シュガーコートされた沈黙が、幾重にも重なる
通りはまだ
騒ぎ出すことを知らない
カーテンが染めた光
部屋はまだ埃っぽく
朝が染み渡っていない

寝床は生暖かく
体は必ず汗ばんで
意識 ....
日も月もない白い空と
ただ静かな灰色の地
その地平を 巡礼のように
椅子たちが列をなし 何処かへと進んでゆく
引き篭りがちの臆病ウサギ
外には狼がたくさんいるんだ
臆病者は孤立するって
錯覚が頭を支配するんだ

網膜に張り付いた鮮明な記憶
高性能レンズで切り取られた恐怖心の断片

いつから私は ....
ワンピース風をあつめて帆にしたら海は海原、海賊日和 {引用=
黒が似合うようになりました
白はちょっと 気恥ずかしくなりました

女になったのはいつ頃でしょうか
どんなふうにしてでしょうか

化粧が上手くなった頃でしょうか
愛するからで ....
がんの疑いがあったころから

しだいにあたしの
食欲はうばわれて
いった

たんに食欲がない
状態から

食に対する
欲が
なくなってしまった

食べる意欲がそぎ落ちた

 ....
煩わしさと恋しさの狭間を
書きたかったのに
無骨な指は気がつくと
穢い言葉を叩き出していた

気ままさと淋しさの狭間を
言いたかったのに
愚鈍な唇は気がつくと
哀しい言葉を吐きだしていた

交差点と ....
「こんにゃくゼリーの会 発足!」

ある日突然
それはひとつのテロ、いや革命だった
「老人と子供にはあげません」
と貼紙をして
こんにゃくゼリーたちが檻の中に閉じ籠ってしまったのだ

 ....
わたしたちの考えた春というのは
玄関すみでは
魚のかげがうごめく4時半のことだった
羽のあるもののように
わたしもそれの中に入ったり
あるいは
絵を描いている
ゼリー状の
青いこれがわ ....
昔の言葉に生き
昔の言葉に死ぬ
情報が古くなる
最新情報に移る

いつ適応するか
わからない。
いつ必要なくなるか
わからない。

モノの価値判断は
誰にもできない。
幻の平均 ....
冷えきった鼻先を掠める空が笑う
リノリウムの白いカーテンは地球の鼓動に合わせて動いている
一体になって、私たちの繰り返す細胞分裂はねじ巻き式
降り注ぐ科学が理解している

言葉は知性 ....
高速の防音壁にへばり付く夾竹桃は耐えて咲く花 天の川      A train crossing
渡る列車     the Milky Way
         is
ふぉがとん    forgotten
ふぉがたん    forgott ....
木の上にもたれかかった

過ぎていく空気を手に入れる

ノートと消しゴムは教室だろう

教科書など 泣いているのかもしれない



うち捨てられた コウモリ傘に

灰色な 鳥の ....
悲しんでばかりいてはいけないと
だれもが教えてくれる
だけど みんな強くない

弱いからがんばるんだと
本で読んだけど
がんばったらどうなるのか
人それぞれと書かれていた

真っ直ぐ ....
一昨日の夜
近所の ジョニーという名のパピヨンが
久方ぶりに 姿を見せた
よたり よたりと
おぼつかない足取りで あるいていた
飼い主の 笹本さんは
いつも つけているはずのリードを
今 ....
曇天を 背にしてみている つめたい戸

後ろ手に 鍵盤鳴らす 午後の2時

なめらかな 白い手にさす 慾と情

氷水 とけきるまえに 果てる夢

汗ばんで 覚えた匂い 青畳

 ....
春の風草食動物月面へ


妹の悩みの種を埋めてきた


急に見えなくなる右靴左足


ハンサムな頬にフジツボ飼っている


傾いて傾いて傾いて平ら


肩のない祖父母の肩 ....
私は明日を考えることなく立ち続けるだろう

今日としての景色さえ私の体には 明確には 存在しなかった

スーパーマーケットの中で 果物を 口にしながら 私は

見えないものを 思っている  ....
自分が切れ者であると
主張したい男が
受けるテストが
下司風テスト
(ゲス・フー・テスト)

そういうの

自分が切れ者であると
主張するたびに
落雷があって
死ぬべきなのに
 ....
微動だにしなくても
噴き出した汗は止まらない
デブにとって
死の季節がやってきた
お願いです
室温は15℃にして
冷え性の方は
防寒具をご用意下さい
でないと
僕は
みなさんの想像 ....
群青の夕暮れ削る三日月を吊るし支える宵の明星 あのひとの
ギターをはじく手の速さ
 見ているだけで
 悲しくなる
くしょうより
 にがわらいだと
    おもいたい
ぞろぞろぞろぞろぞろぞろ。
客足多くして。

ぞろぞろぞろぞろぞろぞろ。
動物博覧会に。

ぞろぞろぞろぞろぞろぞろ。
回腸を満足させ。

ぞろぞろぞろぞろぞろぞろ。
蝸牛の機嫌を ....
ワキを剃った私に
エライ別人やなぁと
あなたは妙に粘着質の
視線を投げ掛け
「少しだけ
 剃り残しが
 あるのがいいんだよねえ・・げへへ」と
変態コメントを発する
そういえば
あなた ....
道の歪みのそこここに
溜まって出来る水たまり
昔の雨にはつきもので
道行く人の迷惑で

車が通れば泥をはね
人が踏めば靴汚し
道の歪みの性格を
そのまま見せる水たまり

そのうち道 ....
ここから見えるのは緩やかな勾配と
奥行きのある青い空
越えられぬ丘と誰かが呼んだ
そういうものがあるのだと
そういうこともあるのだと

例えばパレードを追い掛けていく子供が
その浅いふも ....
ゴールデンウイークはパチンコ三昧にした
お盆をとらない代わりに休みをすべて貰えた
市内のホテルにユキオと合宿をはりそこから毎日パチンコを打ちにいった

ちいさなころ町じゅうのパチンコ屋にお母さ ....
飴玉みたいな夕陽が部屋に転がってきたので
思わず拾って口に放り込んだ。

外は真っ暗になって黒い川が佇んでいた。

静かだ。


水面は、毛羽立ちながら揺れて揺れている。



 ....
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