奈緒の部屋のキッチンに
小窓から差し込む西日を受けて
ぼくに向かって微笑みかける
小型の洒落たミキサーが直立していて
到頭奈緒を奪いに来たのね。とつぶやいた
彼 ....
―Before Turning Off the Light―
君がメロドラマを失ってしまったらどうなる?操り糸が歯がゆいかくすぐったいか。感情の壁紙もしくは部屋のカーテン。地獄が太陽の傍だったなら? ....
背筋だけ 伸びきった
お兄さんに ローズマリー
髪の毛だけ フェアリーな
お姉さんに マグノリア
私を捜して
私を探して
すみれの花びらの中に
林檎の根の下に
私を ....
おまえが悪いおまえが悪いと
道往く人になじられる
いったい何が悪いのかと
自問自答してみるが
思い当たるふしがまるで無い
道往く人に何が悪いのかと問うてみても
全く聞いてもらえない
逆上 ....
ボーリング ビリヤード ダーツ
摩天楼 この俺が ダーツの矢
ボーリングボール 突きたいものは ....
看護師の知識と笑顔に救われる患者の闇に光を当てる
紙コップ片耳にあて糸電話壁にあてれば寒気する声
手作りの弁当箱に入れられた手作り色の好物並ぶ
あとがきの文字が見えればもう終る小さな ....
薄い頬紅に赤い口紅
大丈夫これできっと綺麗に見える
大丈夫これで誰にも気付かれない
人の目を見て話すことだってできるさ
今日は何人に嘘をつこうか
大丈夫きっと誰も気付かない
....
友はなく親はなく愛した男は幻で
言葉は誰にも通じない
叫び出せば注射を打たれて
硬いベッドに縛られる
最後に私の魂が バチンと潰れる音を聞いた
床に落ちた虫けらのように 唸る ....
緑濃き妻の花壇のアジサイは蕾ひらきて咲き出でむとす
チャイコフスキー?悲愴?響きて朝の花壇は潤いており
春風に風鈴が鳴る朝日さす椅子に坐しておもいはおおし
妻が植え吾は運びて共になす ....
よるにふあんがとかされている
椅子のかげ カーテンのうら 天井のすみ 流し台のした クロークの扉 絨毯の毛のなか
ふあんが少しずつ まんべんなく とかされている
しめった寝息 ざらついた黒 空っぽの皿 ....
兄夫婦が別居婚となった
義姉はひとりマンション住まい
兄は 母と同居
20数年前
見物人も出た
ピンクの豪邸は
人手に渡った
あぁ またやられた
兄といっても
双子の ....
シンフォニア
夜を渉る
寄る辺なき
シンフォニア
オフィーリア
濁る目の
琥珀の底に
オフィーリア
最期に仰いだ空
金属片の月
シンとなる森
ああ 言葉でひとが分かり ....
71
秒針が刻み続けてきた、時間の千切りは山のように盛られ、おかわり自由。
72
少年が教科書の偉人の顔に落書きをしていると、気づけば少年の顔にも髭が生えてきた。
73
ある科学者は永遠の命を求め ....
何処までも遠く青い青い空
樹々の緑は深く濃く憩いの影を落とす
白き雲が流れ行く
太陽の輝きは計り知れぬ
私は滋味多き土の上に立ち
涙を落とす
涙はあまり ....
きみの部屋は
病室のような匂いがした
八月も十二月も
おなじような匂いがした
気の遠くなるほどたくさんの
交わりの匂いがした
病室の匂いがした
だ ....
ぼんやりと浮腫んだ月が
夜空の底から覗いていた
見透かしたような月光が
書きかけの溜息を嘲っていた
出かけたっきり帰ってこない
セツナサを待ちあぐねていたら
黙りこくったキーボードを
飼い猫が悠々 ....
男は悩んでいた
食べて死ぬか
食べずに生きるか
それが問題だ
「三食きちんと食べて、
しっかり運動すればいいんですよ〜」
シャラーップ(怒)!
神様が ドロップスの缶 シェイクして 巻き散らかした 薔薇の花園
母の日は
思い出すなぁ
スーパーで
子供たちが
描いた
母親の絵を見ることがある
いろんな顔があって
正直言って
びっくりしてしまう
私は
絵ではないけれど
プレゼントは
....
生きていく事がひどく
滑稽に思えてきたのです
紡いでいく朝
邪な思いを甘やかす小部屋
この道の先にあるものは
高が知れているだろうに
私は今日も滑稽な光に
身を委ねる
怒声が聞こえない
クラ ....
「雨」
南風は柔らかい女神をもたらした
青銅をぬらした 噴水をぬらした
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした
潮をぬらし 砂をぬらし 魚をぬらした
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした
この静 ....
たゆたゆと零れおちゆく蒼いとき つめに絡ませ朝をむかえる
すべりおちのたうちまわる欲情を 涙のようにみちびく指さき
肌を知りささやきを知り朝を知り 自分の皮膚の分厚さを知る
森に潜む全体は僕を包んで忙しく腐っていった
肉と霊の総和が世界なのだと全体は言った
霊とは見えないものだから名前をもつ肉しか目のまえにはなかった
それがいくら哀しいこととて文字が喚起 ....
この道を通るとぼくはいっぽんのペニスになるようだった
あなたにペニスを入れてゆくとき陥る懐かしさ
ひんやりとうるさいこの道を
肉の温もりと快楽のため息にたとえるとは
ぼくはいったいどういう淋し ....
{引用=姉の子供が遊びにくると
正直こわい
加減を知らない無邪気なキック
ちょうどみぞおちにくる頭突き
誰から教わったのか知らないが
姉の技に良く似ているのは確か
「遊 ....
仲間に金髪のアイルランドから来た奴が居るんだ
おもしろいくらい若い女の子達が携帯もって群がって来るのさ
昔は無口な奴だったけど今はいつの間にか知らない女の子と消えていく
教授も居 ....
{引用=
春風ときみの匂いがYシャツに はじけてはぜた朝です (おはよ。)
明け方の郵便受けでぼくを待つ群青の文字「What can I do?」
便利という言 ....
世界一高い飛び込み台の上に腰掛けて
生きとし生ける人々を想って泣き続けた
水分と塩分がすぐ足りなくなったので
蛇口から海水をコップに注ぎ飲み続けた
僕は宇宙一大きい桶を ....
クサマヤヨイの絵が好きだ
とくにカボチャのが好きだ
死班のようにも
病んだ精神の血痕のようにも
見える
クサマヤヨイの水玉が
クサマヤヨイのドットが
カボチャのかたちをして居心地よく座っ ....
{画像=100525232036.jpg}
{引用=
微かに
星々が瞬いて
淡い菫色の
浄め ....
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