一杯の珈琲から恋が生まれることがあるなら
それが一杯の中将湯であったってかまわないに違いない
もちろん玄米茶でも胃カメラでもゾウリムシでも
かまわない筈なのだがなぜか恋の原因となるのは珈琲であり ....
今日は老人ホームの庭を
婆ちゃん達とさんぽして
草っ原のベンチにみんなで肩を並べ
空泳ぐ鯉のぼりを眺めていた
「大きいまごいのお父さん」は
しぼんでこんがらがった日干しの姿で
尾っ ....
やおよろずの神さまは
ぼくになにをくれたんだろう
その前に
なにかくれるときって
神さま一同からもらえるのかなあ
せっかくもらうんだから
ひとりひとりからなにかをもらいたい
と
おもう ....
ぼくはバクに
夢をたべられてしまったよ
ぼくの
枕元にいたバクは
めやにばかりの目に
うっすら涙をためながら
こういったんだ
いただきます
ひっそりと
いただきますといわれてしまって ....
ほくろが動いてないかたしかめる。
玄関へ行って
あなたの靴に 足を入れる。
私は帽子かけの帽子になってしまったのだろうか。
りんどうを掴む
足首に捲く。
分かれた空がさらに分かれ
水のなかの葉をすぎてゆく
音は動き 季節は動く
ほどけては鳴る遠い金
映るすべてに傾く空を
青はころがり
かがやいてゆく
陽は落ち ....
ナナコ。
{ルビ霙=みぞれ}落ちる午後の日差し。
聖霊の結晶のきらめき。
その名を呼べば、
ナナコの声、
遠い海の向こう側からやってくる。
ナナコ。
誰もが初めての場所で
誰もが初 ....
信号機に紫色とか茶色とかがあればいいのに
進め、注意しろ、止まれ、だけじゃなくて
迷っていいぞ、後退も時にはありだぞ、って
誰だって言ってほしいもん
言ってほしいもん
夕焼けが足りない 一○
これで最後ですよ
と通達された
あなたのための夕陽はもう残っていません
と
どうやら
流行りの成分のひとつで
許容摂取量も決めら ....
フィルモアSt.
ジャパンタウン もっと南の
パブ
3バック
ウィスキー・ソーダ
オーダー ラストで
カウンター
ひとり 黒人
ひとさしゆびを たてて
みけんに
ち ....
頭の悪くない毎日
たまには酒を飲まない
そんな毎日
雲間にぽっくり
遺産で食ってる老人のための
きいろい雪玉のしずくの
せせらぎとなった
今宵の
(りーりーりー ....
人間がいつか骨になって消えてなくなることを初めて知ったとき
小さな私は庭に飛び出して
道路でバトミントンをしていた母に向って
「人間はいつか死ぬと?死ぬと? 私も死ぬと?」
と、何度もた ....
この空は瑠璃色の夢
あの森は翡翠の希望
ここに私の命はある
太陽にてをかざせば
ほら燃えている生きてる証
螺旋階段を駆け上り
小さな窓から中をのぞいてみては
また帰ってゆく 傘の中へと
....
一八五四年十月二十日
北仏アルデンヌ県シャルルヴィルに生まれ
南仏ブウシュデュローヌ県マルセーユに倒れ
空遠く消え去ったのは一八九一年十一月十日
一九九一年 ランボー没後一 ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり
陽から降りつづ ....
いや
と
つぶやくようにふるえると
夕焼け
きみのくちびるが夕焼け
のように
まわりの景色をちょうどいい速度で染めてゆき
滲ませ
くちびるから夕焼け
....
三食昼寝つき
おやつもつき
まいにち決まったお散歩コース
決定権は
打算と好奇心に基づいているため
決まったように見えなくとも
忠実なのである
初潮を ....
頭がしゅうしゅうする
曇り空に
赤い点
落下傘が流されていく
ごまつぶのような黒い人かげ
大きな指が
垂れこめた雲に
文字を描く
地上にひしめいている
誰もが
しゅうしゅうしている ....
赤い靴はいてお出かけ
花屋を通り過ぎて、「うつくしいなぁ」
と 思うんだけれども
家の近くまで来て
雑草の中の白い小さい花などを凝視。
あまり見てると通報されるので気をつける。
....
なぜなら一遍の詩は
水蒸気で組成されているからです
ある一個人の無意識から生じた詩は
一瞬だけ完全な美の結晶となりますが
すぐさま跡形もなく消滅してしまいます
詩は遍在しているのです
詩は ....
しようよ、って
いって どうぶつみたい
なんでもライオンみたいに
がおう!
おおきなくちをあけて
たべる
きもちいいねえ
ひきちぎるか
ひきちぎらないかくらいのちからで
はだかで ....
みかがみが
てらり、と照らすので
波紋がまぶしそうに空気をつたっていく
みだれ飛ぶひかりがひとしずく
手のひらに落ちた
代わりにチェリーをひとつぶ落として
みなもを揺らし、くり返す
....
さてさて。
自己内包について書こうと思っていたら先に佐々宝砂さんに書かれてしまった(笑)。
(http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=4701)
って ....
Better half なのかどうか
糸瓜料理は
ちょっと手間をかけると
ポチャポチャと
自らの汁にスポンジのように
漂いだす
美味いから食べてみろ
など ....
いずれは大河へ注ぐ源の
細い流れは
野を行く幼子のように
冬の透ける日差しの中を往く
冬枯れて覆いかぶさる
草の葉の下で
岩を乗り越え瀬を転がり
時と戯れる若者の気軽さで
ポクポクサラ ....
あつい陽射しの中にいつのまにか
とうめいな光がましてきて空は青い
『ジッドの日記』新刊本の表紙の白い
色に金と黒と朱の印刷文字があざやか
世紀末から新世紀をのぞむ思想家
にじみだすイ ....
「カテゴリについて」における「文句こくな耐えろ」という私の言葉が暴言と言える理由は、それがただひとつの基準で対象すべてをぶったぎっているからである。あんな暴言がいいもの正しいものであると、私はおもっち ....
くも
もく となり
そら
らそ となる
36,000フィートから の ことば
は
とばこ
ですけれど
あなたへの きもち
が
ちもき に
なったとしても
....
霊安室の白い籐籠のなか
ピンクの野の花にうずもれた君の
艶のない栗色の背中から
ひからびた鼻先から
濁った黒目のまわりから
しぼんだ肉球のすきまから
丸々と太ったノミどもが次から次へと ....
白い朝 サンタクロースを 待ちながら 小さく君の 名を呼んでみる
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