わたしはよく
一度にたくさんのことをやりすぎるので
なんもかんも中途はんぱになってしまいます
なにせ不器用なものですから
今日も
はみがきをしながら
テレビをみて
ラジオをきき
時報を ....
長いこと沈黙していた
アスファルトの隅で
地面のざらざらの下にある
本当の地面を思って
空の底には
まだ底がある
底の底は
地球の裏側の
空の底
夕暮れ
ノアの箱舟に
オ ....
{引用=以下の文章は2001年春に書いたものに訂正加筆したものです。}
ふっと思いついて、『新潮世界文学辞典』で「フェミニズム批評」を引いてみた。1990年版だからわるいのかもしれないが、そういう ....
真面目にも不良にもなれなかったよ
受験受験!天井の染み私の影
曇り空どこから飛び降りてやろうか
一人酒人に言うほど飲みもせず
初デート付けてははずすイヤリング
{引用=
....
天使のようにすんだ青い空
みあげている目にうっすら
涙がにじんでわかいみそら
浮世に見捨てられ上のそら
オレンジのように光る大地
いつもいつもゆれてる位置
だからいつもひとりぼっち ....
変わった面構えだ。
へんてこりんなその顔は
エンマコオロギを見慣れた目には
ほとんど奇形に見えるくらい。
ミツカドとはいうけれど
確かに三角といえば三角だけど
角張った顔は
ミツカド ....
1/7
となり町まで歩いていく。
交差点で人がオートバイに跳ねられるのを見かける。
スローモーションで再生はされなかった。
帰りは地下鉄に乗った。
人がオートバイに跳ねられるのは ....
風があり 葉があり
木々はゆっくりと点滅する
空にとどまるもうひとつの空
もうひとつの深緑
風になれないふたつの風
一本の木が
朝をさえぎり
音をさえぎり
....
電熱器を横に食す
ことし最後のみかん
そのたくさんの房
ひとつひとつがいのちで
手につくつめたい湿りがちの
粉のようなものもいのちで
すじもいのち
黒くて
安塗りの
ディスカウントセ ....
雪の平原は降りやまない
白い世界が{ルビ目先=まなさき}に広がりゆく
ほっぺはりんご
白い息
たったか たったか
かけだしていく
回り尽くしたカセットテープの切れ端に
写るのは財布の残骸だけ
マグカップの上下逆さまな色を笑うと
雨が落ちてくる
彼らがまた化石の中に化石を見ている
九十九折のような峠道の崖下の出来事
....
さがしあぐねた太古の村里
官能の奥にゆれうごく川面
頑迷な細根の入り組む過去
身悶える蒼白い肌が密かに
産卵する苦悩の狡猾な意図
かも知れないのにもっとも
外見は無口な黒いシャム猫
....
油まみれの 谷やんは
朝からネジ切り 夕までネジ切り
グリス塗り塗り ハンドルと
ダイヤルゲージ 光る眼差し
油まみれの 谷やんの
屋根に煙突 雲に飛行機
お稲荷さんも 耳たたむ ....
一杯の珈琲から恋が生まれることがあるなら
それが一杯の中将湯であったってかまわないに違いない
もちろん玄米茶でも胃カメラでもゾウリムシでも
かまわない筈なのだがなぜか恋の原因となるのは珈琲であり ....
今日は老人ホームの庭を
婆ちゃん達とさんぽして
草っ原のベンチにみんなで肩を並べ
空泳ぐ鯉のぼりを眺めていた
「大きいまごいのお父さん」は
しぼんでこんがらがった日干しの姿で
尾っ ....
やおよろずの神さまは
ぼくになにをくれたんだろう
その前に
なにかくれるときって
神さま一同からもらえるのかなあ
せっかくもらうんだから
ひとりひとりからなにかをもらいたい
と
おもう ....
ぼくはバクに
夢をたべられてしまったよ
ぼくの
枕元にいたバクは
めやにばかりの目に
うっすら涙をためながら
こういったんだ
いただきます
ひっそりと
いただきますといわれてしまって ....
ほくろが動いてないかたしかめる。
玄関へ行って
あなたの靴に 足を入れる。
私は帽子かけの帽子になってしまったのだろうか。
りんどうを掴む
足首に捲く。
分かれた空がさらに分かれ
水のなかの葉をすぎてゆく
音は動き 季節は動く
ほどけては鳴る遠い金
映るすべてに傾く空を
青はころがり
かがやいてゆく
陽は落ち ....
ナナコ。
{ルビ霙=みぞれ}落ちる午後の日差し。
聖霊の結晶のきらめき。
その名を呼べば、
ナナコの声、
遠い海の向こう側からやってくる。
ナナコ。
誰もが初めての場所で
誰もが初 ....
信号機に紫色とか茶色とかがあればいいのに
進め、注意しろ、止まれ、だけじゃなくて
迷っていいぞ、後退も時にはありだぞ、って
誰だって言ってほしいもん
言ってほしいもん
夕焼けが足りない 一○
これで最後ですよ
と通達された
あなたのための夕陽はもう残っていません
と
どうやら
流行りの成分のひとつで
許容摂取量も決めら ....
フィルモアSt.
ジャパンタウン もっと南の
パブ
3バック
ウィスキー・ソーダ
オーダー ラストで
カウンター
ひとり 黒人
ひとさしゆびを たてて
みけんに
ち ....
頭の悪くない毎日
たまには酒を飲まない
そんな毎日
雲間にぽっくり
遺産で食ってる老人のための
きいろい雪玉のしずくの
せせらぎとなった
今宵の
(りーりーりー ....
人間がいつか骨になって消えてなくなることを初めて知ったとき
小さな私は庭に飛び出して
道路でバトミントンをしていた母に向って
「人間はいつか死ぬと?死ぬと? 私も死ぬと?」
と、何度もた ....
この空は瑠璃色の夢
あの森は翡翠の希望
ここに私の命はある
太陽にてをかざせば
ほら燃えている生きてる証
螺旋階段を駆け上り
小さな窓から中をのぞいてみては
また帰ってゆく 傘の中へと
....
一八五四年十月二十日
北仏アルデンヌ県シャルルヴィルに生まれ
南仏ブウシュデュローヌ県マルセーユに倒れ
空遠く消え去ったのは一八九一年十一月十日
一九九一年 ランボー没後一 ....
白 灰 午後 虹
放られたままに響く冬
窓に映る野を馳せる
手のなかの声 粒の声
まわる色 重なる色
水に濡れた小さな神話の
終わりとはじまり
陽から降りつづ ....
いや
と
つぶやくようにふるえると
夕焼け
きみのくちびるが夕焼け
のように
まわりの景色をちょうどいい速度で染めてゆき
滲ませ
くちびるから夕焼け
....
三食昼寝つき
おやつもつき
まいにち決まったお散歩コース
決定権は
打算と好奇心に基づいているため
決まったように見えなくとも
忠実なのである
初潮を ....
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