彼が学校を卒業し
規則的に飼育された褒美の
初任給は最初に受け取る聖水
システムの管理の上に
嫌がおうにも引きずり出された
学生気分の抜けない彼でも
一種の儀式として
激しく揺り動かされ ....
耳が痛い

あなたが言うので
のぞきこんだ

産毛に抱かれるように
あなたの
恋人からの言葉がひかっている

それを持ち帰り
窓辺においてやると
いよいよ優しげにひかってい ....
あまがみのはずが致命傷 熱せられてどろどろになった
黄色い言葉を型にいれる
冷えてプリンのように固まったのを
皿の上にもる

黄色い言葉は
テーブルの上の静物画だ
触れると聴いたことのある歌声
この中にきみが ....
明確な胎動を受理できない午前2時

私の処女膜は宇宙に懺悔する方の涙になった

思考が定まらない午前2時

神様は死んだ



ざくろを潰すのが好きだ

忘れてしまった声が聞 ....
地図を広げて電話を片手に話している
相手は叔父だ
ある地名の場所がわからないという
三文字の漢字で表す地名
「興味の興、という字がつくの?何?聞き取れないの?」
歳老いた叔父の声はしゃがれ、 ....
教室から飛行機が見えた
窓の向こうでは轟音が聞えているはずだ
潮のにおいも混じっているはずだ
この町の大人達の自慢は この学校の窓という窓は
二重ガラスで 外の音が 全く聞えないこ ....
ダムのサイレンが鳴った――
遠来の旅人はまさに無頼の男で、
己が生をあなたの扁桃体へ刻んでいった
――それは一つの警告だったのだろう。

思い出に鬱ぐあなたを召し迎えよう、
と、腕を廻し込 ....
あなたがいても あなたが淋しいと淋しい 三月はみずみずしく
くちばしを持った少年は歩く
花々の祝福
光は前方から差し込む
北北西の智者は
彼に泉を与えた
膝までの深さの
泥水のプールに
君と潜ってはしゃいでいた
君と潜ってはしゃいでいた


僕たちは19歳で
怖いものなんか何もなかった
僕たちは無敵で
青春は永遠だった ....
広葉樹の多い樹林の中央に
高さ二〇メートルほどの榛の木が一本
屹立するその根元はジメジメとした地面が広がり
いち早く裸木となった榛の木は
次の春に暗褐色の花を付けるため逼塞する
あたり一面紅 ....
よかれと思ったことをしてブルー 両親を持たない
孤児はさ迷って
乳が欲しいと雌の裾を掴む
だのに女は乳房を持たない
大聖堂の聖母も大通りの花売りも路地裏の娼婦も
まるで育むことを拒むように
首元までボタンを閉めて
 ....
{画像=121112003029.jpg}


人はみな心の中に
自分の花園を持っていて
色々な花を育てている

私は一つの花壇に飽き足らず
ネットを彷徨い
この花園を見つけた
私 ....
  皺くちゃの子ども
  緑色の鋏を手にして
  揺らめく雲の端を断った



  いま、
  目覚めの時
  山の連なりは遠く
  朝焼けに縁どられ煌めく
  森のどこか ....
鏡像のように

ひびく睡蓮

あなたの瞼から

瞼へ


五時のサイレン

夢の瞼が剥がれ落ちる

記憶の海から疎外されて

現実に戻る


まだ
 ....
今年も行った サーモンデー・フェスティバル
鮭が地元の川に戻ってきたことを祝う
アメリカ・ワシントン州イサクアという町で
毎年行われているフェスティバル

お祭りといっても
焼きそばやお好 ....
息子から電話が掛かってきた
切羽詰まった感じだった
友達が飼っている猿を
妊娠させてしまったという
話だった
慰謝料を要求されているという
ことだった
すぐに必要だと言った
用立てて欲 ....
息をむりやりとめてみたら
あばれるんだ
なかにだれかいるの
なかにだれかいるの
僕はおさえつけようとした
だけど
ものすごい力
ものすごい力
ものすごい力
だれ?
だれなの?
 ....
こんな夢を見た
わたしはぼたぼたと
血を滴らせながら
部屋中を歩き回っている
わたしには、
左手がないのだ
鋭い刃物ですぱんと切られ
血が止まらない

