あしのつめ
竹節一二三

サンダルをはいて
かわべりをあるく
ゆうだちのあとの
なつのにおいはわたしの
あしのつめににじんで消える

わたしがいなくなる
みどりのなかにとけはじめ
ゆっくりとかぜにながれる
上流から木ぎれをはこんで
かわはいつもよりはやい

サンダルをはいて
かわのなかにはいる
あしのつめに流木があたる
つめはあかくちをにじませて
ちは水に流れた
苔にまかれた石をふんで
ころぶ わらう

散歩のおじさんが私を呼ぶ
連れの柴犬も私を呼ぶ
おじさんはサンダル 柴犬ははだし
あしのつめはみどりのにおい
あしのつめはなつのにおい

帰ったら消毒液をふきかけよう
なつのにおいのマニキュアを塗ろう


自由詩 あしのつめ Copyright 竹節一二三 2004-07-10 14:25:26
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