自転車のサドルってやつは、大抵ピッタリしているものだけれど、一瞬どこだか忘れてしまうその名前はさておき、色はタンカーから流れ出す按配の、石油的な黒だ。とにかく座る場所なんだけれど、それがそいつはどうも ....
畳 の 上
裸足
ふち に 添って
一匹 の 蛇
明るい ささやき の内で
頭 を もたげる 闇
草薮 から 訪れた
赤い 口
切り そろえた ばかりの 爪に
....
同僚のヨシオカ某氏がやって来て
後ろからボクの肩をポンと叩くのだ
一枚のメモ用紙を机上において
ニヤッと笑うとモウスグダネと言うのだ
ヨシオカ氏も三八年寅歳
二月の早生まれだから後五 ....
凍えるようなフランスパンに
アプリコットジャムの毛布
パチパチと弾ける
ガーリックバターのシャッポ
クリームスープに浸しては 寒さを癒した
季節
家庭教師の家には いつも
ライ麦パン ....
生まれ変わったら
何になりたいかって
お前は聞いたよな
俺は
男も女も生き物はいやだぜ
俺はね
街になりたい
色んな人間がいて
楽しいことも
悲し ....
眠い 眠い とても眠い
政 官 財 崩壊
若い 丸い オンナたちのおっぱい
ミンナ 謝罪 おれは謝るまい
{ルビ天使の都=クルンテープ}の朝 のっと 太陽が赤い
ヤーを送りだした後 なん ....
やまだせんせいも
ポチも
たばこやのおばちゃんも
そうたくんも
りょーかも
りょーかのかれしも
おじいさんも
モトカレも
おてんきのおねえさんも
ありっちも
エリスも
おにいちゃ ....
望遠鏡のように澄んだ空気も
小さな雪像にかけた情熱も
鎌倉の中でこっそりキスしたことも
全ては真っ白い眩さと共に
あなたに繋がってる
溶けて泥色になった道路の雪も
無愛想で気が利かない ....
反響する月あかり
空は明るい菫色です
白い雲が
流れます
今夜
地上で起きている
出来事が
みな懐かしい
白い廃墟の町も
風の荒野も
現実にあった夢も
何一つ欠けることの無い ....
思いっきり身震いしたら
壊れてしまうかと思っていた
田舎町に
今ではすっかり馴染んで仕舞い
若かったゴジラ達も
皆立派な町の世話役となり
ズルズル引きずっている
逞しい尻尾に気づ ....
夜になるとたまには
その日の些細なシーンの積み重ねで
あわよくば 後戻りしたくなります
ぼくらの夜は
そうやって 濃いっぽい空に包まれ
浮かんで混ざって消えていく それらで出来ている
....
ライオンのかかとのにおいを嗅いでみたとして
どんなはばかりが河岸段丘に色づくのだろうね
人はみんな違っているから素晴らしいと言うが
僕だけが愛してもらえない夜は素晴らしくない
みんなが ....
持っていることを自慢する
試みに彼の鞄を持ってみる。
牛皮製らしいそれは大きさばかり目立つが相変わらず軽い
きっといつものように家族が入っているのだろう
そのことは彼から聞かされている
彼は信用するに値する人物なのだ
....
押し寄せる声に
紺青の声に
おののく 震える海をおびやかす
流れがある
言うまでもない流れへ
流れてゆく ゆったりとしたパジャマ
の少女
を見送るのは僕だ
僕にはその責任があるから
....
ほとんど辞めるつもりでいる。
あつい夏がやってきて
はっきりしない出張予定にふりまわされて
一泊二日の大島釣り旅行もキャンセル
年に一度の光晴忌までみおくりである。
浮世の稼業をつづ ....
腹減ったから
なんか 食おうぜ
って
入ったところは
今どき珍しい
換気扇が壁にひとつ付いてるだけの
けむけむの
もくもくで
ねぇ
さんにんで会うときは ....
まぶしい希望は残酷だ
それは絶望のすべてを語っていることだから
と僕の妄想内週刊誌ジョック内連載内の
ある妊婦が
深紅のアスファルトで行われるカーレース観客席で
寒さに肉を冷やしながら言 ....
ふ?
{引用=ふ
と
ふしぎ
ふかし
....
夕暮れに 春の香りに 誘われて 振り向けば咲く 沈丁花かも
「きっと勝つ!」 いくつ食べたか 例のアレ
黒いカーテンでよかった
遮光カーテンは甘いのだ
まえに
水蜜をくわえて 跳ねた汁をなめたら
甘かったからほんとうだ
ふくらはぎの下で
かりっこりと かりっこりする
彼の爪だ
....
おいしそうなくもが
そらにうかんでいた
こうえんの
すべりだいのてっぺんにのぼって
つまさきだちして
すぷーんをふりまわすと
ほんのすこしだけ
すくいとることができた
おさらにのせ ....
父と母の物ではない
母の物は
真昼に閉じた雨空
滑空する白色の鳥が堕ちる
その日から父と母は憎みあう者になる
母の影が覆いつくす町
母が湿地帯に詩を隠す「書かれた町」
母の影が覆いつくす ....
今なお
例えば通り過ぎざま つい降り返るときも
大抵は どこか似ていたりするのですが
ときにうらやましく思います
ひょっとすると 謝るのも筋違いです
幸せそうに笑っているでしょう
うれ ....
ふた
そう、
プラスチックの あじがするから、
って
ヘンリーボーンのスカート
さくらがいのゆびさき そろえて
ふた
とって
本日のコーヒー を のむ
ふた を
する
....
念願の停年まであと一年
のんびりと言い暮してきたのに
いまごろになって。
このプロジェクト
あと一仕事おねがいします。
ちょっと待ってください
このところずうっと指折り数えてきたの ....
ロシアにストーブを置いてきた
あの地で
ストーブは付いているか
ストーブに火は点いているか
ストーブは燃えているか
ストーブ自身は燃えているか
ストーブはロシアを焼いている
ストーブ ....
子供の時に付けたルゴールが
こんなにも大人になってから染み出す
小児科の匂いだ
私の喉からは
子供の時によく連れて行かれた
お医者さんの匂いがする
とても体調が悪い
母さんは
....
街でついつい男の人を
宝石に
変換する
裾に 白衣ののぞくメガネは
傷のついたオパール石
チャイナ帽 歩きタバコの初老は
家のないラピスラズリ
梯子に登りたそうな ボーダー2 ....
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