母親はいつもの ....
さしだされた 日差しに
両手を広げ 
思い出を 手放す

記憶にない私の産着
世紀を飛び越えて 目の前にある紋付袴
晒された金襴の帯 鯨尺の和裁版 
沈没しても浮上する船箪笥 ....
街で


首を竦めてぼくはひとり歩いていたのですが。
日暮れ色で賑わう通りでは
うっかりしていると
さっさと擦れ違ってしまいます
だぶだぶな外套(オーバー)に身をつつみ
壁のような背中 ....
多くの女性が
糞詰まりに
悩んでいる
一日一回の脱糞に
命をかけている
食べた量に相当する
ウンコが排泄されることを
心から願っている
それさえ叶えば
夫はいなくてもいいと
考えて ....
一世代前の良い思い出を追って
家族で映画を見に行った日
子ども向けの映画の中では
キャラクターたちが絵本の世界へ行ったから
ママは世界に行ったと娘が言い出す
帰る途中に買い物をする妻を待って ....
雨など降っていないのに
どしゃ降りみたいな夜だ
冷えた心が苛立って
手元に割れた息を吐く
あなたの心まで
届くはずだったベル
今は部屋の隅で
小さくなって転がっている
いく ....
派手なサリーを
細く切り取って
地味なサリーの
サイドに縫い付ける
飾り縫いは50円ちょっとの稼ぎだから
エアチケットにはまだまだ遠い

余り布をもらって帰り
ベルトを編みながら
日 ....
「花のように開き
ナメクジのようにヌメる」

笛吹きクレイと呼ばれた女
カリスマデリヘル嬢みゆきは
横須賀のホテル街を
軽快なステップで
ヒットアンドアウェイしていく

俺はあいつの ....
鏡の中で紅潮した私がこちらを窺っている

小柄な体から伸びる肢体は
年に見合わずに隆々と天地に抗う

風を切る快さ
山の心地よさと厳しさ
教えてくれたのは父だった

いつかの黄ばんで ....
無造作に切られたような心が
例えば 何か そこに投げ出された散らばりが
僕は好きだった気がするのだ 庭の
手入れの行き届いた 花よりも


街は作為に満ちていた気がする そこに
目を ....
salcoさんのおすすめリスト(4522)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
初任給- 和田カマ ...自由詩1*12-11-15
- はるな自由詩812-11-15
あまがみのはずが致命傷- 北大路京 ...自由詩812-11-15
黄色い言葉- 殿岡秀秋自由詩612-11-15
しあわせの行方- ゆるこ自由詩212-11-14
午前三時- 渡 ひろ ...自由詩28*12-11-14
個と場- るるりら自由詩21*12-11-14
漂泊者によせて——巨浪- すみたに自由詩212-11-13
あなたがいても_あなたが淋しいと淋しい- 北大路京 ...自由詩812-11-13
伝説は書き損じられた- 青土よし自由詩112-11-13
夏の死体に埋もれて- ホロウ・ ...自由詩12*12-11-12
榛(はんのき)- ……とあ ...自由詩9*12-11-12
よかれと思ったことをしてブルー- 北大路京 ...自由詩312-11-12
- 衣 ミコ自由詩9*12-11-12
人はみな心の中に花園を持っている- beebee自由詩27*12-11-12
皺くちゃの子ども- 草野春心自由詩712-11-10
境界膜- empty自由詩512-11-9
サーモンデー・フェスティバル- 夏美かを ...自由詩13*12-11-9
知らない人- 花形新次自由詩112-11-8
れんぞくする- 美砂自由詩5*12-11-8
『切断』- あおい満 ...自由詩3*12-11-7
光る陰- るるりら自由詩18*12-11-7
秋を見つめてみませんか_三篇_(想起させるものに、忠実に)- 乾 加津 ...自由詩18*12-11-6
便秘- 花形新次自由詩212-11-5
世界を問い直すためのエスキース(習作)1- N.K.自由詩5*12-11-3
いまだにどしゃ降りみたいな夜- ホロウ・ ...自由詩4*12-11-2
India- mizunomadoka自由詩212-11-2
ホテルキンシャサの奇跡- 花形新次自由詩312-11-2
境界A- 緋月 衣 ...自由詩4*12-11-2
飾りの無いもの- 番田 自由詩312-11-2

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