青足は且つ踊りて
黒川排除 (oldsoup)

飛ぶ鳥は水平線を濁しながら渡る その足が青いのを見て追いかける 何か落とした! 青色一号の入っていた分別されていない容器につまずくと 足が染色されてしまうことがよくある もし洗っても取れないなら そのまま生きていく もし忘れられているのなら 報告は速やかにする アンモニアをこぼしてしまいました 実験中のビーカーの中 死刑囚が入る檻の中 鬱蒼とした林の中 で日の光から隠れて黙っている 縦縞ストライプ 警報の出た豪雨の日 にのしかかる憂鬱の重さ 250g ぶつ切りの肉が運ばれてきた キッチンは男子禁制 キッチンは閉まらない きちんと閉まらない ふくれている財布 料金徴収システムは良く動いている 家の鍵は他人の手に渡ってしまった あてもなく あてどころにたずねあたらず こうして歩いていると 身を透かされる思いだ 煙に憧れるところがあって どれほどの高台に立ったとしても それが演説の途中であれば 偽札の印刷で富を築いたとは言えない 身の潔白は清潔感から装う 純白のレジスター 何も書かれていないレシート インテリアショップの片隅 テーブルの足を四つん這いでくぐり抜ける児童 誰にもこんな時代があったのだろう わたしはおそらく 考えられないぐらい大きな門を知覚することが出来ず いつの間にかくぐっていたのに違いない 例えば入り口で踏みとどまっていれば 例えば地図が正確なら 例えば純粋なはずだったら こんなにも困惑しはしないだろう いまさら祝われる正月 散る葉降る葉のひろがり・かさなり 枝葉の迷い道は暗い 平穏を乱す螺旋の描かれた木のうろを抜ける わたしはある忘れられた 羊毛の曲線を辿り 誰も誰も誰も 期待などしていない場所に ひとつずつ 塗りたての足跡を残していく


自由詩 青足は且つ踊りて Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2004-07-12 01:10:18
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