赤い月の電車
るるりら

今宵の月は、燃えている
爆発を反復するプロミネンス
立ち上がる火柱に 閉じ込められている一車両の電車が
あらゆる過去と あらゆる未来の間で ゆれている

ゆくえも、ゆきさきも
よく、もえて
それでも落ちずに 
落ちそうで落ちないで
やじろべいのように宙に浮いて揺れている
その様子は
信仰を集めている岩石のように神々しい
その車体は飴色に輝き ゼロを走りながら揺れている

あの電車の乗客は 年をとらず
時より扉が開閉されるたびに爆発の熱気に煽られても
車内の人々は すこしも動じない
心が屈折している 時空すら屈折している
人としての心が 地球の影に完全に隠れ、満月が赤褐色に燃える日に
すこしの間なら 炎の間から  わしらの故郷が見える

御幸橋を出た列車の窓じゃのに
なぜだか アリゾナだって見渡せる

 
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追記
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昨夜は 皆既月食で満月が赤かったらしいので 赤い月を モチーフとしました。

詩の勉強会の課題として、提出させていただきました。昨日も【赤】を色調にした作品を
アップしたのですが、この詩の題材は15日の皆既月食です。旬の作品ということで 昨日までの詩のレスに、まだコメントを書いていないにもかかわずアップしますが、感謝しています。http://mb2.jp/_aria/844.html-71#RES


自由詩 赤い月の電車 Copyright るるりら 2014-04-16 08:46:48
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