今は太陽
船田 仰

くちびるから突然漏れる息があって
今ぼくがそれを名づけるから
太陽
坂道を自転車で繰り上げてゆく
いつまでもうしろをからっぽにするために

風が残ってしまいそうな零時に
目が乾いて仕方ないんだ
抱ける色がなくって
きっとポーズをとる瞬きの滑稽さについて
講義している
くちびるの動きを読んでいたせい
この脆い目が
ぱたぱたと道を折ってゆく
なんだか雨が降りそうだ
骨があつい

街の真上に立ったひとびとは
ほんとうは真下で繋がっているだけ
誰だって自転車で坂道を繰り上げる
骨が燃えるまで太陽を沈ませて
それっきり
日本語の看板がからっぽを保ち続ける
透明は抱かせてあげない
誰のものでもない声で呼ぶなら
かごのなかには何もいれずに
泣いてほしいんだ
さよならばっかりがあつい
ねえ雨が降りそうだ
今は太陽
かわくよ





自由詩 今は太陽 Copyright 船田 仰 2004-07-12 23:16:18
notebook Home 戻る