えないらしい

自然界で捕食される事は滅 ....
あなたのことが心配で戻ってきました 
と言う男がいて 
へっと思った
あたしは 
その男のことをそのとき初めて見たのだけれど
まるで ずっと昔から知っているようなふりをして
腰のあたりで  ....
あのころのぼくをときどき思い出す

お寺で不動明王をみた

石でできたお不動さんだった

こわい顔というより

こっけいなほど醜い顔をしたお不動さんだった

つぎの日図工のじかんに ....
八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか

昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
  きみのうしろに
  きみが見える
  脱ぎ捨てたシャツのようにさりげなく



  きみのうしろに
  きみの母や父が見える
  ひっそりとしたブランコや
  いくつもの ....
京の街中に引っ越してきたのは
師走に入った頃でした
世間も僕も慌しい頃でした

東向きのベランダの彼方には
百年の風雪に耐えてきた
銀瓦の低い峰々が連なっていました
午後の北 ....
犬猫とは違うことぐらい
判っているよ




でもね
薄汚れた服でサンダル引き摺ってた女の子

大切にしてもらっているのかな
パートのお母さんと
いつも家でタバコ吸っている男の ....
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