葉ずれから
名前のしらない時間を思い出した
さて、君はだれなんだろう
隙間からみえる
青い流れは遠い
いま僕の
肩に降るこの雨が
いま君の
心を潤していたら
いいな
もし君が
いまこの雨に
渇くなら
僕はカタチを失くして
君を真っ赤にしたいのに
そん ....
街から海まで
飛びました
ポチャンと海へ
落ちました
底まで
潜っていきました
底には
空がありました
ボクは
空に浮かびます
それは
....
鉱 山 や 氷 河 期 抱 き 耐 え る 夏
網 戸 ご し 細 か い 夜 が 並 ん で る
盆 支 度 墓 の 間 に 間 に 少 女 た ち
盲 目 の 父 と ....
遠い日の妹へ
幻影に愛された魔術師の妹は
悲しみも苦しみもマゼンタの組紐に変えてしまう
私の内なる地上絵の上を飛ぶ時も
橋が壊れたから
つ ....
サンダルをはいて
かわべりをあるく
ゆうだちのあとの
なつのにおいはわたしの
あしのつめににじんで消える
わたしがいなくなる
みどりのなかにとけはじめ
ゆっくりとかぜにながれる
上 ....
みずいろの
そふぁーのうえに
あなたは
たいじとなって
ねむっている
てれびでは
よいどれてんしが
ちをはいている
そしてぼくは
ねころびながら
とおく
うみのおとを
....
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる
あの{ルビ娘=こ}は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる
....
佐藤君は思います。
たまには西田君みたいに
晒されたり裏返されたり、
そんな生き方もいいかも知れない。
いくつもの賞をもらっても、
皮を剥がれ焼かれ煮詰まり
透明な堅 ....
箱の中には
何も、入ってなかった
でも
箱が無ければ
思い出なんて、なかった
誰にくれてやることもせずむさぼった
粗いフィルムの陰影を透しスカートから
のぞくガーターの片りんを思う
音量は振動となり骨肉に伝う こんなときには
ありがたい むさぼるだけ
むさぼっ ....
カーテンを開けると
山が見えて
その中腹には墓が並んでいる
集団住宅を思わせる密度
西の端にペンギンのような像
人に聞くと観音菩薩像らしい
部屋の端で
卵と砂糖と薄力粉をかき混ぜる
....
新しい音が鳴り出すと
見上げてしまう癖がついた
国道沿いの滲んだ校舎の上
スピーカーが漏らす
ひずんだ音
ずっとずっと変わらない
ひとつ
呼吸のように響いては
震えている何か
....
銀河の天秤がゆっくりと傾いて
月がかろやかに昇ってゆきます
夏の星座の中心へです
澄んだ湖面は夜空をうつし
魚が背びれに月明かりをうけて
チカリ、チカリと輝きながら泳ぎ
まるで流星のよ ....
火炎
のどから
くラいひぇン
太陽の
のどの奥から
ィ矢が出る
....
まつげ の隙間
に からから
閉じた 指
そっと 痛いくらい ひろげて
輝く どんな 言葉 よりも
たゆとう どんな 海よりも
この 指 の谷間 に吹く 風よ
....
ぼくの中の沸騰石はころころ
指のさきまで転がるんです
背骨を真っ直ぐにしている力よ
どうか今すぐに椅子ごとざわめきを引きちぎって
このぶつかりを
愛だと言わせて下さい
きみに言わせてくださ ....
匂やかな雨は上がった
あと少しもう少しだけそばにいよう
この恋は長雨だった
そしてまた、乾ききらないこの道を行く
またふたり同じ{ルビ所=とこ}へともどる雨
同じ海から
同じ空か ....
チンピラだ
わたし
声がもう
濡れてる
夏の
アスファルト
熱い
マンホール
開けて
野良猫を
放り込んで
自分も飛び込みたい
人が恋しくて
誰かにしがみつきたい ....
はるはだと {ルビ赤色=せきしょく}は
愛したような西風を
ほむらのようにはんでいた
遠くには玄関が
歩きだされた叫びのように
かたむき倒れた墓石のように
日は駆け落ちて 落ちた慕 ....
駅前に君を呼び出して
全速力で駆けつけた時には
もう好きなんて言葉は出なかった
僕らが 宇宙の話をしよう! と言い出す時は
きまって
全ての宇宙が出尽くしてしまった時だ
それなのに ....
荒れ地に生まれたひとつの風と
荒れ野に生まれた多くの風とが
ひとつの海を奪い合っていた
金の光が
銀に変わるまでの永い間に
水は風に混じり
小さなものたちは生まれた
....
少年
いつかなくした自転車の
へこんだ場所を忘れてた
あの子を見ててブロック塀に
ぶつけたときにできたやつ
そうだったね
そこに貼り付けたシールは
昔からの空色で
覗くと雲が浮かんでた ....
私は今風船をふくらましています
止まらないため息のように
少しずつ少しずつ
全てをはきだしてしまうと
手にしている風船を
捨てたい衝動にかられます
私はおととい風船を手放しまし ....
駅前の商店街
スーパーマエダの軒先に
涼、いりませんか。
手書きの夏が、添えられていた
耳たぶが
熱い
空調装置にたしなめられた
浅いシーツのような室内の夜には
昼間に溜め入れた太陽の
滴りそうに赤い耳たぶ一滴で
ベッドが太陽の海になってしまうのを
防ぐ ....
ひじクッションの当たり所が悪く、曽祖父が死んだ。
だから僕の名前は今日からニックネームだ
曽祖父の遺体を三週間ぐらい置きっ放しにしたので追加料金が発生した。
だから曾祖母は諸事情により、とだけ書 ....
名前も教えてくれない
ただ暑い日曜日で
すれちがうTシャツを数えていると
色の隙間に入り込んでしまいそう
アスファルトの照り返しに乗じて
居なくなってもわかりゃしねいって ....
深緑の
深くなる光を
鉄筋コンクリートの箱の中から
眺めています
時計の針は
ここを刻むと
それ以上は動かなくなるのです
取り残されるように
私と空間は
どこか
こころ ....
おおきな
あかいかたまりが
ばばばばっ ば
いきおいにまかせて
ひかりをはなちながら
おちていったとしても
まだ すてない
せんたんにのこった
かすかな
ひ
しんぼうづよく
まっ ....
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