うそつきな服を着た少女たちがすべってゆく表通り
中華料理店の裏口の窓に三度高く上がった炎
路面電車の停車音が精神異常者の断末魔の叫びを中和するダイヤグラム
ボサノバ気取ったニュー ....
私たちは
どこからかやってきては消えていく
エスカレーターの途中の段の上で
足踏みしているに過ぎない
もしくは
ミシン針のように
足踏みしているに過ぎない

時間は
未来から過去へよ ....
砂浜に咲いた花の下には
小さな世界がいくつもある

それは家族だったり友達だったり
恋人だったり恋人未満だったり

強い日差しを背中にうけて
パラソルはそんな小さな世界をつつむ

は ....
安価な着色料で
染め抜いたような
オレンジの夕暮れ
粉末を飲み込んだ
雲を溶かすマグマ

アーティフィシャルな
世界が
夜に消える前の
アーティフィシャルな
この光景は
たぶん
 ....
タルトタタンをまっぷたつに割ると 忘れかけてた黄色い生地から
たくさんの見えない船旅が
競走馬のように水平線に向かって道をつくる。

水平線の向こうには大きなコップの頭が見えている ....
有史以来
その出現以来
全地球制覇を目論み続けている植物たちよ

今年わたしは
とある一区画のナガミノゲシと戦います
ロゼットの形も
放っておいたらどうなるかも
去年のうちにしっかりと ....
夜ご飯の支度をしていると
息子が
「今日はなに?」と聞きました
「コロッケだよ、手伝って」
「ああ」

寝そべってゲームをしている息子は
14歳
去年私の身長を抜きました
伸ばした手 ....
雛は鳴いて 朝露流れる 雲白く
つたのからまる古木 陽が射し
巣穴からのぞく 黄緑の小鳥

アイビーの葉陰をすりぬけ
近くの木にとまる
尾をうちふり チチチッ

おはよう ナギ

 ....
液晶ヴィジョンで見かけた
クロコダイルが連れてきた幻想
半分のビート
半分の鼓動
無造作に
床に転がる
フェィドアウトの速度
むやみにシャットダウンすんなよ
明日の為に少し ....
あまぐも

垂れ下がる昼下がり

うっかり爪を引っかけたら
鈍痛を引き寄せてしまいそうな



あまがさ

濡れた匂いは嫌い

美味しくない想い出と憂鬱が
しつこ ....
連休なんかくれなくてよかったんだ


だって『家族や愛するひとの無いひとのための連休の過ごし方』という新書は

 ....
白菊の歌声が
偲ぶあなたの
墓標前にて
一人雨に
濡れながら
西脇の詩集を
繰ってみる

詩のまことが
こぼれますように


紅の傘は
忘れられて
かなしく倒れて
朽ち ....
毎日の駅舎の
プラットフォームの屋根の
「頭上注意」のとある一区画から
いつも落ちて来ていたハトたちの声
優しく鳴き交わしていた声

くるっくー
でぽー

けれども今日は駅舎の
プ ....
こどもいっぴき
さみしいうただ
子供一匹
優しいおとなだ

夕暮れが来て
またひとり連れてく
僕が残って
世界が華やぐ

冷たい煙の中とか
変に賑やかなよるとか
星が見えな ....
大地のテーブル
布を敷き
芋を供えりゃ
やってくる
全部忘れる
グマティヤール
身に覚えのないことも

10本指
とまれ
ディジュリル・ルマック
火花のように
舞え

2本 ....
 茫洋として

時間が止まると

爪をみている

視界に映る景色は

脱色して垂れ下がり

行き詰った欲望が

ただ一点を渇望しはじめる

空腹だからではない

意識の ....
春の小川の流れ、
雑木林の枝にとまって
口を開けている唖の小鳥たちよ
黒雲から発し 丘をひっぱたいては消える
無音の稲妻

丘が放電している

晩年のルートヴィヒのスコアの凄みか
 ....
町にゆくときにてきとうな履物をつっかけるのは、すてき。


缶蹴りをして、雨蛙が、デルモンテのあき缶から、目をまわし、それからくるると、とびでてきて、ふりかえると、かんちゃん、紫陽花の石 ....
かろやかな韻を踏んで彼女はやって来る
きせつのすべてを引き連れて
草原や潅木の露をあつめたりミツバチたちと
あかしやのはちみつをつくるんだとか

神殿の壁はまだひんやりとして小さな蛇がやすん ....
手に持った花だけが赤くて
微笑みは色づくことなく
そんな夢の残り香だけが
寝ぼけまなこに引っかかってる


言葉にした途端に取りこぼしてしまう
こころの音階
りんごをりんごと
恋を恋 ....
裏庭に捨てられたロボットの
90バイトプログラムから
この宇宙は生まれた

炭素 窒素 水素 雷 宇宙線 マグマ

あなたが森であるために
森である必要はない

海と太陽
 ....
「やっぱうまくいかんわ」

すれ違った会社員らしき人が

携帯で話しよった


「やっぱうまくいかんわ」


(ほんまにそうじゃな・・・)

ウチは自分の事を言い当てられたかと ....
愛するものに あらんかぎりの表現をあたえるために
図書館はある

道の途中で
トンビがピープルって 巻き舌ぎみに 私を呼ぶ


鳥に言われるまでもなく 私は人間さ
書物のよさ ....
 
 
区画整理された明方の街を
アフリカゾウと一緒に駆ける
低体温の命を
ひとつずつ持って

やがてぼくらは眠くなり
街は
行き止まりになるだろう

それでも幸せだった
何も ....
厳冬期 不本意な入院のため
   南の高気圧を敢えて待ち焦がれたのに
退院後は血圧・体温・体重に振り廻され
    長寿遺伝子ょ栄えあれ と
         一喜一憂の毎日
お笑い草とは  ....
 むかし人であった女の幽体が、やはりそのむかし宿と呼ばれていたこの廃墟から、離れられずに留まっている。全ての人はあまりにもあっけなく死に絶えてしまい、幽霊になる者とて稀で、彼女は孤独だった。

  ....
春風の中を
舞うように飛んでいた幼い僕は
風と仲良しだった。

風は僕に
あらゆることを教えてくれた。
空の青さ、高さと、
風に舞う小さなたくさんの花びらと、
心の中の風船を
夢の中で 迷子になった 
ぼくをみんなが さがしはじめる
夢だと気づき ぼくは目を覚ますけど
みんなは夢の中でぼくを探し続ける
早く年をとりたいな ちょっと生意気かな

コーヒーカップに8 ....
君は踊る
薔薇を 菫を 雛菊を踊る
揚羽蝶を踊る
木洩れ日を 気ままな風を踊る

君は踊る
虹を 青ざめた夜明けを 葡萄色の黄昏を踊る
波を 湧きあがる雲を 嵐を踊る

君は踊る
 ....
教会の鐘が鳴った














 ....
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